
【医師監修】手足口病に要注意!赤ちゃんや乳幼児の予防法
5歳以下の子供に多いという感染症「手足口病」。今回、手足口病の特徴や症状、感染経路、そして予防方法をご紹介していきます。
手足口病の特徴


※画像はイメージです
手足口病とは
手足口病は、ウイルス感染症の一種です。特徴的な発疹が、口の中や手足などに現れるため、病名の由来となっています。毎年の報告では、感染者のおよそ90%は5歳以下が占めています。そのため、乳幼児のご家庭では特に注意したい病気と言えるでしょう
複数回かかるもの?
手足口病の原因ウイルスは主に「エンテロウイルス71(EV71)」や「コクサッキーウイルスA6、A16」など、複数あります。原因ウイルスが複数あるため、複数回かかることもあります。
夏の時期に大流行
手足口病は、流行時期も特徴的です。具体的には、例年7月下旬にピークを迎えるなど「夏」に流行の兆しを見せます。最近では2011年に大流行したことが記憶に新しいですが、2013年にもかなりの大流行となりました「※1」。
また、同じ夏の感染症であるヘルパンギーナと同時期に流行することもあります。両方とも口の中に発疹ができるので、一番重症化するケースは「脱水」となります。
ママ・パパは、流行情報を押さえて感染対策をしっかりと心がけましょう。
手足口病の症状とは
どのような症状?
手足口病の症状については「発疹や水疱」が主ですが、まれに発熱の症状もあります。以下に詳しく、手足口病の初期症状をご紹介します。
■2~3mmの発疹
感染後3~5日程度で、手のひら、口の中、足の底、足背などに発疹が現れます。手足口病は口の中の水疱(水ぶくれ)で痛みを訴えるケースも多いでしょう。
■発熱
発熱しても、あまり高熱にはならず、長続きすることもありません。39度越えの高熱はまれです。具体的には、発熱するのは全体のおよそ1/3程度と言われています。つまり、手足口病になっても必ずしも発熱するわけではないのです。
■治癒
発病しても、適切な治療によって、ほとんどは数日間のうちに完治します。逆に、数日経っても治らないようであれば、合併症を疑う必要があるでしょう。
中枢神経合併症を引き起こす事も
また、まれに手足口病には、髄膜炎など中枢神経系の合併症が起こって、重症化することがあります[※2]。元気がない、頭痛がある、嘔吐する、高熱が出る、発熱が2日以上続くなどの症状がある場合は必ず受診しましょう。
手足口病の原因と感染経路とは
手足口病には「接触感染」「飛沫感染」「糞口感染」の、3つの感染経路があります[※3]。
3つの感染経路
■接触感染
ウイルスが付着した粘膜や皮膚に触れることで感染します。手洗いを徹底することも1つの予防方法ですが、完全に予防することは難しいかもしれません。
■飛沫感染(ひまつかんせん)
せき・くしゃみによって、原因となるウイルスが飛び散ることが感染経路となります。100%とはいきませんが、マスクの着用が最も効果的な飛沫感染の予防法と言えるでしょう。
■糞口感染(ふんこうかんせん)便の中に排泄されたウイルスが口に入ることで感染します。 赤ちゃんのオムツ交換などをするママ・パパの場合には、十分に考えられる感染経路と言えるでしょう。特に、赤ちゃんの世話をして食事の用意もするママ・パパは、十分な手洗い・消毒をせずに食物を扱うと、大変危険と考えられます。
手足口病に有効な予防方法とは
ワクチンや予防薬は現状存在しない
手足口病に有効なワクチンや予防薬も現状では存在しません。そのため、自宅や保育園・幼稚園などで「予防の意識を高めること」が特に大切となります。
集団生活には注意が必要
すでにご紹介した感染経路を見てもわかるとおり、手足口病は「集団生活において流行しやすい」といえるでしょう。保育園・幼稚園などから帰宅した際は、ママ・パパは子供に「手洗いを徹底すること」を指導・実践してください。
小さな子供は、何でも口に入れてしまう傾向があるため、それでも完全に予防することが難しいかもしれません。そのため、子供がよく触れるおもちゃなどは頻繁に消毒するとベターかもしれません。なお、乳幼児の場合はウイルス感染の未経験者が多いでしょうから、集団感染した場合には、その多くが発病すると考えられます。
排泄物の処理にも注意を
便内に排泄されたウイルスが口に入ることによる「糞口感染」には注意が必要です。おむつなど、排泄物の処理を適切に行い、その後の手洗いと消毒を心がけてください。
手足口病になってしまったら
基本的には対症療法
手足口病は、風邪などと同様の「対症療法」が基本となります。ウイルスそのものに効く特効薬は存在しません。特別な治療法はなく、経過観察で症状に応じた治療となります。
水分不足の際は経口補液などで補給
口の中の発疹などで、食事や水分が取れない状態が続くため「脱水」にも気をつける必要があります。経口補水液(水と電解質を含み、その吸収速度を高めるため糖質が少量配合された飲み物)などで、少量ずつ水分を補給するようにしましょう。
まとめ
手足口病は、適切な対処によって数日も経たないうちに治ります。しかし、まれに、中枢神経系の合併症(髄膜炎、小脳失調症、脳炎など)が起きて重症化することもあります。脱水に注意し、しっかりと体を休め、気になる症状がないか観察してください。また、周りにうつさないよう症状がなくなるまで保育園や幼稚園を休みましょう。
※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)