子どもたちがアートに触れる! 世代を超えて感性が交わる東京国立近代美術館のプログラムに密着
PR:東京国立近代美術館
春の気配が一気に広がり始めた3月28日(土)。東京国立近代美術館では、ちょっとユニークで風変わりな取り組みが行われました。その名も「中高生向けプログラム 自分をちょっとはみ出ると…」の集大成として実施された、小学生向けのイベント「ビジュツ発見隊」。中高生が自ら企画を手がけ、小学生にアートの世界を案内する内容です。美術館という静かな空間の中で、世代を越えた感性がどのように交わったのでしょうか? 今回は、美術への情熱と若干の緊張に包まれたイベント当日の様子をレポートします。
中高生が“伝える側”へ! プログラム内容と親からのリアルな声
東京国立近代美術館で実施されている「中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると…」は、昨年10月から始まった全8回の継続型プログラムです。中高生がアーティストや専門家との対話を重ねながら美術への理解を深め、最終的には「伝える側」として小学生を案内する活動内容です。
中高生の保護者アンケートでは、参加のきっかけとして「学校以外の世界を見てほしい」「美大進学を視野に入れ、キュレーションなどの実務に触れてほしい」「同じ感性を持つ友人と出会ってほしい」といった声が寄せられました。子どもたちが一歩外の世界へ踏み出すことへの期待感がうかがえます。
実際に参加した生徒たちにはさまざまな変化があるようで、保護者からは驚きと喜びの声が届いています。
高校2年生の保護者
美術館でじっくり絵画を鑑賞して帰ってきて、今まで以上にアートに興味を持って楽しんでいる様子です
中学2年生の保護者
毎回楽しみに行っています。行くたびに色々な発見や、色々な方のお話が楽しいようです。美術方面への進学も考えているようです
中学2年生の保護者
消極的な娘がワークショップを通じ、年代、居住地もバラバラの方々と関わることを楽しめるというのは新発見でした。ワークショップで作った作品は、今までの娘からは想像できない色のチョイスと配色で、タイトル通り『自分をちょっとはみ出ると』に繋がっていると感じました
中学1年生の保護者
美術に関心のある子どもたちが集まり、創造性と多様な感性がぶつかる刺激的な場だと感じています。毎回のプログラムも魅力で、普段はクールな娘が楽しそうに話す姿にその充実ぶりを感じ、親として嬉しく思います
アートを通じて自分の殻を破り、自信を深めている様子が伝わってきます。中には「美術館へ行こう」と子どもから誘われるようになったという声もあるなど、プログラムが親子のコミュニケーションにも良い影響を与えているようです。
「ビジュツ発見隊」いざ出発!
「ビジュツ発見隊」の当日。中高生たちは少し早めに集合し、バックヤードで最終打ち合わせを実施。少し緊張した面持ちの中高生たちが、念入りにこの日の流れを確認し合います。
最終確認が終わったら講堂に移動し、元気いっぱいの小学生たちを迎え入れます。よく見てみると、小学生の参加者もちょっとドキドキしている様子。
合流後は一度バックヤードに向かい、それぞれ簡単に自己紹介。小学生たちが早くリラックスできるよう、中高生たちが優しく声を掛け、緊張感をほぐしていきます。
そして、ついに「ビジュツ発見隊」スタート! 会場となるのは、4階から2階まで広がる広大な所蔵作品展「MOMATコレクション」の展示室です。
中高生たちは過去のワークショップを通じ、どのルートを通れば小学生が楽しめるか、どんな作品なら興味を持ってもらいやすいか、何度も話し合ってきました。ちなみに、参加者が自主性を発揮し、グループワークで「ビジュツ発見隊」を企画しています。
ツアーは趣向を凝らした4つのグループに分かれて進行しました。
Aグループは、まず美術館での基本的なマナーを丁寧に伝えることからスタート! 「走らない」「大きな声を出さない」といった約束を共有し、お兄さん、お姉さんとして小学生を案内します。
終始一緒に作品を見つめ、途中は屋外の椅子に座って感想会を実施。感じたことを画用紙にまとめる姿は、まさに真剣そのもの!
Bグループは中高生と小学生がマンツーマン形式で美術館を周回。「美術に『面白い!』を見出そう」を大テーマに、光の当たり方や距離で見え方が変わることや、美術作品から読み取れる情報の受け取り方などについて説明していきます。のめり込むように作品を眺めながら、時に自分なりの解釈を口にする小学生たち。そのピュアな視点に、中高生側も刺激を受けていたようです。
Cグループでは、中高生が作品の見方を説明したあと、小学生が自由に展示室を巡る時間を設けました。自分自身に似ている作品や、お気に入りの作品を探し、写真を撮影。最後はミーティングルームに戻り、スケッチブックへ感想などを書き込んで発表しました。「この絵は数列みたいで面白い」といった、小学生ならではの鋭い観察眼に中高生たちも思わず驚きの表情でした。
Dグループは「自分自身の好き」を見つける旅へ。中高生が自分の推し作品を熱心に説明し、小学生にも「これだ!」と思う一枚を見つけてもらいます。その後、選んだ作品の写真を元にポストカードを作成し、お互いに「好きポイント」をプレゼン。終始、和やかな空気が流れていました。
館内のルールをしっかりと守りながら、キラキラとした目で100年以上前の名画や現代の不思議なオブジェに見入る小学生たち。中高生たちの丁寧でありながら対等に接しようとする姿が、子どもたちの好奇心を一層刺激していたようです。
小学生たちと解散した後、中高生たちは「ビジュツ発見隊」のふり返りを実施。この日の感想をグループごとに発表し合いました。
中高生
『自分たちよりもアートに興味があるんじゃないか』というくらい、すごく興味津々に作品を見てくれていたのが印象的でした
中高生
小学生が思った以上に真剣に話を聞いてくれて、私たちが伝えたかった『見る距離による違い』を覚えてくれたのが嬉しかったです
中高生
学んだことをきちんと伝えられました。他の来館者の邪魔にならないよう気を付けるのが大変だったけど楽しかったです
多くの参加者がポジティブな達成感を得た一方、「緊張して想定通りにいかなかった」「小学生の質問に対して、どう話題を広げるかという点が難しかった」など、実践ならではの難しさを感じた中高生も多かったようです。
また、ある中高生は「全体として何を伝えたいのかが弱くなってしまった。ビフォーアフターでどう成長したかを見せる難しさを感じました」と、大人顔負けの視点で活動を振り返っていました。
プログラムは今後も実施予定!
“自分をちょっとはみ出て”みては?
今回実施した「中高生プログラム 自分をちょっとはみ出ると…」は、子どもたちが芸術に触れる機会の拡大を目指す国立美術館全体の取り組みである「Connecting Children with Museums」のひとつで、Adobe Foundationの支援のもと実施されています。
「一人でも多くの子どもたちに、楽しい美術館体験を届けたい」という想いから始まったこの取り組みは、全国7つの国立美術館でそれぞれの特色を活かしながら展開。美術館は「静かに過ごす場所」「少し敷居が高い場所」と思われがちですが、CCwMではファミリーデーの実施や鑑賞ツールの提供などを通じ、誰もが安心してアートに触れられる環境づくりを進めています。
「アーティスト・ワークショップ
「ふしぎなシーツ」」
撮影:石原敦志
「家族で!みんなで!
プリズムウィークエンド」
撮影:石原敦志
今回の取り組みは、次世代の文化の担い手を育むと同時に、美術館を「自分たちの場所」として主体的に関わるきっかけにもなるもので、今後も継続して実施される予定です。
“自分をちょっとはみ出て”、新しい一歩を踏み出してみたい中高生の皆さん、そしてお子さんに多様な学びの場を届けたいと考える保護者の皆さん、ぜひ次回の開催に注目してみてはいかがでしょうか? きっと、美術館という場所がこれまでとは少し違った景色に見えてくるはずです。