ジャスミン茶は妊婦にNG?ノンカフェインなら大丈夫?【管理栄養士監修】
リラックスしたい時にジャスミン茶(ジャスミンティー、茉莉花茶)を飲むという人もいるでしょう。では、妊娠中でも飲んでも大丈夫なのでしょうか。妊婦さんがジャスミン茶を飲む際の注意点と併せて解説します。
妊婦にやすらぎをくれる「ジャスミン茶 」
ちょっと一息つきたい時に安らぎをくれるジャスミン茶。妊婦さんが飲む場合は何か特別な注意が必要なのでしょうか。
妊婦にうれしいジャスミン茶のリラックス効果
ジャスミン茶は、なんといっても香りが特徴です。
「ジャスミン茶の香りを嗅げば誰でも必ずリラックスできる」というわけではありませんが、自分が “落ち着く” 、“安らげる”と感じられる香りであるなら、取り入れてみるといいでしょう。妊娠中は不安になったり、気分が沈んだりすることもあるかもしれませんが、そんなときに好きな香りのお茶を楽しんで気分転換するのもいいですね。
妊婦が注意したいのはジャスミン茶のカフェイン
妊娠中に注意をしたいのはジャスミン茶に含まれるカフェインです。妊娠中はなぜカフェインに気をつけなければいけないのか、どのくらいなら大丈夫なのか、などを解説します。
妊婦がカフェインに注意が必要な理由
カフェインは、たくさんとりすぎるとめまいや眠れなくなったりするなどの健康被害をもたらすことがあります。また、妊婦さんがカフェインをとりすぎた場合の胎児への影響はまだわからないこともありますが、低出生体重につながる可能性があるとされています。
妊婦さんのカフェイン摂取については以下の記事も参考にしてください。
▶︎妊婦のカフェイン過剰摂取の影響とリスクとは?
妊婦がとってよいカフェインの量
妊婦さんがとってよいカフェインの量について、世界保健機関(WHO)では1日コーヒーならば3~4杯、英国食品基準庁(FSA)では1日カフェイン200mgまで、カナダ保健省では1日カフェイン300mg未満に制限するようにとしています[*1]。
飲み物100mlあたりのカフェイン量は、コーヒーで60mg、紅茶で30mg、緑茶で20mgとなっています[*2]。この他にも、エナジードリンクにも多く含まれますので注意しましょう。
飲料名 | カフェイン濃度 | 浸出方法 |
---|---|---|
抹茶 | 48mg/70ml | 抹茶1.5gを、70~80℃のお湯70mlで |
コーヒー | 60mg/100ml | コーヒー粉末10gを、熱湯150mlで |
紅茶 | 30mg/100ml | 茶葉5gを、熱湯360 mlで1.5~4分 |
緑茶(せん茶) | 20mg/100ml | 茶葉10gを、90℃のお湯430mlで1分 |
ウーロン茶 | 20mg/100ml | 茶葉15gを、90℃のお湯650mlで0.5分 |
ジャスミン茶に含まれるカフェインの量は?
ジャスミン茶は、ジャスミンの花ではなく、緑茶などの茶葉にジャスミンの香りをつけたものです。なので、カフェインの量はそのもととなっているお茶の種類によっても異なりますが、その多くは緑茶です。
緑茶(浸出液)は100mlあたりカフェインを20mg程度含んでいます。なので、1日に1,000ml程度は飲んでも問題ありません。ただし、他にもコーヒーなどのカフェインを含む飲み物を飲む場合は、そちらからのカフェイン摂取も考えて量を調節する必要があります。また、お茶は浸出時間などによっても異なりますし、気になる場合は、商品のラベルにカフェイン量などが書いてあればそれを参考にするのもいいでしょう。
ノンカフェインのジャスミン茶なら大丈夫?
通常ジャスミン茶にはカフェインが含まれていますが、最近はノンカフェインのジャスミン茶も販売されています。ノンカフェインならカフェイン量を気にせず飲むことができますが、どんな食材であっても偏りすぎはよくありません。水分をすべてジャスミン茶でとるなどの偏りは避け、いろいろな飲み物から水分をとりましょう。
ジャスミン茶の香りが子宮収縮を促す?
ジャスミンの香りが子宮に影響があるという、有効な論文などはありません。
なお、WHOが“信頼できる情報源”として紹介しているデータベース(Natural Medicines)には以下のように書かれています[*3]。
ジャスミン(JASMINE) 安全性:妊娠中および母乳授乳期
「妊娠中および母乳授乳期の通常の食品に含まれる量の摂取は安全です。ただし、「くすり」としての高用量摂取の安全性についてはデータが不十分です。食品の量の範囲内で摂取してください。」
好きな香りであればリラックスにつながりますが、もちろん嫌だと思う場合は無理に飲んだりする必要はありません。また、お腹が張る感じがするなど違和感を感じたらやめておきましょう。
妊婦がジャスミン茶を飲むときのポイント
ジャスミン茶を楽しむ時のポイントをおさえると、妊娠中でもさらに安心して楽しめるかと思いますので、以下にまとめます。
飲む量を調整する
ジャスミン茶を飲む量は1,000mlまでを目安にすることをおすすめしますが、たまにこの量を超えてしまう程度であれば特に問題ありません。
妊婦に厳禁なものは避けなければなりませんが、食べ物でも飲み物でも、偏って摂りすぎないことが大切です。カフェインに関してもそうで、細かく計算してきっちり量を計る……などと神経質になる必要はなく、どうしてもジャスミン茶多めに飲みたいということであれば、少し薄めにさっと抽出したものを飲んでみたり、お湯で薄めてみるのもいいですね。
飲み合わせに注意する
ジャスミン茶だけでカフェイン量を考えず、他にもコーヒー、紅茶、ココア、紅茶などカフェインを多く含む飲料をとっている場合には、ジャスミン茶の量とあわせて考える必要があります。
飲み合わせを考え、1日のうちにカフェインを含んでいるものばかりで水分補給しないようにしましょう。
温かいジャスミン茶がおすすめ
ジャスミン茶は冷たくてもその香りを楽しめますが、温かいほうが香りが立ちやすいのでおすすめです。暑い時期に無理してホットを飲まなくてもいいですが、温かい飲み物を楽しめるようであれば、ゆっくり時間をかけて香りを堪能するのもいいですね。
また、冷たいとついたくさん飲んでしまいがちです。そうするとあっという間にカフェインをたくさんとっていた、なんてこともあるでしょう。温かいお茶にすれば量をひかえられるというメリットもありますね。
まとめ
ジャスミン茶は花からできていると思っていた方もいらっしゃるかもしれませんね。実は香りがついている緑茶などなので、カフェインに関しては基本的には緑茶と同じように考えましょう。
ほかにも香りがついたお茶には、アールグレーというベルガモットの香りをつけた紅茶などもあります。妊娠中はなにかとストレスや不安などがあるかもしれません。そんなときには、香りがいいお茶で一息いれてみるといいでしょう。ただし、あくまでも妊娠中のお茶は少量を楽しむためのもの。ガブガブとたくさんそればかりを水のように飲むということをは避けましょうね。
(文:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
[*2]食品安全委員会「食品中のカフェイン」
[*3]日本医師会ほか監修「Natural Medicines 健康食品・サプリ「成分」のすべて」(同文書院)p.543-4
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます