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2022年03月20日 08:02 更新

コロナ禍で子どもを狙う犯罪はこう変わった! 子どもの安全教育の専門家に聞く

進学・進級のシーズン。新生活にワクワクする子も多い中、気をつけたいのが子どもを狙った犯罪です。特にコロナ禍ではSNS犯罪が増加するなど、犯罪の傾向も変化しているとのこと。今回は子どもの安全教育の専門家である、ステップ総合研究所 所長 清永奈穂さんにインタビュー。前後編にわけて子どもの防犯・安全教育についてお伝えします。

コロナ禍で子どもが犯罪者に狙われやすくなっている?

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ーーコロナ禍で子どもを狙った犯罪の状況はどう変わりましたか?

清永さん  実は、いろいろなことが変わってきています。まず、子どもが外を出歩く時間。今までは登校時は午前8時過ぎ頃、下校時は午後2時から5時頃までと、子どもがたくさん出てくる時間は決まっていました。しかし、休校や分散登校で子どもの行動が変化し、犯罪者もそれを掴みづらくなっています。
これまで、犯罪者は子どもが何時頃出歩くか、どの場所で一人になるのかなどを数カ月かけて調べてから犯行に及んでいたのですが、今はターゲットとなる子どもを見つけたらすぐに犯行に及ぶケースが増えています。今日はこの時間にこの場所を歩いていても明日もそうとは限らないので、執拗に付きまとったりしつこく声をかけたりするなど「何がなんでも今日実行しよう」と強引な手口になってきていると感じますね。

ーー今までだと地域の方の見守り活動などが犯罪の抑止力になっていたと思うのですが。

清永さん  コロナ禍で地域の見守りも減っているんです。子どもの行動を掴めないのは地域の方も同じで、いつ見守りすればいいのかわからない。感染リスクを考えて見守りを控える方もいます。
また、感染リスクの観点から学校や地域での防犯教室の多くが中止になりました。実際に大声を出したり走って逃げたりという体験型の教室だけでなく、座学の教室も中止になっていて、子どもたちが防犯や安全を学ぶ機会が失われているんです。さまざまな要因が重なって、今、子どもたちは犯罪にあいやすい状態になっていると思います。
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ーーコロナ禍で、子どもへの犯罪の内容に変化はありましたか?

清永さん  2021年は、声かけや略取誘拐が例年よりも増えました。ほかにも、わいせつ行為だけでなく、大声を出して子どもを脅す、すれ違いざまにぶつかる、叩くといった暴力行為も地域によっては増加傾向にあります。コロナ禍で社会全体がギスギスする中、そのストレスを子どもにぶつけるパターンです。

ーー暴力行為も増えているんですね。最近では、子どもがSNS上で犯罪に巻き込まれるニュースもたびたび報じられていますが、SNS犯罪についてはいかがですか?

清永さん  SNSを使って子どもに自撮りを送らせたり、連れ去ろうとする犯罪も増えました。先ほどもお話ししたように、路上だといつ子どもが出てくるのかわからないのでSNSで接近するんですね。今の子どもたちは上手にタブレットなどを使いこなしますが、安全にネットやSNSを使う能力はまだ十分ではありません。いわば、無防備でネットやSNSを使っている状態です。小1でもSNS犯罪の被害にあったケースもあります。
また、子どものSNS上でのやりとりや投稿は親も把握しづらいので、親が気づいたときにはすでに被害にあってしまっていた……というパターンが多いです。

どんな子が犯罪者に狙われやすい?

ーー犯罪者に狙われやすい子の特徴はありますか?

清永さん  まず、ぼんやりしていたり、フラフラしている子。特に5月は、普段はそうでない子も注意が必要です。新一年生はまだ一人での登下校に慣れていませんし、進級した子も新しい学級でなんとなく気持ちが浮ついて気を抜いてしまいます。
ほかには、弱々しく見える子や容姿やふるまいが大人びている子、かわいい子、一人でいる子なども狙われやすいです。
出典:清永健二著「防犯先生の子ども安全マニュアル」東洋経済社 2008
(株)ステップ総合研究所作成「子どもの安全ガイドブック」より
ーー挙げていただいたような、犯罪者が狙いやすい子の特徴はSNSだと見えにくいと思いますが、どうでしょうか?

清永さん  SNSだと、アカウントを誰でも見られる状態にしていたり、自分や家族のことなどをなんでも書いてしまう子は「ガードが甘い子」として見られます。そして、投稿からその子の好きなものを予習してDMなどで「自分もこれが好きなんだ」と接近してくるんです。
趣味などをきっかけにつながって、頻繁にやりとりをしていくうちに子どもも「親や友達よりも自分のことをわかってくれる」と思ってしまうんですね。

ーー子どもがSNSで怪しい人と関わっているのかどうか、親が気づく方法はありますか?

清永さん  一番わかりやすいのは犯罪者と会う直前の様子です。たとえば、友達と遊びに行くときには着ないようなおしゃれな服を着たり、メイクをしたりするのはわかりやすいと思います。ほかにはそわそわしている、親とあまり話したがらない、お金を欲しがる、親の財布からお金がなくなるなども、犯罪者と会う可能性のある予兆です。

もし子どもが犯罪被害にあってしまったら

文:清永奈穂、イラスト:石塚ワカメ『「いやです、だめです、いきません」 親が教える子どもを守る安全教育』(岩崎書店)より
ーー子どもが犯罪被害にあったと気づいたら、親はまず何をすべきですか?

清永さん  親から見ても事件だと考えられる場合には110番に通報してください。ただ、事件かどうか判断に迷うときもあると思います。その場合は警察相談ダイヤル「#9110」に電話するか、地域の交番や警察署に連絡をしてパトロールをお願いするなど、すぐに相談するのがベストです。

子どもが犯罪被害に! 打ち明けてくれたときの接し方は?『いやです、だめです、いきません』
コロナ禍で様変わりしている子どもを狙った犯罪。では、子どもが犯罪被害にあわないために親ができることは?
後編では、子どもを犯罪から守るための「安全教育」の始め方についてお伝えします。

後編はこちら
子どもの防犯・安全教育はいつから? 0歳から入学後までにできることを専門家が解説


(写真:佐藤登志雄、取材・文:マイナビ子育て編集部)

【保護者向け】清永さんの書籍『いやです、だめです、いきません』を試し読み

マイナビ子育てでは、清永奈穂さんの著書『いやです、だめです、いきません』(岩崎書店)の一部を試し読みできます。
危ない場所を見分ける「ひまわりさん」、怪しい人かどうか判断する材料になる「はちみつじまん」など、子どもの防犯や安全教育に役立つ内容を漫画・イラスト付きで解説。 ぜひ、ご覧ください。


試し読み連載『いやです、だめです、いきません』はこちら

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  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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