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2025年02月08日 10:31 更新

娘の非行にショック! どう対処する? 親のNG行動とは| 子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本#3

成長の一過程だとわかっていても、親にとって辛い時期である子どもの思春期・反抗期。素直だったわが子からの反抗的な態度にショックを受けたり、カッとなったり……。しかし、子どもが反抗的な態度を取るのは親の“ある行動”に原因があるようです。

自分の親との関係を見つめ直し、感情を受け止めれば見えてくる子どもが幸せになるための心がけ

長年、親子関係・人間関係の悩みに向き合い続けてきた英国の心理療法士フィリッパ・ペリーさんが親子の絆を深めるための秘訣をまとめた話題の書。

私たちがどう育てられ、それが実際の子育てにどう影響するか、私たちがどんな間違いをおかしやすく、それにどう対処すればいいかを深い洞察とともに丁寧に解き明かした『子どもとの関係が変わる自分の親に読んでほしかった本』 (日経BP 日本経済新聞出版)から一部抜粋してお届けします。

今回は「青年期の子どもとの接し方」についてです。

青年期の子どもにどう接するか

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言い古されたことではありますが、思春期というのは子どもの成長における一段階にすぎません。一人前の大人になるのはだいたい20代半ばです。それまでは、リスクテイキングと意思決定において間違いをおかすことも多いのです。これは脳の前頭葉が未発達なせいだと考えられています。前頭葉は思考の多くを司る部位で、脳のほかの部分としっかりつながるまでに時間がかかります。一方、前頭葉が未発達な時期に、興奮を感じるセンサーのほうは人生最大のピークを迎えます。ティーンエイジャーが、幼い子どもや大人よりも物事を深刻に受けとめるのはそのためです。感情がほぼ衝動によって動かされている10代のあいだ、「それは良くない考えだ」とか「そんなことをしてはいけない」などと考える能力は未発達なままです。衝動をコントロールできるようになるのが比較的遅い人もいますが、行動を起こす前に結果を見通す能力が一生身につかないなどということはありません。大半の人はいずれできるようになります。

子どもが初めて主体性を意識する幼児期の一段階と同様に、10代の子どもにも充分な愛情と、境界線と、親の楽観(感情も衝動もいずれはコントロールできるようになると信じる気持ち)が必要です。行動は新しい節目を迎える直前に最も不安定になります。大人が白黒で体験していることを、10代の子どもはフルカラーで体験しているのだと想像してみてください。こういう感情のエネルギーが、音楽やスポーツのような創造的な活動に向かえばいいのですが、望ましくないほうへ向いてしまうケースも決して珍しくはありません。親の仕事は、境界線を引くこと、意見を出しあって解決策を探す場を設けること、あまり大騒ぎしすぎないことです。

青年期の子どもに接するには、先ほど示した3つのステップが唯一の対処方法というわけではありません。この節目を通過するにあたって、家族ごとに独自の対処方法や関係修復方法があっていいと思います。以下はソフィアの事例です。

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帰宅すると煙のにおいがしました。リビングに行くと、16歳の娘のカミラが友人と一緒にいました。私は以前からこの娘の友人があまり好きではありませんでした。おおげさなふるまいが鼻につくのです。

「煙草吸ってた?」私は娘の友人に尋ねました。娘が静かに言いました。「違うよ、ママ、2人で吸ってたんだよ」。しかし私はそれには耳を貸さず、娘の友人への小言を続け、この家で煙草を吸ってほしくないのだと言いました。すると、普段は行儀のいい娘が激怒して、私に向かって怒鳴りはじめたのです。「違うって言ってるでしょ、ママ、あたしなの! 友達を悪く言うのはやめて! あたしの話をちゃんと聞いてよ!」

友人が帰ると、娘の勢いはなくなりました。私はショックを受けていました。こんなふうに感情を爆発させるなんて、ぜんぜん娘らしくないと思ったので、こう言いました。「私にあんな口をきくなんて、がっかりだわ。いまはそばにいてほしくないから、階上に行って」。帰宅した夫に何があったかを話しました。夫の返事はこうでした。「ぼくたちだって昔は煙草を吸ってたじゃないか。きみが吸いはじめたのはいまのカミラと同じ年だろう。カミラはただ、自分が天使で、友達は悪魔のように思われるのはうんざりだって伝えたかっただけなんじゃないかな。きみはあの友達についてはずいぶん早くから決めつけていたよね」

夫のおかげで、娘の視点で状況を捉えられるようになりました。また、10代の頭のなかがどんなふうだったかも思いだしたので、気持ちが落ち着きはじめました。

夫と話をしながら出来合いのペストリーの生地を延ばしていたので、それを残り物のパイの上にのせました。「タバコ ハ ドク」という文字の形に切り抜いて、パイのてっぺんを飾ったのです。娘に対する仲直りの申し出でした。夕食をとりに降りてきたとき、娘は決まり悪そうにしていたのですが、パイを見ると笑いだし、家族全員で大笑いしました。張り詰めた空気は消えてなくなりました。

娘はパイの写真をフェイスブックにあげ、煙草がばれて母親と怒鳴り合いのけんかになったと投稿しました。「和平のパイ」と命名した夕食のことも書きました。娘の友達がこんなコメントを書き込みました。「お母さん、煙草の吸殻でパイをつくって、それを食べさせればよかったのに」。いくら私でも、そんなことはしませんよ!

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10代の子どもと一緒につらい時期を過ごすことになったら、このエピソードを思いだしてください。目の前の状況を子どもの視点で捉えることが普段からできているなら、そう遠くない将来、この一家のように子どもと一緒に笑うことができます。親子関係は修復できるのです。とくにあなたのほうから言葉で伝え、行動すれば。

また、子どもがあなたをどう思おうと、それを否定しないことです。10代の息子や娘について親が思う姿は、半年前には正しかったとしても、いまはもう違っています。半年前ならあなたが宿題を手伝うのを喜んでいた子が、いまはもう煩わしいと感じるようになっているかもしれません。

子どもからうっとうしいとか、間違っていると指摘されたときには、弁解がましくなってはいけません。あなたが我慢の限界に近づいているとしても、もっと楽に聞きいれられる形であなたへの不満を表明できるように手を貸したほうがいいのです。その場合も、相手のことを決めつける言い方ではなく、自分の気持ちをはっきり伝えることに慣れていると、より容易になります。

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この続きは、是非書籍でご覧ください。

子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本
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『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』(日本経済新聞出版)

※本記事は、『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』著:フィリッパ・ペリー、翻訳: 高山真由美/日経BP 日本経済新聞出版)より抜粋・再編集して作成しました。

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