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2025年02月21日 07:42 更新

算数が苦手な子の親に特徴はある?得意な子の親とのちがいは?|りんご塾長 田邉亨先生インタビュー後編

「算数でつまずいてほしくない」という親の気持ちとは裏腹に、算数が苦手な子は多いもの。その原因や、対処はどうすればいいのでしょうか。また幼児期からできることはあるのでしょうか。算数オリンピックで多くの受賞者を輩出するりんご塾代表で『天才!! ヒマつぶしドリル』シリーズ(Gakken)の著者・田邉亨先生のインタビュー後編。

インタビュー前編はこちら

算数が好きになる一歩は自信をつけること

――算数が嫌い、苦手になってしまう原因としてどのようなことが考えられますか?

田邉 家庭においての原因は、勉強をさせすぎることだと思います。子どもに算数の勉強を押しつけてしまうことですね。

当然ですが、学校や塾のクラスのうち半数以下の子は平均点より下になります。集団である以上それは仕方のないことですが、半数以下の子たちは、毎回、劣等感を植え付けられてしまいます。それを防ぐためにできることは「絶対評価」の漢字検定や算数検定などに取り組んで、どこまでできたか確認することです。

検定は自信をつけるのにおすすめです。合格すると「算数検定に受かった」「漢字検定も受かった」と自信がついていきます。全国模試的なもので、算数で100点を取ることもいいですね。どんなテストでも、満点を取れば1位です。これは大きな自信になるので。つらくなったときに「でも僕は、算数は1位だもんな」と思えるような、そんな経験をたくさん積ませることが重要だと思います。

――何よりもまず自信を持ってもらうのですね。

田邉 一定の自信を持って、また競争に戻っていく。それで負けてしまっても、自信が失われることはありせん。自信がある状態で負けたら「くやしい! もっと努力して次またやる!」となるんですよ。逆にまったく何もやらなくて、成果も出してこない状態で戦って負けたら「ああ、僕はダメだ」となってしまいます。よりどころがないですからね。

すでに算数が苦手でも挽回できる可能性はある!

――小学1年生ですでに算数が苦手な様子があったらどうすればよいでしょうか。

田邉 文章問題が苦手な場合や指を使って計算してしまう場合は、その子の中で数字と問題が結びついていないように思います。まずは数字を順にたどって絵を描く点つなぎがおすすめです。簡単すぎるときは大人用のものでもかまいません。文章問題を間違えたら、親が一緒に音読をすることをおすすめします。音読した後に問題を解ければ内容は理解できているとわかりますし、つまずくところに気づけます。

低学年で算数が苦手だとか、数字が頭に入っていないような子には、そろばんもおすすめです。そろばんで桁数を増やしたり、計算したりをどんどんやっていくといいですね。

――小学校高学年で算数が苦手でも、挽回できますか?

田邉 時間はかかりますが、私はすべての教科は国語と同じ点数まで伸びると考えています。だから算数が苦手でも国語で80点が取れているなら、算数も必ず80点を取れると思って、そこを目指してください。まずは学校のテストとか、漢字検定でもいいので、1ヶ月で成果が出るようなもので、自信をつけさせてあげる。とりあえず満点か合格を取って自信をつけさせてください。

小学校の段階で算数が苦手になる子のほとんどは、自信がないんですよ。だからテストで100点をとったら、おうちの壁に貼ったらいいと思います。どんなテストでも、漢字の小テストでもいいです。目につくところにあれば、落ち込むことがあってもそれを見ると元気が出ると思いますね。100点のテストをどんどん壁に貼っていって、「もう貼るところがない!」となったら最高じゃないですか。

――100点のテストで壁を埋めるためにがんばろう、と思うかもしれないですね。

田邉 テストでミスをして98点や99点を取ったとき、「おしい!」とか「もったいない」という声かけもよくありません。
算数ができる子の保護者は、ミスをしたら「こういうふうなミスをするんだね」と分析したり「これが入試じゃなくてよかったね」と声をかけたりします。だから、子どもがテストでミスをしても「これが入試じゃなくてよかった!」と考えて、普段からそのように子どもに伝えるとよいと思います。ミスを責めると子どもはテストを隠しますから。

「11の倍数探し」でゲーム感覚で算数力を伸ばす

――算数を苦手にしないように、幼児期から家庭で取り組んだほうがよいことはありますか?

田邉 算数につながる遊びは何でもやってください。折り紙でも、あやとりでも、塗り絵でも、パズルでも。これらはすべて算数の力と関係してくるので、こういった遊びの中から、その子がおもしろいと思うものをやるといいですね。1から10まで書けて、100まで数えられたらそろばんもできますし。

小学生にも、入学前のお子さんにもおすすめの遊びがあります。車に乗っているとき、ほかの車のナンバーをたし算することです。足して10になるものを探すなど、いろいろなやり方がありますが、おすすめは「11の倍数探し」です。8888や7777といった4桁のぞろ目は、すべて11の倍数。それ以外でも、偶数桁と奇数桁をそれぞれ合計した数をひいたとき、0か11になると、それも11の倍数になります。

例えば、ナンバーが「8888」の場合。偶数桁の合計は8+8=16、奇数桁の合計は8+8=16になります。これをひき算すると、16-16=0ですね。

「8272」の場合は、偶数桁の合計は8+7=15、奇数桁の合計は2+2=4。15-4=11で、11の倍数とわかります。

この方法で、車に乗っているときなどに、子どもに11の倍数を探してもらってください。これは5桁以上でも同じ結果になります。消費税が10%の場合、税込み価格のものはすべて11の倍数になりますね。偶数桁をたした数と、奇数桁をたした数で、大きい数から小さい数をひくと、必ず11になります。だから買い物のときにやってみてもよいでしょう。日常の中で算数を使ってできる遊びなので、ぜひやってみてください。

――車に乗っている時間や買い物のときにできるのはいいですね。さっそく子どもと一緒にやってみたいと思います。

親に信頼されている子は成績が伸びる

――最後に、子どもの勉強について悩みがある保護者に向けて一言お願いします。

田邉 勉強が伸びる子は、親に信頼されている子。そうした子は成績が伸びます。ただ、どんなに信頼していても親が塾に頼り切ってしまう場合は伸びません。だから、それぞれの塾の特徴を見極めて、この部分は塾に任せて伸ばそう、この部分は子どもを信頼して任せようと判断をしてください。この力を伸ばしたいから、それが得意なこの塾に入れよう、という選び方をしてほしいですね。

――子どもの好奇心や遊び心をつぶさないこと、信頼することですね。塾選びも肝に命じたいと思います。田邉先生、ありがとうございました。

(取材・文:佐藤華奈子/編集:マイナビ子育て編集部)

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