
「ずる賢く、臆病になる」子ができないこと|アドラーの5つの言葉から学ぶ“思春期の子”への対応
子育てにおいて、もっとも悩むことの多い時期でもある、子どもの“思春期”。 では、親としてどんな心構えでいるのが良いのでしょう……?
40年にわたって日本にアドラーを伝え続け、著者累計100万部を超える岩井俊憲氏。そんな岩井氏による現代に生きる私たちのためにわかりやすく超訳した『超訳 アドラーの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、子育ての悩みが軽くなり、勇気が湧いてくるアドラーの言葉を一部抜粋して連載(全3回)でお届けします。
今回は、
✅思春期の子育てに役立つアドラーの言葉をお届けします。
◾️罰や説教は子どもにとってよくない

子どものライフスタイル形成を考えたときに、重要なことを指摘しておきたい。
「罰を与える」「叱る」「説教する」という方法は、子どもにとっていい影響はないということだ。
「どこを変える必要があるのか」という点を、子どもはもちろん大人もわかっていないなら、いくら叱っても何も成果はない。
「なぜ叱られたのか」「どこを変えるべきか」などを理解できない子どもは、ずる賢くなり、臆病になるだけだ。その子のライフスタイルの原型は、罰や叱ることでは変えられない。
その子の中では、すでに、「ものごとの意味づけ」「どのように受け取るか」といった認識のクセ・方法ができ上がっていて、そのクセ・方法を通して、「罰を受けた」「叱られた」という経験を受け止めるからだ。
まずは、原型、根底にあるライフスタイルを理解しないと、何も変えることはできない。
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『生きるために大切なこと』
◾️思春期は子どもにとっての試練
思春期にはたくさんの危険がある。したがって思春期に人のライフスタイルが変わることがあるという人がいるが、それは真実ではない。
思春期というのは、成長する子どもに、新しい環境と試練を突きつけているだけなのだ。
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『人生の意味の心理学 下』
◾️適切な教育を受ければ思春期に問題はない
子どもが、自分を社会において対等な一人の人間だと感じることができ、組織や社会(共同体) に貢献するよう教育を受けてきたとする。さらには異性をパートナーであり、対等な人間だと思うように教育を受けてきたとする。であれば、その子どもにとって思春期は問題ではない。
大人になるための課題に対し、自分なりに考え、自分で解決をするために工夫する時期にすぎないのが思春期だから。
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『人生の意味の心理学 下』
◾️思春期は「行きすぎる」傾向がある
思春期というものは、どの子どもも「試練にぶつかっている」と思うものだ。「もはや自分は子どもではない」と証明しなければならないために、あせっているのだ。
これは、気をつけなければいけない感情だ。
なぜなら「何かを証明しなければいけない」と感じるときは、いつでも「行きすぎる」傾向があるからだ。もちろん思春期の子どもたちも、往々にして行きすぎるものだ。
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『子どもの教育』
◾️お互いを理解することが基本条件
「子どもを理解できない」と悩む親、「親に理解してもらえることはない」と嘆く子どもの話を聞くことは多い。
しかしながら、人がお互いに協力し合いながら生きるためには、お互いを理解することは、基本条件となる。人をちゃんとしっかり理解することができれば、人はもっとよりよく快適に共生することができる。
私たちは、お互いのことをよく理解せず、上辺だけのことに惑わされ、他人の外見にだまされるような危険性があるがために、共生がうまくいかなくなるのだ。
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『人間知の心理学』
この記事は、岩井俊憲著『超訳 アドラーの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・再編集したものです。詳しくは下記をご覧ください。
