
ママもパパもぐっすり眠りたい…! 赤ちゃんのネントレ「消去法」で親の睡眠時間を確保
やっと暑さが和らぎ、秋がやってきました。秋の夜長はぐっすり眠りたいものですが、赤ちゃんが寝てくれないと親も眠れませんね。そこで小児科医の森戸先生にネントレの一つである「消去法」を教えてもらいました。
赤ちゃんって意外と寝てくれない

赤ちゃんというと、授乳時以外はスヤスヤと眠っているイメージがあるかもしれません。でも、実際はそうじゃないことが多いですよね。我が子が「なかなか寝てくれない」「ずっと泣いてるんだけど……」と悩むお父さん、お母さんは本当にたくさんいます。
生まれたばかりの赤ちゃんは空腹なとき以外はあまり泣かないのですが、その後は泣く回数も時間も少しずつ増えていきます。そうして生後4カ月くらいまでは昼夜の区別なく、眠ったり起きたりを繰り返すものです。親になると、なかなか長時間休むことができませんね。
それ以降は、だんだんと睡眠のリズムができてきて、夜間にまとまって眠ってくれるようになるのですが、ところが今度は夜泣きに悩まされます。夜泣きのピークは生後6〜8カ月頃で、長いと3歳頃まで続きます。
ですから、乳幼児のお母さん、お父さんは寝不足で疲れてしまうことが多いと思います。できるだけ夫婦で交代で対応したり、祖父母など他の家族にみてもらったり、昼間に短時間でも眠るようにしたりして、睡眠時間を確保しましょう。
特に産後のお母さんは出産でとても疲れていますから、無理をしすぎないことが大切です。というのも、睡眠不足は「産後うつ病」につながる可能性があるからです。
国立成育医療センターの調査結果によると、産後1年までの妊産婦の死因は自殺が最多です。以前から出産後の女性の10人に1人が「産後うつ病」になることが知られていて、これが自殺の多さにつながっているといわれています。
一人で眠るためのスキルを育てる「消去法」
では、子供を早く速やかに寝かしつけて、親の睡眠時間を確保するには、どうしたらいいのでしょうか? 近年、注目されているのが「消去法」です。
欧米では子供が生まれて少し経つと、親子は別の部屋で夜間を過ごすようになります。これは子供が一人で眠ることを練習するためで、とても合理的です。ベビーモニターなどを使って、お腹がすいたりして泣いたとき、急病などの際には対応できるようにします。
一方、日本を含むアジア圏では親が子供と同室で就寝し、少しでも泣くと授乳したり抱っこしたりするのが普通です。もちろん、この方法も愛着が育ちますし、大変でなければ悪いことではありません。でも、子供が「寝なければ、ずっと親がそばにいてくれる」と学習をしてしまうのです。
こうした「寝なければ、ずっと親がそばにいてくれる」というご褒美を取り除き、子供が自分で自分を落ち着かせて一人で眠るためのスキルを育てる方法が消去法です。消去法を行うと、眠りにつくまでの時間、夜間に起きる回数や時間、睡眠効率が改善することが、様々な研究によってわかっています。
具体的には、親が子供を決まった時間に別室に寝かせ、朝までなるべく手を出さないようにするだけ。もちろん必要な授乳はしますが、夜泣きに対して抱っこや授乳、眠るまであやすなどはしないようにします。ベビーモニターを設置したり、ときどき様子を見に行ったりするといいでしょう。
細かい部分は、それぞれのご家庭の考えやお子さんの個性に合わせてアレンジしてもいいですね。例えば、あらかじめ決めておいた時間(15分など)を超えても泣いていたら様子を見に行く、同室で寝るとしてもそっとしておくなどです。ぜひ試してみてくださいね。
最後に夜泣きがひどい、易刺激性の場合、鉄分欠乏症が関連しているケースがあります。離乳食が進まないと、成長期に欠かすことのできない鉄が不足し、そのせいで過敏になることがあるのです。生後5カ月以降に母乳だけで粉ミルク・液体ミルクを飲まず、離乳食を嫌がる場合は、母乳中の鉄だけでは足りないことからシロップ剤などで鉄を摂る必要があります。小児科で相談してみましょう。