ブルーベリーの食べ過ぎはよくない?1日の目安と体に嬉しい効果を解説【管理栄養士監修】
小さくて食べやすいブルーベリー。目にいいとも言われ、健康効果を期待して取り入れている人もいるかもしれません。体によいものはたくさん食べたくなりますが、ブルーベリーを食べ過ぎても大丈夫なのか、気になりますよね。また、実際に体によい効果はあるのでしょうか。どのような栄養が含まれるのか、1日の目安もお伝えします。
ブルーベリーに含まれる栄養素
体によいイメージのあるブルーベリー。目によいとも言われていますが、どのような栄養が含まれるのでしょうか。
アントシアニン|抗酸化作用のあるポリフェノール
ブルーベリーの栄養素といえば、アントシアニンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。アントシアニンとはナスなどにも含まれる色素です。一般的に「目によい」と言われていますが、実際のところ、その効果はわかっていません[*1]。
ただし、アントシアニンはポリフェノールの一種なので、ポリフェノールにある抗酸化作用が期待できるとはいえるでしょう。活性酸素が体の中に増えると過酸化脂質が作られ、動脈硬化などを引き起こしますが、この活性酸素を取り除く働きのことを抗酸化作用といいます[*2]。
ブルーベリーを食べると動脈硬化を抑えられる、とまでは言えませんが、アントシアニン(ポリフェノール)のそのような働きを覚えておくと、食品選びの参考になりそうですね。
■ブルーベリーと似ているビルベリー
なお、ブルーベリーとよく似たものでビルベリーがあります。
このビルベリーは北欧でとれるブルーベリーの一種で、中の果肉まで濃い青紫色を呈しているのが特徴です。一般的にブルーベリーサプリメントとして売られているものはビルベリーエキスを使っています。
ビルベリーの健康効果については、ビルベリーエキスを摂取した実験のうちいくつかで目の疲労回復の改善があるというデータのみられたものもありますが[*3]、影響がないという実験結果もあります[*4]。
ビタミンCやビタミンE
ビタミンCが豊富とも言われていますが、実はそれほど多くはありません。果物としては、だいたい一般レベルの量です。同じ100gでいうならイチゴの1/7、みかんの1/4程度。ブルーベリーにはビタミンEなどほかのビタミンも入っているので、ビタミンCを期待して食べるというよりも、「いろいろなビタミンが入っている」という感覚でとらえるのがよいでしょう。
食物繊維|便秘改善に効果的
実はブルーベリーは食物繊維が豊富で、100gあたり3.3gを含有しています。これはみかんの約3倍です。 しかも、便のカサを増やす作用をもつ不溶性食物繊維が2.8g、便を軟らかくする水溶性食物繊維が0.5gと、両方がほどよく含まれていることから、便秘改善の効果が期待できます。
便秘でお困りであれば、たとえばヨーグルトなどの発酵食品(乳酸菌、ビフィズス菌)とブルーベリーの食物繊維(不溶性食物繊維、水溶性食物繊維)を組み合わせて試してみると、より効果的でいいかもしれませんね。
鉄|特にドライブルーベリーに豊富
ブルーベリーの特徴として鉄が入っていることも挙げられます。生のブルーベリー100gに0.2mg含まれており、これはみかんやいちご、生のプルーンとほぼ同じです。 ほうれん草に比べたら1/10程度と決して多い量ではありませんが、ブルーベリーはそのままさっと食べられるのが利点でしょう。
もちろん生のまま食べてもいいですが、ドライブルーベリーもおすすめです。ドライフルーツだとパクっと食べやすいということもありますよね。食べ物は乾燥させると水分がぬけて栄養が凝縮するため、鉄も摂りやすくなります。ドライブルーベリー100gあたり鉄1.2mgですが、これはドライプルーンと同じくらいの含有量です。
生のブルーベリーでもドライブルーベリーでも、おいしく食べて鉄を補給できるのは嬉しいですね。
ブルーベリーを食べ過ぎるとどうなる?妊娠中は?
体に嬉しい要素があり甘酸っぱくておいしいブルーベリーは、ついついたくさん食べてしまいそうですよね。どのくらい食べてもいいのでしょうか。
目安量|1日200g程度
農林水産省の「食事バランスガイド」では、1日の果物の摂取目安量は200gとされているので[*5]、ブルーベリーの日の目安量は200g程度がよいでしょう。ただ、ブルーベリー10粒で20g程度となるため、200gとなるとかなりの量です。実際にはなかなか食べられない量なので、他のフルーツと組み合わせるといいですね。
食べ過ぎのリスク|便秘の可能性
ブルーベリーの食物繊維のバランスは不溶性食物繊維が多めです。便を軟らかくして腸内を動きやすくする水溶性食物繊維が足りないと、食物繊維を摂っていても便秘になることもあります。ブルーベリーを何g食べると便秘になりやすいとはいえませんが、食べ過ぎるとかえって便秘になるかもしれない、ということを頭においておくといいでしょう。
食べ過ぎのリスク|太る?
ブルーベリーのカロリーは100gあたり48kcalで、これはみかんと同じくらいです。1日の目安となる200gを食べても100kcal以下なうえ、200gでもかなりの量になるため、食べ過ぎて太るという心配はあまり高くないでしょう。
ただし、ドライブルーベリーは水分が減って栄養が濃縮されているため、カロリーも100gあたり280kcalあります。生のブルーベリーの感覚で食べてしまうと、カロリーの摂り過ぎになる場合があるので量を加減できるとよいですね。
妊娠中の注意|サプリでの摂り過ぎ
妊娠中はアントシアニンの摂り過ぎに注意が必要です。
アントシアニンなどポリフェノールを多く含む健康食品を摂取すると、お腹の赤ちゃんが動脈管早期収縮という病気をおこす可能性があります。特に妊娠後期にはアントシアニンのサプリメントやその他のポリフェノールを摂り過ぎないようにしましょう。ポリフェノールはプルーンやルイボスティーなどにも含まれます。これらと一緒に多量に食べたりしないようにも注意してください。
関連記事▶妊婦によい食べ物・プルーン!食べ過ぎに潜むリスクに注意
まとめ
ブルーベリーは目に効果があるわけではありませんが、食物繊維が摂れて便秘改善によい果物です。生だけでなく保存のきく乾燥したものや冷凍食品でも食べられ、手軽に栄養が摂れるのもポイントですね。朝食やおやつにとりいれやすい食材なので、積極的に食べていきたいですが、妊娠後期には過剰摂取をさけ、適量にとどめておきましょう。
(文・監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]Noriaki WAKANA,et.al. Effects of Blueberry, Vaccinium corymbosum, on the Eye Functions, JOURNAL OF JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION, 2007, Volume 16, Issue 2, Pages 44-48, Released December 28, 2017
[*2]厚生労働省:e-ヘルスネット「抗酸化物質」
[*3] Ozawa Y, Kawashima M, Inoue S, Inagaki E, Suzuki A, Ooe E, Kobayashi S, Tsubota K. Bilberry extract supplementation for preventing eye fatigue in video display terminal workers. J Nutr Health Aging. 2015 May;19(5):548-54.
[*4]Muth ER, Laurent JM, Jasper P. The effect of bilberry nutritional supplementation on night visual acuity and contrast sensitivity. Altern Med Rev. 2000 Apr;5(2):164-73.
[*5]農林水産省:食事バランスガイド
文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます