【医師監修】赤ちゃんにアイスはいつから? おすすめアイスとNGな注意点
暑い夏、赤ちゃんにアイスをあげてみたら喜ぶかもと思う親御さんもいるでしょう。赤ちゃんにはいつからアイスをあげて大丈夫なのか、市販のアイスの選び方やおすすめの手作りアイス、あげるときの注意点とあわせて紹介します。
アイスはいつからあげられる?
アイスは口に入れると溶けて形がなくなり、噛まなくても飲み込めるので、赤ちゃんにも早くからあげられると思われるかもしれません。ただし、アイスには赤ちゃんにあげるとき、いくつか気をつけたい点があります。
早くても1歳以降がおすすめ
牛乳をはじめ、含まれる材料にアレルギーがないことがわかっていれば、離乳食後期から与えても大きな問題はなさそうな気がしてしまいますが、アイスはお菓子と同じし好品のひとつ。
離乳食を順調に進めていくためにも、アイスを与えるなら「早くても1歳以降にする」のがおすすめです。必要な栄養素があまり含まれないのに、砂糖がたくさん入っていて口当たりの良いアイスの味を覚えてしまうと、薄味で食感も不慣れな離乳食に慣れるのがより難しくなる可能性があります。
また、市販のアイスには乳脂肪、砂糖のほかに、乳化剤、安定剤などの添加物も含まれています。この点からも、あまり早い時期に与えない方が良いでしょう。
むし歯になりやすい時期ということも忘れないで
生後半年以降は乳歯が生え始めてくる時期でもあります。乳歯は永久歯と比べてエナメル質や象牙質の厚みが半分程度と薄く、むし歯になりやすいものです。中でも歯が生えてからエナメル質が強くなっていくまでの2~4年間は最もむし歯になりやすい時期といわれ、乳歯のむし歯は1~5歳に発生しやすくなっています[*1]。
アイスには砂糖が多く含まれているので、むし歯にも要注意です。
赤ちゃんにアイスをあげるときの注意点
1歳以降の赤ちゃんにアイスをあげるときも、次のことに気をつけましょう。
材料を確認。アレルギーにも注意する
アイスの原料として、牛乳のほかに卵が使われることも。牛乳や卵にアレルギーがないかチェックが終わってから与えましょう。また、原材料をよく確認してナッツやイチゴなど、与えたことのないものが入っていないかも確認してください。
そして、できるだけ添加物が入っていないシンプルなアイスを選びましょう。市販のアイスは、乳固形分と乳脂肪分が含まれる量によって、多い順に「1.アイスクリーム」「2.アイスミルク」「3.ラクトアイス」「4.氷菓」の4つの種類別に分けられています。この種類別は容器にも記載されています。
「アイスクリーム」には植物油脂が添加されませんが、アイスミルクとラクトアイスには添加されることがあります。材料がシンプルという点では、バニラの「アイスクリーム」がおすすめです。
あげるなら少量にする
アイスは赤ちゃんにとっても冷たくておいしく、喜んで食べるので与え過ぎてしまう可能性も。食べすぎると、離乳食をあまり食べられなくなってしまいます。食事に響かないよう、与えるならあくまでも少量に留めましょう。
なお、幼児の場合、間食(おやつ)の適量は、1日に必要なエネルギー量の約10~20%、1~2歳児の場合、100~200kcalを目安にします[*2, 3]。ただし、幼児にとって「間食」とは本来、食事の一部。アイスで間食を間に合わせるのはおすすめできません。
幼児は胃袋が小さく、消化機能も未熟で、1日3回の食事では必要な栄養量を摂り切れません。これを補うために摂るのが「間食」なので、アイスのようなし好品より、消化が良くうす味な乳製品、果物類、いも類、豆類、穀類をメインにするのが理想的です。
アイスのカロリーは製品によってさまざまですが、1カップあたり250kcalくらいのものであれば、多くても1/5個程度の量にしておいたほうが良いでしょう。
食べた後は歯磨きを
アイスは口の中ですぐに溶けるため、歯の隙間に食べかすが詰まることはありません。でも歯の表面には付着しています。砂糖が多く使われているので、ほかの甘いおやつと同様に、食べたら歯磨きを忘れないようにしましょう。
赤ちゃんにあったアイスを選ぶ
市販のアイスは原料を低温殺菌してから凍結まで一貫して工場で行いますが、店頭で作っているソフトクリームは、ソフトクリームの原料のミックスをそれぞれのお店で開封し、機械に流し入れてから冷やし固めています。衛生面から、お店で作って出されるソフトクリームは念のため3歳くらいまでは控えた方が良いでしょう。
赤ちゃんがアイスを気に入って、できればもっと食べさせてあげたいと思うときは、冷やした自家製フルーツスムージー、フルーツピューレ、シャーベット、ヨーグルト、カットフルーツなどを代わりにあげてみるのもいいでしょう。下記を参考に、手作りも検討してみてください。
赤ちゃんにおすすめの手作りアイス
赤ちゃんにあげるなら、素材を選んでやさしい味で作れる手作りアイスもおすすめです。
豆腐をベースにしたアイス
絹ごし豆腐にバナナやイチゴなどのフルーツや育児用ミルクを加え、なめらかになるまでよく混ぜて凍らせます。途中、取り出してよく混ぜて戻すことを2~3回くりかえすと、豆腐アイスが完成します。凍らせずに離乳食として与えるなら、豆腐とフルーツが食べられる月齢の赤ちゃんから楽しめます。
フルーツシャーベット
赤ちゃんが好きなフルーツを絞った果汁を凍らせると、自家製フルーツシャーベットに。果汁100%のジュースで作っても。なお、果汁も栄養が少なく、母乳やミルク・離乳食を摂取しなくなってしまうなどの理由で1歳になるまでは与えない方が良いと言われているので、やはりあげるなら1歳を過ぎてからにしましょう。
市販の手づくりキットを使う
1歳からの赤ちゃんのために、甘さと乳脂肪分を控えめにした手作りアイスのもとも販売されています。牛乳や育児用ミルクを使って、手軽に赤ちゃんにぴったりのアイスを作ることができます。
まとめ
暑い夏においしいアイス。でもおいしいのは脂肪や糖分がたっぷり入っているから。赤ちゃんにいつから与えるかは各家庭の判断になるものの、早くても1歳以降がおすすめです。手作りアイスなら、材料を工夫すればもっと早くからあげることもできます。一度アイスの味を覚えると、たくさん食べたくなってしまうもの。離乳食の進め方やむし歯のリスクも考えながら、赤ちゃんにもひんやりしたアイスの味を少しだけ楽しませてあげたいですね。
(文:佐藤華奈子/監修:大越陽一先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省 第 2 章 歯・口の健康づくりの理論と基礎知識
[*2]高野陽ら:母子保健マニュアル 第7版, 南山堂, 2010
[*3]日本人の食事摂取基準(2020年版)乳児・小児
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます