【医師監修】赤ちゃんのプール遊び、おうちプールやレジャーに出かける年齢と気を付けたいポイント
暑いときのプールはとても気持ちがいいですが、水遊びには危険も付きものです。赤ちゃんがプール遊びを始めるのによい年齢、そして自宅や外出先、旅行先などでプール遊びをする際に注意しておきたいポイントなどを紹介します。
赤ちゃんのプール遊び、何歳からOK?
赤ちゃんのプールデビューは何歳ごろから始めるのがよいのか、シチュエーション別に目安を調べてみました。
赤ちゃんは何歳ごろからプールで遊べる?
おうちプールの場合
自宅の庭やベランダなどに出したビニールプールで遊ぶ「おうちプール」なら、座って遊ぶことができるので、比較的早い時期から楽しめます。赤ちゃんを抱っこしたまま大人も一緒に入って水遊びをするなら、さほど月齢を気にする必要はありませんが、子供だけがプールに入るという場合、一人座り(おすわり)ができることがひとつの目安になるでしょう。
一人座りができるようになる時期には個人差がありますが、厚生労働省の乳幼児身体発育調査によると、生後7~8ヶ月未満で半数以上の赤ちゃんが、生後9~10ヶ月未満になると90%以上が一人座りできるようになるといわれています[*1]。これを目安にしつつ、赤ちゃんの様子を見て決めるとよいでしょう。
レジャー施設などのプールの場合
プールのあるレジャー施設の場合は、子供用プールの水深によって遊べる年齢は異なってくるでしょう。乳幼児でも座って遊べるほど浅いプールがある施設であれば、おうちプールと同じくおすわりができるかどうかが目安になるでしょう。それよりもやや水深があるプールならば、しっかりと立って歩けるようになってから行くことをおすすめします。
またレジャープールではそれ以外にも、大人が着替えている間、更衣室で赤ちゃんをどう過ごさせるか、プールから上がった後、赤ちゃんの身体が冷えないようにどう着替えをさせるか、おむつ替えはどこでするかなど、確認しておきたいものです。
レジャープールに行く時は慌てず無理をせず、赤ちゃんの成長に合わせて十分な準備をした上で出かけましょう。
必ず大人が監視して!
プールなどでの水遊び中は大人が必ずそばにいて、絶対に目を離さないようにしておきましょう。
赤ちゃんはわずか2.5cmの水深でも溺れる可能性があります[*2]。子供は溺れる時、バチャバチャと水面をたたくなどせず、静かに沈むことが多いといわれています。「これだけ浅ければ大丈夫だろう」と油断せず、プールで遊ばせている間は、決して赤ちゃんや子供を一人にしたり、スマホなどに夢中になって目を離したりすることがないようにしてください。
また、プールの中におもちゃを放置していると、赤ちゃんがそれを取ろうとしてプールに落ち、溺れてしまうことも考えられます。遊び終わったら、外出先でもおうちでもおもちゃは水の近くからすぐに片付けるようにし、おうちプールは速やかに水を抜きましょう。
赤ちゃんのプール遊びで気を付けるべきポイント
赤ちゃんをプールで遊ばせる際、気を付けておきたいポイントは以下の通りです。
紫外線対策を忘れずに
赤ちゃんの肌は大人に比べ薄く、バリア機能も不十分。そのためプールで遊ぶ際も紫外線対策は必須です。日差しが特に強まる10時~14時はできるだけ避け、この時間帯に外で遊ぶ場合は、きちんと紫外線を防ぐ工夫をしましょう[*3]。
日陰の紫外線は日向の約半分とされているので[*3]、パラソルなどでできるだけ日の当たらない場所を確保するようにしましょう。また、紫外線防止効果のあるラッシュガードや帽子などを身につけるとともに、水着で覆われていない部分にはベビー用または子供用の日焼け止めを塗って、肌を保護しましょう。
日焼け止めの選び方
日焼け止めは防御指数に注意して選ぶのがおすすめです。肌が赤くなる日焼けの原因である紫外線・B波を防ぐ指標「SPF」は、屋外のプールなど炎天下のレジャーでは30以上(生後6ヶ月未満に使う場合は15まで)、肌が黒くなる日焼けを起こす紫外線・A波を防ぐ指標の「PA」は++~+++を目安にしましょう[*4, 5]。
目の保護も忘れずに
また紫外線の影響は赤ちゃんの目にも及びます。プールは照り返しもあり、紫外線が非常に強い場所。長時間紫外線の下にいることのないよう、なるべく日陰を作ってあげてください。子供用のUVカット機能付きのサングラスを使っても良いでしょう(使用する場合は、ツルが目に入るなどのケガをしないよう十分注意してください)。
赤ちゃんは自分で紫外線対策ができないため、成長に合わせた対策を大人がしてあげる必要があります。過度の紫外線は皮膚がんの原因になるだけでなく、将来シミやシワとなって表れたりすることも。乳幼児期の紫外線対策は重要です。面倒がらずに対策をしましょう。
熱中症や脱水症状にも要注意
意外と見過ごしがちですが、プールの中は熱中症や脱水症状が起こりやすい場所でもあります。
屋外プールの場合、水温が「中性水温」と呼ばれる33℃~34℃より高い場合は、水中でじっとしていても体温が上がり、熱中症のリスクが高まるといわれています[*6]。
中性水温より水温が高い場合は、風通しの良い日陰で休憩したり、シャワーを浴びるなどして、体温を下げる工夫が必要です。中性水温以下の場合は水が体温を下げてくれますが、この場合もこまめな水分補給を忘れないでください。赤ちゃんのうちは特に、自分で要求を伝えるのがまだ難しいので、周りの大人がしっかりと気を配ってあげてください。
感染症にかかることも
レジャープールで遊ぶ場合に多いのですが、プールに入ることによって感染症にかかるリスクが高まることがあります。例えば結膜炎や咽頭結膜炎(プール熱)などは、プールを媒介して感染が拡大する代表的な病気です。
また水中だけでなく、ロッカーや脱衣所などでウイルスや細菌、しらみなどの寄生虫に感染するケースもあります。遊んでいる最中やプールから上がった後も、体調が優れない様子やいつもと違う様子がないか、赤ちゃんをよく観察しておきましょう。
そのほか、赤ちゃんがプールの水を飲んでしまうことを心配する人もいるでしょう。プールの水は少しくらいなら飲んでしまっても心配する必要はありません。しかし大量に飲み込んでしまうと、体調の悪化につながる可能性があります。赤ちゃんが誤ってプールの水を飲まないよう注意しつつ、口に入った場合はできるだけ吐き出すよう言い聞かせましょう。
おむつのはずれていない赤ちゃんがプールに入るには
まだおむつがはずれていない赤ちゃんが水遊びをするときは、おうちプールであっても必ず水遊び用のおむつを着用しましょう。水遊び用のおむつはオムツの表面に撥水加工がしてあり、プールの水をおむつが吸って膨らむことがないようにできています。そのため赤ちゃんの身体にぴったりとフィットして、水中でも動きやすさが保たれます。
しかしながらいくら水遊び用でも、水中で排便してしまった場合、糞便がおむつから漏れ出してしまう可能性があります。排便したらすぐに交換するようにしましょう。また、赤ちゃんが下痢をしている時はプールで遊ぶことはやめましょう。
なおレジャー施設のプールでは、おむつが外れる前の赤ちゃんがプールに入るのをよしとしていないところもあります。水遊び用のおむつ着用でも入ることができるかどうか、事前に施設のルールを確認しておきましょう。
まとめ
おむつがはずれていない赤ちゃんのうちは、気兼ねなく遊べるおうちプールがメインになるかもしれません。パパやママは万一の事態を招かないよう、赤ちゃんから決して目を離すことなく見守ってあげてください。
赤ちゃんの体調や安全に気を付けながら、楽しくプール遊びができるとよいですね。
(文:山本尚恵/監修:梁尚弘先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省「平成22年 乳幼児身体発育調査」
[*2]Water safety: Protect your child from drowning - Mayo Clinic
[*3]日本小児皮膚科学会「お役立ちQ&A こどもの紫外線対策について」
[*4]Sun Safety and Protection Tips from the American Academy of Pediatrics
[*5]環境省 紫外線環境保健マニュアル2008
[*6]独立行政法人日本スポーツ振興センター 学校屋外プールにおける熱中症対策
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます