みかんの食べ過ぎはよくない?1日何個まで?みかんのメリットも解説【管理栄養士監修】
皮をむきやすいみかんは手軽に食べることができ、身近なフルーツです。甘みと酸味のバランスもよいため食べやすい反面、ついつい食べ過ぎてしまうことも。みかんを食べ過ぎるとよくないのか、心配になりますよね。みかんを食べる量の目安や食べるときの注意点などをまとめました。
みかんに含まれる栄養
みかんは手軽にビタミンが摂れるのがよいですね。果物の中でも、皮が手でむけるみかんは生活に取り入れやすい果物の1つです。どんな栄養素や効果があるのしょうか。
ビタミンC|抗酸化作用
みかんといえばビタミンCのイメージが強い方も多いでしょう。
ビタミンCには抗酸化作用があります。この作用は活性酸素から細胞を保護し正常な働きを保つというものです。みかん約1個(100g)には32mgのビタミンCが含まれています。1日に必要なビタミンCの推奨量が100mgなので、みかん1個で1日の1/3のビタミンCを摂取することができます。
3つ食べれば1日分のビタミンCは完璧! と考えることもできますが、野菜やほかの果物などにもビタミンCは含まれているので、1日の食事を通してバランスよく摂取したいですね。
β-クリプトキサンチン|ビタミンA同様の働き
みかん(温州みかん)にはβ-クリプトキサンチンという成分が含まれています[*1]。β-クリプトキサンチンは、みかんなどの柑橘系の皮などに含まれる黄色の色素です。ヒドロキシβ-カロテンともいわれ、生体内でビタミンAに変わるとされていて、がん予防効果の可能性などがあるといわれています[*2]。
なお、みかんの実よりも皮の部分に多く含まれていますが、皮をたくさん食べたりすることは消化の面や衛生面などでも疑問があるためおすすめできません。
ペクチン|便秘改善
果肉の袋(じょうのう)にはペクチンという食物繊維の一種が多く含まれており、便秘改善の作用があります [*2] 。薄皮を食べるか食べないかは好みによるかと思いますが、食物繊維が足りないなと思ったら、みかんは薄い皮がついたまま食べてみるのもいいですね。
みかんの食べ過ぎで心配されること
手軽に食べることができるので、つい2個、3個と手が伸びがちですが、みかんの食べ過ぎによるリスクはあるのでしょうか。
1.カロリーや糖分の摂り過ぎ
みかん100gあたりのエネルギーは49kcalで糖分量も9.2gとほかのフルーツと比べてもそんなに高い数値ではありません。しかし、当然ながらたくさん食べるとその分、摂取エネルギーも糖分量も上がってしまうので、注意が必要です。
また、みかんで糖分を頻繁に摂取し、口の中をそのままにしておくと、むし歯のリスクが上がったり[*3]、食べ過ぎると口の中が酸性化して酸蝕歯を起こす可能性もあります。
2.皮膚が黄色くなる柑皮症
柑皮症(かんぴしょう)とはβ-カロテンやカロテノイドを長期間過剰摂取した場合に起こるもので、手足の皮膚が黄色くなる状態をさします [*4]。主な原因が過剰摂取なので、摂取を控えたり中止すれば症状は回復します。
ビタミンCの摂り過ぎはよくない?
ビタミンCを過剰摂取しても消化管からの吸収率が低下し、余分な分は尿中に排泄されることから、過剰摂取の心配はないとされています。しかし、腎臓機能障害がある人では、ビタミンCのサプリなどを使用する場合に注意が必要なので、医師に確認するようにしましょう 。
みかんの適量はどのくらい?
みかんを食べ過ぎても体に大きな害はありませんが、糖分の摂り過ぎや栄養バランスの偏りを防ぐためには、適量に抑えていきたいですね。1日にどのくらいがちょうどよいのでしょうか。
目安|1日2個程度
みかんの1日の目安量は2個程度がよいでしょう。農林水産省「食事バランスガイド」では、1日の果物の摂取目安量を2つとしています[*5]。なお、果物1つ分はみかんだと1個、りんごや梨だと1/2個、柿だと1個くらいになります。
もっとも、1日2個が基本とはいえ、栄養のバランスは1日だけで考えるものではないため、1日にみかんを4個など食べた日があっても、そのあと数日で調整すれば大丈夫です。
その他の果物などの食べ過ぎについて知りたい方はこちら
▶バナナ ▶りんご ▶いちご ▶パイナップル ▶スイカ ▶ぶどう ▶キウイ ▶ブルーベリー ▶いちじく ▶さくらんぼ ▶柿 ▶デーツ ▶ライチ ▶すもも ▶プルーン
妊娠中はみかんをどのくらい食べられる?
妊娠中の場合、みかんの食べ過ぎに特別な注意は必要なのでしょうか。1日に何個まで食べられるのでしょうか。
妊娠中の目安|1日2個程度
さまざまな栄養のあるみかんは妊娠期にも摂りたい食品です。食事バランスがとれていれば、妊娠時期だからといって特別に摂取を控えるなどの必要はありません。
妊産婦のための食事バランスガイドでも、1日の果物の摂取目安量は2つとされているので[*6]、妊娠期もみかん1日の目安は2つと考えてよいでしょう。
また、つわりでなかなか食事がとれず、みかんだけなら食べられるということであれば、みかんをたくさん食べてもかまいません。つわりのときは無理をせず、食べられるときに食べられるものを食べるのが大切です。ただ、むし歯などにならないように、食べた後に口をゆすいだり歯を磨いたりしてケアをしましょうね。
関連記事▶妊婦におすすめの果物みかん! 1日何個まで食べていい?食べ過ぎの影響は?
関連記事▶離乳食のみかんはいつから?薄皮はむく?加熱は必要?中期〜完了期レシピ
まとめ
手軽にビタミン補給できるみかんは、食事バランスを考えるうえでも取り入れやすいですね。過剰な心配は不要ですが、他の食材も食べられるように、みかんだけの食べ過ぎに注意しながら楽しんでください。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1] 農林水産省『aff』2017年1月号
[*2]農林水産省:みかんにはどんな栄養があるのですか。また、おいしいみかんの選び方や保存方法についても教えてください。
[*3]厚生労働省:e-ヘルスネット「 むし歯の特徴・原因・進行」
[*4]厚生労働省:eJIM「ビタミンA」
[*5]農林水産省:食事バランスガイド
[*6]妊産婦のための食事バランスガイド
文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます