アボカドを食べ過ぎるとどうなる?1日何個まで?栄養の効果も解説【管理栄養士監修】
森のバターとも呼ばれるアボカドは栄養豊富で美容にも効果的な食品です。濃厚でクリーミーな食感はいろいろな料理に合わせやすいですね。つい食べ過ぎてしまうこともあるアボカドですが、食べ過ぎるとどんな影響があるのでしょうか。気を付けるポイントや量の目安をお伝えします。
アボカドを食べ過ぎるとどうなる?
栄養豊富で体に良いイメージのあるアボカドですが、食べ過ぎると何かリスクがあるのでしょうか。
食べ過ぎのリスク|太る
アボカドはほかの野菜や果物と比べて脂質が多く、カロリー(エネルギー)も高い食材です。100gあたり176kcaⅼありますが[*1]、これはご飯100g(156kcal)とほとんど変わりません。
見た目からはあまり脂質が多いイメージを持ちにくいですが、他の野菜や果物と同じ感覚で量を気にせず食べてしまうと、思わぬカロリー摂取になってしまうことが考えられます。
美容に良いと言われたりもするのでたくさん食べたくなりますが、食べ過ぎは太るリスクになるでしょう。
ゴムにアレルギーがある場合には要注意
ラテックスアレルギーを持っている人はアボカドでもアレルギーが出る場合があります。
ラテックスアレルギーは天然ゴムの成分が原因ですが、果物の摂取でもアレルギー反応が出ることがあり、ラテックス・フルーツアレルギー症候群と呼ばれます。アボカドは発症リスクが高いので注意が必要です。アボカドのほかにも栗、バナナ、キウイフルーツなどはリスクが高いと言われます[*2]。
食べ過ぎたからアレルギーになるということはありませんが、ラテックスアレルギーをもっている人は、アボカドの摂取には気を付けたほうがいいでしょう。
アボカドは1日に何個まで?
アボカドには大量摂取による中毒情報などは見つからないので、多少食べ過ぎでも大きな健康被害の心配は低いですが、お伝えしたリスクを防ぐうえで目安となる量をお伝えします。
適量の目安|1日1個
明確な基準はありませんが、カロリーや脂質の量を考慮するとアボカドは1日に1個くらいがよいでしょう。
体格や年齢、性別にもよりますが、1日2000kcal必要な人の場合、脂質の目安量はだいたい55gです。一方、アボカド1つ(150g)には約26gの脂質が含まれます。したがって、アボカドを2つ食べると1日分の脂質を摂ってしまうことに。脂質はほかの食品からも摂取したいので、アボカドから摂る分は半分くらいに抑えるのがよいでしょう。いろいろな食材をバランスよく食べることが大切です。
アボカドだけ食べるとつい食べ過ぎてしまうので、サラダのトッピングにしたり、トマトや玉ねぎを混ぜたワカモレ(※)などにして、他の食材と合わせて摂るのもおすすめですよ。
※メキシコ料理の1つで、アボカドベースのディップソース
その他の食品の野菜などの食べ過ぎについてはこちら
<野菜など>
▶野菜 ▶トマト ▶玉ねぎ ▶キャベツ ▶ブロッコリー ▶人参 ▶ほうれん草 ▶きゅうり ▶大根 ▶ビーツ ▶かぼちゃ ▶セロリ ▶ニラ ▶ゴーヤ ▶おかひじき ▶春菊 ▶もずく ▶オクラ ▶もやし ▶ルッコラ ▶枝豆 ▶たけのこ
<きのこ類>
▶きのこ ▶しいたけ ▶きくらげ
<芋類>
▶じゃがいも ▶山芋 ▶さつまいも ▶ヤーコン
アボカドの栄養にはメリットもたくさん!
