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2021年05月13日 16:45 更新

戸建て購入 VS 賃貸 子育て世代が選ぶべきなのはどっち? #子育て世代の幸せおうち計画 Vol.2

産後に家が手狭になったとき、子どもが入園・入学するときなど、「ウチもそろそろ家を買ったほうがいい?」と思ったときが、住宅購入を検討する始めどき! 子育て世代が住宅を購入する際に考えておくべきことを、いろいろなプロに教えてもらいます。第2回目もエフピーウーマン公認ライターの續さんに、お金のことについて教えてもらいました。

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購入VS賃貸、子育て世代にはどっちがいいの?

一戸建ての家を購入したいと思いながらも、購入するか、賃貸暮らしを続けるか悩む人は少なくないはず。買ってしまうと何かと制約を受けそうで、なかなか思い切れないということもありますが、最も大きな要因はお金のことでしょう。人生の3大資金のひとつである住宅ですから、慎重になるのも当然です。しかし、購入したいという気持ちがある人にとっては、悩み続けている間に払う家賃や時間を無駄にしてしまう可能性もあります。そこで今回は、住宅購入と賃貸、それぞれのメリット・デメリットおよび費用面での違いについて説明します。選択のヒントにしてください。

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月々の住居費以外にどんな費用がかかる?

マイホームでも賃貸でも、住宅費は家計のなかで大きな割合を占めるもの。将来の家族構成、子どもの進学や家族のライフプランによっても後々のマネープランへの影響が変わります。家賃とローン返済額を比較して考える人も少なくないようですが、それぞれの場合でお金のかかり方をきちんと理解しておきましょう。

月々の住居費だけでなく、賃貸はずっと住み続ける場合の費用、購入では購入時や購入後にかかる費用など、数十年という長いスパンで、どんな費用がかかるかということも含めて検討することが大切です。

賃貸・購入別にまとめると、次のような費用があります。

購入 賃貸
初期費用 ・手付金
・不動産売買契約時の印紙税
・仲介手数料
・登録免許税
・住宅ローン契約に関する費用(印紙税、事務手数料など)
・団体信用生命保険料
など
・敷金
・礼金
・仲介手数料
居住時費用 ・固定資産税
・都市計画税
・維持費、修繕費
・火災保険料
・地震保険料など
・更新料
・原状回復にかかる費用(退去時)
・火災保険料

戸建て購入の場合にかかる費用

購入時

上の表で初期費用として諸々の費用を記載しましたが、これらの購入費用をまとめて新築の場合で物件価格の3~7%、中古の場合で物件価格の6~10%が目安[*1]と言われています。仮に3,000万円の新築物件であれば、90万円~210万円が目安です。

購入時にはこれらの諸費用に頭金も加え、見積もっておきましょう。最近では頭金を入れなくても借入れできるケースも出てきています。しかし後々の返済負担を考えると、借入額を抑えるためにも、少しでもできる範囲で頭金は入れたいものです。仮に物件価格の1割を入れるとすると3,000万円の場合で頭金額は300万円、2割なら600万円です。諸費用と合わせると390万円~810万円になる計算です。

購入後

購入後にかかる費用として代表的なものに毎年かかる固定資産税があります。土地および家屋それぞれの価格(固定資産評価額)に1.4%(標準税率)をかけて計算されます。ただし、マイホームにかかる固定資産税には次のように軽減措置があります。[*2]

土地 家屋(新築一戸建ての場合)
標準税率 1.4% 1.4%
軽減措置 敷地面積200㎡以下:1/6
敷地面積200㎡超:1/3
床面積50㎡以上280㎡以下:1/2
※一般住宅:新築後3年間
※認定長期優良住宅:新築後5年間

毎年かかる費用では地震保険料も考えておきましょう。火災保険は賃貸の場合でも加入が必要ですが、大切なマイホームとなれば火災保険と地震保険をセットでかけておきたいものです。ちなみに地震保険料は建物の構造や所在地によって決まります。地震リスクの高い地域ほど保険料は高くなります。

また、購入した場合、建物や設備のメンテナンスや修繕などは自分自身で負担しなければなりません。小さな修繕・メンテナンスであれば数年おきに、外壁や屋根など大きな修繕なら10~15年程度の周期でまとまった費用がかかります。どんな修繕かにもよりますが、100万円単位の大きな金額になることもあります。

賃貸の場合にかかる費用

入居時

入居時にかかる費用には、敷金、礼金、仲介手数料があります。一般的にこれらを合わせて家賃の6カ月分相当額が目安と言われています。仮に家賃が9万円なら約54万円必要になる計算です。

しかし最近では敷金や礼金が不要な物件もあり一概には言えません。また、敷金・礼金がかかる場合でも地域や物件によっても異なり、1カ月分以下~2カ月分以上などさまざま[*3]です。

居住時

賃貸物件に住み続ける場合には更新料がかかります。更新料は一般的に2年ごとにかかりますが、敷金・礼金同様に更新料のない物件や地域性もあります。

更新せずに住み替えする際には、退去時にハウスクリーニング代や原状回復費用がかかります。また住み替え後の物件で、前述した敷金、礼金、仲介手数料がかかります。

購入VS賃貸 どちらがお得?

購入と賃貸のそれぞれでどのような費用がかかるか見てきましたが、初期費用や中期的なスパンで見れば購入のほうが支出が多くなります。購入すると多額の貯蓄が出ていきますから、教育資金など他のお金が要る時期とのタイミングを見極めることも大切です。しかし、長期的なスパンで見れば家賃を払い続ける分、賃貸のほうが支出が増える可能性があります

これを見て、収入の多いうち購入したほうがいいと考える共働き夫婦もいるかもしれません。しかし、どちらが多くお金がかかるかというだけで損得を決めるのはおすすめできません。

そこで、それぞれの一般的なメリット・デメリットについて知っておきましょう。購入か賃貸かを検討しやすくなるかもしれません。

購入 賃貸
メリット ・住むところに困らない
・資産ができる
・必要に応じてリフォームが可能
・住宅ローンは数十年後には終わる
・ライフスタイルの変化に合わせて住み替えしやすい
・修繕などの費用は大家が負担
デメリット ・ライフスタイルの変化に対応しにくい
・修繕やメンテナンスは自己負担
・土地や建物の値段が下がり、売却が難しくなるケースがある
・購入してしばらくは貯蓄が減る
・貸主の都合で退去を求められる場合がある
・自分の資産として残らない
・自由にリフォームできない
・生涯賃貸の場合、家賃を払い続けなければならない

一方のメリットは、もう一方のデメリットになっているのがおかわりいただけるでしょうか。このことから、購入か賃貸かの見極めポイントは大きく次の3点にまとめられそうです。

・ライフスタイルの変化に対応できるかどうか
・居住の安心性があるかどうか
・資産価値ができるかどうか


働き盛りの子育て世帯の人にとっては、これからのライフスタイルが変化しやすかったり、それに応じて家計事情も変わってきたりするものです。実は購入・賃貸の損得は、選択した後に想定外の事態が起こっても、それに対処できるかどうかで決まるものかもしれません。

共働き夫婦が住宅購入するなら考えておきたいこと

居住の安心性や資産価値は、実は老後に年金収入だけになったときや、住み替えが必要になってマイホームを売却するときなどにメリットを感じるもの。現役中は「そういうメリットがある」ということはわかっていても実感として感じることは少ないかもしれません。

そこで、今共働きをしている夫婦が住宅購入を検討する際には「ライフスタイルの変化に対応できるかどうか」をしっかり考えてみましょう。たとえば、夫婦のどちらかが転勤になった場合や失業した場合など。単身赴任をするにしても二重生活で生活費が増えたり、子どもが転校できないといった事情があれば仕送りが必要になったりする可能性もあります。想定外の事態が起こっても対応できるかどうか、家計への影響も考えて、対策しておくことが大切です。

家計への影響と言えば、一般的に共働き世帯では収入が高めである分、支出も多くなりがちであることも意識しておきましょう。住宅ローンでは夫婦の収入を合算して借入額を多くする方法がありますが、多く借りられるからと物件価格が高めのものを選んだり、設備のグレードを上げたりする人もいるようです。住宅購入においても無理してしまっては後々負担が大きくなりますから注意が必要です。

とはいえ、夫婦で協力しあって資産を築いていくために共働きをしている人も多いはず。長い目で見れば住宅購入は夫婦の資産を築くことにつながります。じっくり検討、計画をしながら購入の希望を叶えられるといいですね。

(文:續 恵美子、イラスト:香川 尚子、編集:マイナビ子育て編集部)

参考文献
[*1]日本FP協会 『くらしとお金のワークブック~FPと考える生活設計~』P18
[*2]大阪市『令和3年度分の土地・家屋の固定資産税および都市計画税の算定方法などについて』をもとに筆者作表
[*3]国土交通省 住宅局『令和元年度 住宅市場動向調査報告書』(令和2年3月)6.民間賃貸住宅に関する結果 問15 敷金/保証金の月数、礼金の月数

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