【医師監修】生後1ヶ月の赤ちゃんの発育とおすすめの遊び方!この月齢のポイントは?
新生児のころからぐんぐん成長しているとはいえ、まだまだ小さくて頼りない生後1ヶ月の赤ちゃん。授乳とお世話の合間に一緒に遊んであげたくても、どんな遊びをしたらよいのかわからないママやパパも多いのでは。ここでは、生後1ヶ月の発育の特徴と月齢に合ったおすすめの遊び方を紹介します。
生後1ヶ月の赤ちゃんの発育
まずはこのころの赤ちゃんに合った遊びを考えるために、生後1ヶ月ごろの発育の状態を知っておきましょう。
五感の発達
視覚
生まれてまもないころの赤ちゃんは、白・黒・灰色の区別しかつきません。見え方もぼんやりしていて、目の前のものが動くのがわかる程度です。
その後徐々に視力は発達し、生後1ヶ月半ごろになると、まだよく見えてはいないものの、視線を固定してじっと見られるようになってきます[*1] 。
聴覚
赤ちゃんは、胎児のころから聴覚が備わっています。妊娠7ヶ月ごろには、専用の装置でママのお腹ごしに音を聞かせると、胎児がまばたきで反応する様子を観察できるようになると言われています[*2] 。
誕生後は外耳道の骨が発達するとともに、赤ちゃんの聴覚はさらに発達していきます。
聴覚が順調に発達している生後1ヶ月の赤ちゃんは、次のような様子を見せます[*3] 。
・突然音が聞こえるとビクッとして手足を伸ばす
・睡眠中に突然音を聞くと、目を覚ましたり泣き出す
・目が開いているときに急に大きな音がすると、目を閉じる
・泣いていたり動いているときに声をかけると、泣き止んだり動きが止まる
・近くでガラガラを鳴らしたり声をかけると、ゆっくり顔を向けることがある
触覚
赤ちゃんの触覚は、新生児のころから発達し始めています。
痛みや温度を感じ取る神経、触り心地や動きを感じる神経もある程度は備わっていますが、その刺激が脳で処理される機能は未熟です。色々なものを見て触りながら、育っていきます[*4] 。
嗅覚
生まれた直後の赤ちゃんは、「匂い」を頼りにママの乳首を見つけて吸おうとする仕草をします。ママの胸の匂いは「羊水の匂い」に似ているため、赤ちゃんが惹きつけられると言われています。
さらに、母乳を飲みながら、赤ちゃんはママの匂いをしっかりと記憶していきます。新生児のうちから、赤ちゃんは「ミルク」よりも「母乳」の匂いを好むという研究結果もあります。また、赤ちゃんは新しい匂いよりも「なじみのある匂い」を好み、その好みは2週間は続くとも報告されています[*5-8] 。
味覚
舌には、味を感じ取るための感覚器官「味蕾」があります。新生児の舌の味蕾の数は、実は大人よりもたくさんあります。そのため、赤ちゃんは大人よりも味覚が敏感で、薄い味でも反応しますが、月齢が進むにつれてこの感覚は鈍くなっていくようです。
ただ、赤ちゃんの場合、味覚は味わうというよりも、「反射的に味を識別する感覚」なのではないかと言われています[*9] 。
声だし(クーイング)
新生児は、ぼうっとしているか泣く程度の反応しかしません。でも成長とともに「あー」「うー」と声を出すようになっていきます。赤ちゃんがこうした、「あー」「うー」「くー」などの声を出すことを「クーイング」と言います。
最初は特に理由もなくクーイングをしますが、だんだんと自分の手や人の顔を見つめながら言うようになっていきます。
クーイングは早い子であれば生後1ヶ月ごろから、一般的には生後2~3ヶ月ごろから見られるようになります。ただしその時期には個人差があります。
赤ちゃんの発育に合った遊びをしてあげましょう
生後1ヶ月のころは、まだ自分からおもちゃを使って遊んだり自由に動き回ることはできません。
でも、ママの声を聞いたり匂いを嗅ぐ、見つめられたら見つめ返す、抱っこしてもらうなどの体を使ったコミュニケーションは大好きです。
ママやパパは、赤ちゃんの発達に合った遊びを楽しんでくださいね。
生後1ヶ月の赤ちゃんとのおすすめの遊び
ねんねしたままの赤ちゃんとは、どんな遊びができるのでしょうか。ここからは、生後1ヶ月の赤ちゃんにおすすめの遊びを紹介します。
(1)赤ちゃんとの会話(クーイングに応える)
赤ちゃんが「あー」「うー」「くー」などの声を出したら、「あーだねー」「うーうーね」など返事をしてあげましょう。
赤ちゃんはお腹の中にいるころからママやパパの声を聞いています。とくによく聞こえていたママの声には敏感に反応してくれるでしょう。赤ちゃんとの初めての会話を楽しんでくださいね。
(2)スキンシップを交えた遊び
触れ合い遊び
体を使ったコミュニケーションも心がけましょう。
泣いたらあやし、赤ちゃんが見つめたら見つめ返し、手を伸ばして来たらたくさん抱きしめて体温を伝えてあげてください。
また黙ってお世話をするだけでなく、ママの気持ちや今やろうとしていることなど、色々なことを赤ちゃんに話しかけてあげましょう。
縦抱っこであやす
片方の手で首から肩を支え、もう片方の手で腰を支え、無理のない程度に股関節を開いて縦抱っこをしてあげましょう。
そのまま声をかけたり、優しくゆすってあげてくださいね。
(3)面白い音を出す遊び
音や光に反応する時期なので、時々寝かせる向きを変えてみたり、あまり向かない方向から声をかけてあげましょう。
また、音の出るおもちゃを使って、あまり向かない方向からあやしてあげるのもおすすめです。
赤ちゃんが音の出る方を向いたら、たくさんほめてあげてくださいね。
(4)顔まね遊び
この時期の赤ちゃんは、人の顔を見てそのまねをすることもできます。この特徴を利用して遊びましょう。
赤ちゃんの顔から20~30cmまでの距離に近寄り、普通の表情で見つめてから、ベーッと舌を出してみてください。何度か繰り返すと、赤ちゃんも同じように舌を出してまねをすることがあります [*11] 。
他にも色々な表情をしてみて、赤ちゃんが上手にまねる様子をのんびり楽しんでくださいね。
生後1ヶ月の赤ちゃんと遊ぶ際の注意点
生後1ヶ月の赤ちゃんはまだまだ体が未熟です。そのため、一緒に遊ぶときには次の点に注意しましょう。
激しい揺れはNG
あやしているつもりでも、「赤ちゃんを激しく揺さぶる」のは危険です。
赤ちゃんの脳はとても柔らかく、簡単にダメージを受けてしまいます。また、赤ちゃんの頭は体に対して大きく、首もすわっていません。
そのため、赤ちゃんを激しく揺さぶると、首がムチのようにしなって頭の中に大きな回転力がかかり、脳の神経や脳のまわりの血管が引きちぎられてしまいます。この状態を「乳幼児揺さぶられ症候群」といい、言語障害や学習障害、歩行困難、失明などの後遺症が残ることがあります。最悪の場合死に至ることもあるのです[*12] 。
赤ちゃんを抱っこしてあやすときにはしっかりと首を支え、ママやパパの体ごと優しく揺れる程度にしてくださいね。
大きな声や音は避けましょう
隣の人と会話ができないほど大きな音や声を聞かせると、赤ちゃんの耳がダメージを受け「急性音響外傷」になることがあります。
急性音響外傷とは、難聴の1種で大きな音にさらされることで耳の中の「内耳」の機能が低下して起こります。聞こえづらくなるだけでなく耳鳴りがしたり、耳がふさがったような感じになったりします。
急性音響外傷は短時間で治ることもありますが、しばらく聞こえづらくなることもあります。一時的に治ったとしても、繰り返し大きな音や声を聞かせていると、だんだんと治りにくくなることもあります。
なお、音への感受性は1人1人で異なります。ママやパパが大丈夫でも、赤ちゃんが難聴を起こすこともあるのです。
隣りの人の声も聞き取れないほどに大きな音や声は、赤ちゃんに聞かせないようにしてくださいね。 また、赤ちゃんの耳の近くで音の出るおもちゃを鳴らすのもやめましょう。
まとめ
生後1ヶ月になると新生児のころよりもさらに五感は発達し、「アー」「ウー」と少しだけ声も出すクーイングをする子も出てきます。また、授乳のときなどにママやパパをじっと見つめることもあります。
この時期は、声を出したら声を出し返したり、抱っこで触れ合ったり、色んな顔を真似させたりして遊びましょう。ただし大きすぎる音や声を聞かせたり、赤ちゃんを強く揺さぶらないように注意してください。反応があまりなくても焦らず、赤ちゃんとの遊びをのんびり楽しんでくださいね。
(文:大崎典子/監修:三木崇弘 先生)
※画像はイメージです
[*1]「園医のための眼科健診マニュアル」日本眼科医会
[*2]AMERICAN ACADEMY OF PEDIATRICS Committee on Environmental Health Noise: A Hazard for the Fetus and Newborn PEDIATRICS Vol. 100 No. 4 October 1997
[*3]国立成育医療研究センター「改訂版乳幼児健康診査身体診察マニュアル」
[*4]「感覚器の成長・発達」バイオメカニズム学会誌,Vol. 32, No. 2 (2008
[*5]「総説『におい』の生物学」小児保健研究 第74巻 第3号,2015(355~360)
[*6]Marlier L, Schaal B: Human newborns prefer human milk: conspecific milk odor is attractive without postnatal exposure, Child Dev. Jan-Feb 2005;76(1):155-68.
[*7]Schleidt M, Genzel C: The significance of mother's perfume for infants in the first weeks of their life, Ethology and Sociobiology, Volume 11, Issue 3, May 1990, Pages 145-154
[*8]Davis LB, Porter RH: Persistent effects of early odor exposure on human neonates, Chemical Senses, Volume 16, Issue 2, April 1991, Pages 169–174,
[*9]「保育と食育 1.子供の味覚の発達」『ふたば No.69/2005』母子健康協会
[*10]「Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび 1か月頃の赤ちゃん」赤ちゃん&子育てインフォ
[*11]「赤ちゃんが泣きやまない 泣きへの理解と対処のために」厚生労働省
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます