プルーンの食べ過ぎで注意したいこと|目安量と豊富な栄養を上手にとるコツ【管理栄養士監修】
女性の味方という印象が強い、自然な甘さが魅力のプルーン。美容や健康のために習慣として食べている人もいるかと思います。しかし、プルーンだけをたくさん食べ続けることは気を付けたほうがいいかもしれません。プルーンの食べ過ぎの注意点や1日の摂取量の目安をお伝えします。
プルーンを食べ過ぎて心配なことは?
プルーンは西洋すもものことですが、特にドライフルーツとしてのプルーンを指すことが日本では多いでしょう。健康効果のある食べ物として広まっていますが、食べ過ぎのリスクはあるのでしょうか。
1.下痢を起こすことも
プルーンには糖質の一種であるソルビトールという成分が含まれます。このソルビトールをとり過ぎるとお腹が緩くなったり、下痢になったりすることがあります。大腸では腸内の水分を吸収して形のある便をつくっていますが、ソルビトールはその吸収を妨げる作用があるため[*1]、水っぽい便になってしまうと考えられるのです。
2.カロリーのとり過ぎにつながる
プルーンは生よりもドライフルーツで食べることのほうが多い果物だと思います。プルーンに限らず一般にドライフルーツは水分が少ないため、栄養素がぎゅっと凝縮されていて、エネルギー(カロリー)も高めです。
ドライプルーン100g(約10個)で211kcalもあり、ご飯に換算すると小ぶりのお茶碗約1杯分と同じカロリーになります[*2]。小さくてつまみやすいですが、つい食べ過ぎてしまったということがないようにしたいですね。
目安量|1日4~5個
一般に間食のカロリーは200kcalが適量なので、その半分である100kcalくらいを果物でとるとよいでしょう。ドライプルーンであれば4~5個が目安になります[*3]。ただし、1日のトータルの摂取カロリーや栄養素のバランスを考えて食べるようにしましょう。
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プルーンのもつ栄養効果は?
食べ過ぎには気を付けたいですが、もちろんプルーンにはさまざまな栄養があります。プルーンのもつ栄養の効果をご紹介します。
1.食物繊維|水溶性と不溶性のダブル効果
プルーンは食物繊維が豊富です。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、プルーンはほぼ同じくらい含まれているのがポイント。水溶性は便を軟らかくする作用があり、不溶性は便のカサを増やす作用があるため、この二つが合わさることでより腸内環境が整いやすく、便秘解消が期待できます。
また、水溶性食物繊維には血糖値の上昇を緩やかにしたり、コレステロール値を下げる働きもあるので、動脈硬化や肥満などの生活習慣病の予防、改善にも役立ちます。
食物繊維は日本人に不足しているためしっかりとりたい栄養素です。
2.ミネラル|むくみ解消に役立つカリウムなど
プルーンにはむくみの解消や骨の維持にかかわるミネラルが含まれています。たとえば、カリウムは、体内の塩分の排出を促すため、血圧を下げたりむくみを解消するのに役立ちます。また、骨や歯の形成に関わるマグネシウムやリン、カルシウムも含まれています。
3.抗酸化作用物質|ビタミンA、E、ポリフェノールなど
ビタミン類でいうと、皮膚や粘膜を健康に保ち美肌効果が期待できるビタミンAやビタミンEをとることができます。
また、プルーンの特徴としてポリフェノールやアントシアニンによる抗酸化作用も挙げられるでしょう。抗酸化作用とは活性酸素が作られるのを抑える働きのこと。特に皮の部分に抗酸化作用が強いので、丸ごと食べるのがおすすめです[*4]。
4.鉄分|果物の中では多い
貧血予防のためにプルーンを食べることもあるのでは? プルーンには鉄が多いイメージを持っている人も多いでしょう。ドライプルーン1個(10g)には0.1mgの鉄が含まれ、生の果物と比べると多いといえます[*2]。
ただし鉄分は基本的に肉類や魚介類、海藻類、野菜などに多く、そのなかでは思ったよりも多くありません。そのため鉄分をとりたいときはプルーンだけでほか食品からも鉄分をとるようにするとよいですね。
■鉄+ビタミンCがおすすめ
なお、鉄分を効率よく吸収するにはビタミンCを含む食品を一緒に摂取するのがおすすめです。プルーンを食べやすい大きさに切ってサラダにプラスしたり、つぶした(もしくは乱切りにした)さつまいもと一緒に煮てもおいしいですよ。
■タンニンと鉄は別々に
反対にタンニンを一緒にとると鉄分の吸収を阻害してしまいます。タンニンは緑茶や紅茶、赤ワインなどに多いので、プルーンの鉄分を効率よくとるためには食べ合わせに気を付けるとよいでしょう。
妊娠中にプルーンを食べても大丈夫?
妊娠中は食べ物に対して普段とは違った注意が必要になりますよね。食物繊維やミネラル、ビタミンがとれるプルーンですが、食べても大丈夫なのでしょうか。
常時摂取は慎重に
鉄分補給や便秘解消のためにプルーンをとる妊婦さんも少なくないでしょう。栄養が豊富で健康効果が期待できるのでたくさん食べたいところですが、量には注意が必要です。
プルーンにはポリフェノールが含まれますが、妊娠中のポリフェノールの過剰摂取には、お腹の赤ちゃんに動脈管早期収縮という異常などがリスクがあるとされます。ドライプルーンや濃縮プルーンでの発症例もあるため、食べ過ぎには注意したいところです。何個まで食べてもよいという明確な基準はありませんが、1日に何個も食べたり、毎日食べたりするのは避け、おやつとして楽しむくらいがよいでしょう。
なお、妊娠中のプルーンについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
▶妊婦によい食べ物・プルーン!食べ過ぎに潜むリスクに注意
まとめ
「美容や健康のために」と、プルーンをはじめとするドライフルーツの人気は高くなってきているようです。プルーンは適度にとれば便秘症状の改善などの健康効果が期待できます。栄養素の不足分を補うために食べると考えておくとよいですね。おやつや小腹が空いたときに食べたり、料理にアレンジして献立のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
(文:二橋佳子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]慶應義塾大学薬学部:腸菌細菌が人工甘味料の過剰摂取によって引き起こされる 下痢を防ぐことを発見
[*2]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*3]カリフォルニア プルーン協会:プルーンQA
[*4]深井 洋一, 松澤 恒友:プルーンの成分特性と抗酸化能,日本食品科学工学会誌47巻2号 (2000)
[*5]厚生労働省:e-ヘルスネット「 活性酸素と酸化ストレス」
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます