
野菜食べない2歳児の偏食に困った!意外な5つの克服方法とは【教えて保育士さん】
野菜を食べない2歳の子は多いもの。特定の野菜だけ食べない子、ご飯と肉・魚は好きなのに野菜だけ食べない子、野菜が入るメニューだと食が進まない子、様々です。鋭い味覚や嗅覚と、強い自立心(イヤイヤ期)を合わせ持つ野菜を食べない2歳児とどう向き合っていけばよいのか、あの手この手やおすすめレシピをご紹介します。
<保育園エピソード>2歳児ってこんなに野菜を食べないの?
離乳食が終わり、幼児食にも慣れてきたと思われる時期ですが、2歳児になると今まで野菜を食べていた子さえも急に食べなくなってしまうことが少なくありません。
ピーマンなど苦みがあるもの、トマトなど独特の食感やにおいがあるものならまだわかりますが、キャベツやカブなど大人からしたら特徴があるようにあまり思えない野菜すらも嫌われてしまいます。
チャーハンから細かく刻まれた野菜全てを取り除く果てしない作業

Aちゃんおやさいきらい!
しかし、食事への意欲はあるAちゃん。野菜は食べたくないけれど、給食を食べたい気持ちはあり、野菜の入ったチャーハンの献立の日、給食の時間に怒りながら泣いてしまいました。

そっかぁ、お野菜イヤなんだね
でもチャーハンは食べたいの?
じゃあ泣かないで、「お野菜イヤだからお野菜とって」って教えてね

お野菜とって…
ここで一つポイントなのが、Aちゃんが野菜という嫌いなものを通して「自分の気持ちを言葉で相手に伝える」ことを学び、経験できたということです。
野菜が嫌いなのは大人からすると悲しいことですが、悪いことばかりではなく、こうして子どもにとって自己表現の方法を学ぶ良い機会にもなります。

わかったよ、待っててね

ちょーだい
野菜を取り除き、Aちゃんが欲しがったら一旦その作業を辞めてAちゃんにスプーンを渡してチャーハンを食べてもらい、Aちゃんが噛んで飲み込むまでの間にまた野菜を取り除き、の繰り返しです。
もちろん保育園なので、この間にあと3人くらいの子どもの食事介助も行います。時々、わざと野菜の取り残しのある部分を渡してみます。

せんせい、はいってたよ
この日野菜は食べてもらうことはできませんでしたが、Aちゃんの成長にとって良かったことが3つあります。
一つ目は上記にもある通り、「自分の気持ちを言葉で相手に伝える」ことを学び、経験できたということです。
二つ目は、楽しく食事の時間を過ごすことができたことです。
そして最後の三つ目が、野菜に慣れることができたことです。
野菜を取り除いたのに? と思うかもしれませんが、まずAちゃんは野菜をちゃんと認識したことで、野菜を見慣れることができました。さらに、チャーハンの味を想像してみるとわかるかと思いますが、野菜全てを取り除いたとしても、野菜の風味はチャーハンに少し残っています。そのチャーハンを食べることで、Aちゃんは野菜の味やにおいに少しずつ慣れることができたのです。
2歳児が野菜を食べない原因や理由って何?

そもそも2歳児はなぜそんなにも野菜を嫌うのでしょうか? その主な理由を3つご紹介します!
理由1 大人よりも味覚・嗅覚が鋭い
野菜には独特な味やにおいがあります。大人にとってはおいしく感じられるそれらも、子どもにとっては強すぎて嫌う理由になります。
理由2 こだわりがい強い/イヤイヤ期だから

2歳児は自我が芽生え、自分のこうしたいという気持ち、こだわりが強くなる時期です。そのため、自分で野菜を食べない、これ(好きなもの)しか食べないと決めてしまうと、大人が何を言っても食べようとしないというのはよくある姿です。
理由3 大人がおいしいと思っている野菜の食感が、子どもにとってはおいしくない
よく野菜のおいしさを伝える時に「シャキシャキ」や「ポリポリ」「プチっとはじける」など食感を表現することがあります。
しかし、子どもはまだかみちぎる力が大人に比べて弱く、口の中の感覚も鋭かったり、その食感になれていなかったりするため、そうした食感をおいしいと感じられない場合があるのです。
例えば、大人はレタスのシャキシャキ感をおいしいと感じます。しかし、もしレタスの食感がガムのようだったら、同じようにおいしいと感じられるでしょうか?
野菜を食べない2歳児、克服方法5つ

野菜を食べない2歳児にはどのように対応するのが良いのでしょうか? 自我が芽生え、自己主張は上手になってきている2歳児ですが、まだ大人の話を聞き野菜を食べる必要性を理解する、我慢して食べるといったことは難しい年齢です。
それでも子どもが野菜を食べたくなるような、もしくはなんとか野菜の栄養を摂れるようなあの手この手を5つご紹介します。
1. 見せる|大人がおいしそうに食べてみせる
おいしいから食べてと直接自分に言われるよりも、大人が
「あ、おいし~!」
とおいしそうに食べる方がその食べ物に興味をもつお年頃です。
その日、その時は食べなくても、何度もその様子を見ることで興味をもち、自分も食べようとすることがあります。
2. 聞かせる|野菜にアテレコしてみる
大人の言うことは聞かないけれど、友達や、自分より小さい子などからのお願いは聞いてくれるのが2歳児のとっても可愛いところです。
そんな2歳児の頼られたい心をくすぐるように、
「〇〇ちゃんにたべてもらいたいよ~」
「私、〇〇ちゃんのお口の中に入りたいなぁ」
など野菜にアテレコしてみてください。
お兄さん、お姉さんの顔になって「いいよ」と言ってくれるかもしれません。
3. 読む|野菜の絵本を読んでみる

野菜に親しみを持つためには、野菜が出てくる絵本を読んでみるのも良いでしょう。
「あ、この野菜絵本に出てたね」
「大根さん、絵本で〇〇してたんだよね~」
など話すと、ぱくりと食べてくれることも多いです。
4. レシピの工夫①|野菜の味やにおい、食感のわかりにくい調理法
野菜の味やにおい、食感が苦手であれば、それらがわかりにくい料理にすることで食べてくれる可能性があります。そんな料理のレシピをご紹介します!
簡単!コールスローサラダ

マヨネーズは野菜嫌いの子に野菜を食べさせてくれる魔法の調味料です。
レシピは、よくゆでて柔らかくしたキャベツ、ニンジンとハムを細かく刻み、マヨネーズで和えるだけ。
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子どもが好きならコーンを入れてあげたり、ハムが苦手ならカニカマなどしてあげたりするのもおススメです。また、すこしだけお砂糖や甘みのある調理酢などを入れてあげるとぐっと食べやすい味になります。
5. レシピの工夫②|野菜を食べなくても野菜の栄養が摂れる調理法
野菜の栄養の中には、水の中に溶け出す性質をもつものがあります。その性質を生かして、野菜は入っていないけれど野菜の栄養が取れるのが、お味噌汁やコンソメスープなどです。
作る時には野菜をたっぷり入れて煮込み、子どもの器に入れる時には汁だけ入れてあげることで子どもに警戒心を抱かれることなく、少しずつ野菜の栄養を取り、野菜の風味に慣れさせていくことができます。野菜が見えないものとしては、スムージーやポタージュなどもおススメです。
そんな野菜のコンソメスープを使った、ちょっと意外なレシピをご紹介します!
野菜コンソメスープの寒天寄せ

①粉寒天と水(粉寒天の箱や説明書に書いてあるレシピに合わせた量)をお鍋に入れる
……この時、水がお鍋のどの高さまで入っているかをよく覚えておいてください。野菜が柔らかくなるまで煮込むため、その間に蒸発した分のお水を後から足さないといけないためです。目分量が心配な方は、竹串を鍋の底につけ、水面の高さに印をつけておくと良いでしょう。
②5mm角位に切った野菜とコンソメを鍋に入れる
……野菜はにんじん、大根、煮こむと柔らかくなりほぼ食感が無くなるようなものがおすすめです。
③野菜が食感が無くなるくらい煮こんだら、水の高さを確認して減た分の水を足し、再沸騰してから2分加熱を続ける
④火を止めて大きなタッパーに入れ、冷やす
……寒天は2分以上煮ないと固まりませんが、逆に長く煮すぎた場合は固まる力に影響はほとんどないため、たくさん煮ても固まります。
⑤寒天が固まったら野菜コンソメスープの寒天寄せの完成
野菜は下の方に沈んでいるため、上部分だけすくえば野菜の栄養が入ったスープ部分のみを子どもにあげることができます。食べられそうなら下の野菜が入っている部分もあげてみましょう。
冷蔵庫に入れておけばいつでもさっと出せるため、常備菜としても便利でおすすめです。
いつごろから野菜を食べるようになる?
野菜嫌いの2歳児は、いつごろから野菜を食べられるようになるのでしょうか?
3歳くらいから食べられることが多い

3歳児くらいになると、味覚や嗅覚、こだわりも和らぎ、野菜を食べられる子が多くなってきます。しかし大人にも「これだけは苦手」という好き嫌いがあるように、特定の野菜は嫌いなままのことも多いです。
しかし、必ずその野菜を食べなければいけないというわけではありません。
栄養は他のものからもとれるため、特定の嫌いなものに関してはあまり気にせず、楽しく食事の時間を過ごせることの方を大事にしていけると良いでしょう。
まとめ
2歳児は自我が芽生え、自己主張が上手になってくる時期です。それと同時に、ママやパパたち大人に言われたことは何でもイヤ!といいたくなるイヤイヤ期でもあります。そんな2歳児には真正面から「野菜を食べよう!」というのではなく、ぜひあの手この手の変化球で攻めてみてください。
また、もし野菜を全然食べなくても、元気であり、成長曲線にのっているなら心配しすぎないことも大事なことです。食事は毎日のことなので、そのたびに悩んでいると毎日がとても辛くなってしまいます。
健康の心配がある場合には、自治体の保険相談所に相談してみたり、かかりつけの小児科や、偏食外来などを受診してみたりしても良いでしょう。
(文:こまつなのは)
※画像はイメージです