食べ過ぎには注意が必要ですが、アボカドの栄養にはメリットもたくさんあるので、適量を守ればプラスの効果が期待できます。アボカドの栄養の特徴をみてみましょう。
不飽和脂肪酸|悪玉コレステロールを減らす
脂質が多いならアボカドを食べたくないな、と思った方もいるかもしれません。確かに脂質はカロリーが高いので摂り過ぎると太る原因になりますが、体に必要な栄養素でもあります。特に不飽和脂肪酸は積極的に摂りたい脂質の1つなのですが、アボカドにはパルミトレイン酸やオレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富です[*1]。
不飽和脂肪酸は血管を良い状態に保って血圧を下げる作用があったり、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らす作用があります[*3]。アボカドで体に良い効果をもたらす脂質を摂取できるのです。
便秘解消に役立つ|食物繊維
アボカドには、便秘解消などに役立つ食物繊維が100gあたり5.6gと豊富に含まれています[*1]。食物繊維は成人男性で1日に21g以上、成人女性では18g以上摂取することが推奨されていますが[*4]、令和元年の国民健康・栄養調査の報告で男女とも目標値を下回っています[*5]。1日に摂りたい食物繊維量のうち、男性なら約1/4、女性なら約1/3の量をアボカド100gで摂ることができるのはうれしいですね。
塩分コントロールに役立つ|カリウム
アボカド100gあたりには59mgのカリウムが含まれています[*1]。カリウムはナトリウム(塩分)を排出する作用があるため、塩分の摂り過ぎによっておこるむくみを解消する効果があります。また、余分な塩分を排出することで血圧を下げる効果もあり[*6]、体内の塩分をコントロールしてくれる大切な栄養素です。
変形性関節症への効果|アボカド大豆不けん化物
アボカドと大豆から抽出されたサプリメント「アボカド大豆不けん化物」では、変形性関節症の痛みの軽減などが複数報告されています。しかしながら、アボカドを食べたからといってこの効果が得られるわけではありません。変形性関節症の場合は医師と相談のうえでサプリメントを検討してみるのもいいでしょう。
アボカドの選び方と保存方法
アボカドは生で食べられる手軽な食べ物ですが、食べ頃を見極めるのが難しいですよね。おいしく食べるためのタイミングや保存方法をお伝えします。
選び方|食べるタイミングに合わせる
アボカドはバナナやキウイフルーツのように追熟するので、食べるタイミングで購入時の選び方を変えるのがポイント。買ってすぐに食べるなら、張りがあってふっくらとした形で、皮の黒っぽいものがよいでしょう。2~3日後に食べるなら少し追熟が進んでいる深緑色のものがおすすめです。緑色が明るいものはまだ追熟に時間がかかるので、少し置いて黒っぽくなるのを待つとよいですね。
保存方法|状態に合わせる
アボカドの保存方法は状態によって変えましょう。
・熟して皮の色が黒くなったもの:袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存
・皮が緑色でまだ熟していないもの:常温で保存し、皮が黒くなるまで追熟させる
・半分に切ったもの:変色予防のため種付きのままラップに包んで冷蔵保存。断面に少量のレモン汁をかけておいても変色を防ぐことができる
このほか、熟したアボカドをペースト状にして少量のレモン汁と混ぜたり味付けをして、小分けに冷凍しておくこともできます。
妊娠中にアボカドを食べるときは?
アボカドは妊婦さんにとってうれしい栄養素をたっぷり含んでいます。サプリメントではなく食べ物として摂取する分には問題ありません。
妊娠中もおすすめ!ただしよく洗うこと
ホルモンバランスなどによって便秘になりやすい妊娠中は、食物繊維を積極的に摂りたいですね。食物繊維が含まれるアボカドを献立に加えてみるのも1つでしょう。葉酸や鉄分なども含むので、妊婦さんにおすすめできる食品です。
ただし、食べるときの大切な注意点があります。生で食べることが多いアボカドは食中毒のリスクを下げるために、調理の前にしっかりと洗いましょう。
また、カロリーと脂質が高いことも忘れず、アボカドばかりでなくいろいろな食材からカロリーや栄養をバランスよく摂取できるように心がけてくださいね。
まとめ
脂質の多いアボカドは食べ過ぎるとカロリーオーバーしやすいことに注意が必要です。しかし、良質な脂質やミネラルが含まれるというメリットもあります。手軽にいろいろな食材と合わせられるので、上手に取り入れていきたいですね。
(文:宗政祥子 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]消費者庁ほか:天然ゴム製品の使用による皮膚障害は、ラテックスアレルギーの可能性があります。アレルギー専門医に相談しましょう。
[*3]厚生労働省:e-ヘルスネット「不飽和脂肪酸」
[*4]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版
[*5]厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告
[*6]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます