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2021年01月27日 13:23 更新

【医師監修】子供の理想的な睡眠時間はどのくらい?年齢(月齢)別の平均まとめ

よく「寝る子は育つ」と言われますが、体も心も成長途中の子供にとって、十分な睡眠は大人以上に重要です。ここでは、子供の睡眠にくわしい森田麻里子先生のアドバイスとともに、年齢ごとの理想的な睡眠時間、睡眠不足の影響、子供にスムーズな眠りの習慣を付けるコツを紹介します。

<森田麻里子先生からのアドバイス>
子供にはどのくらいの睡眠時間が必要なのか、あまり知られていません。でも、十分な睡眠をとることは、子供たちの健やかな成長のためにとても大切です。年齢ごとの適切な睡眠時間を知って、それぞれのお子さんやご家庭にあった起床・就寝時間を決める目安にしてみてくださいね。

子供の理想的な睡眠時間は?

子供の理想的な睡眠時間
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子供にとって理想的な睡眠時間は、年齢によって徐々に変化していきます。

成長とともに徐々に短くなっていく

National Sleep Foundation(米国立睡眠財団)が発表した各月齢・年齢における推奨睡眠時間と許容睡眠時間は次の通りです[*1]。

年齢(月齢)  推奨睡眠時間 許容睡眠時間
0~3ヶ月 14~17時間 11~13時間、18~19時間
4~11ヶ月 12~15時間 10~11時間、16~18時間
1~2歳 11~14時間 9~10時間、15~16時間
3~5歳 10~13時間 8~9時間、14時間
6~13歳 9~11時間 7~8時間、12時間
14~17歳 8~10時間 7時間、11時間

個人差はありますが、年齢があがるにつれて必要な睡眠時間はだんだん短くなり、大人の睡眠時間に近づいていきます。

日本の子供の平均睡眠時間はどのくらい?

では、日本の子供たちは実際どのくらい眠っているのでしょうか。

日本の子供は睡眠時間が少なめ!?

日本は世界のなかでも、国民の睡眠時間が最も少ない国といわれています。子供も例外ではありません。17ヶ国の 0~3 歳を対象とした睡眠習慣の国際比較によると、日本の子供の1日あたりの総睡眠時間は11.62 時間で、最も短いという結果でした[*1]。

年齢別にみてみると、2005年に日本の首都圏の0歳6ヶ月~6歳就学前の乳幼児をもつ保護者、約3,000人を対象に行われたアンケート調査では、年齢や状況ごとに算出した平均睡眠時間は下記であったと報告しています[*2]。

1歳6ヶ月~3歳10ヶ月の未就園児 平均10時間10分
1歳6ヶ月~3歳10ヶ月の保育園児 平均9時間26分
3歳11ヶ月~6歳11ヶ月の保育園児 平均9時間26分
1歳6ヶ月~3歳10ヶ月の保育園児 平均9時間22分
3歳11ヶ月~6歳11ヶ月の幼稚園児 平均10時間13分

なお、日本小児保健協会が1980年・1990年・2000年に行った幼児期の睡眠習慣に関する調査では、1歳半と2~6歳のすべての年齢で夜10時以降に寝る割合が年々増加していました。起床時刻には大きな変化がないことから、夜更かしが睡眠時間の減少の一因であることがわかりました。

2010年の同じ調査ではこの傾向はやや改善され、10時に就寝する子の割合は2000年の36%から22%に。それでも5人に1人以上が夜10時に寝ていて、遅寝の子供が多いのが現状のようです[*3]。

睡眠不足で起こる問題は?

睡眠不足で起こる問題
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ほんの少しの睡眠不足では、そこまで問題にならないと思っていないでしょうか。少しの睡眠不足が積み重なり「睡眠負債」と呼ばれる状態になると、数々の病気のリスクを高める、イライラが続くなど、心身に影響します。

また、体内時計が乱れることも問題です。人間の体は体内時計によって毎日決まった時間にホルモンなどが分泌され、血圧や体温の調節などを行っています。夜更かしが続くと体内時計と生活リズムにずれが生じ、だるさ、腹痛、頭痛といった時差ボケのような症状につながります。子供に関しては次のような問題も指摘されています。

成長・発達の問題

子供にとって睡眠は成長や発達とも深い関わりがあります。人の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、周期的にこの2つの睡眠を繰返しています。レム睡眠時には自律神経やホルモンのリズムが整えられ、記憶や感情が整理されます。

また深いノンレム睡眠時には成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や育成、骨や筋肉の形成が行われています。幼児期に睡眠不足が続くと、脳や体の発育に悪影響があると考えられます。

体の問題

睡眠不足や睡眠の乱れが続くと、注意力や集中力の低下、頭痛や消化器系の不調などが現れることがあります。こうした不調のほか、幼児期の睡眠時間が少ないと、肥満のリスクが高まるともいわれています。

3歳児健診時点での肥満児を除外して行った追跡調査では、3歳で 11 時間以上の睡眠をとっていた子供が中学1年生までに肥満になる確率は 12.2%だったのに対して、9時間台の子供は 15.1%、9時間未満の子供は 20.0%で、睡眠時間が短くなるほど肥満の発生率が上昇していたと報告しているものもあります[*4]。小児肥満は生活習慣病にもつながります。その予防のためにも睡眠は大切です。

学業成績にも影響が

睡眠不足は学業成績の低下にもつながりかねません。幼児でも適切な睡眠をとれていないと認知能力に遅れが見られると指摘されています。アメリカの高校生の学業成績と睡眠習慣の関係についての調査では、睡眠時間の短い子供ほど成績が悪いという結果に。日本の調査でも、睡眠時間が短いまたは長すぎる高校生では成績が低下していることがわかっています[*4]。

子供がなかなか寝ない原因とその対策

子供がなかなか寝ない原因とその対策
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子供がなかなか寝ないときに考えられる原因と対策を知っておきましょう。

昼寝が多い

幼児期の子供は昼寝をとりますが、これが長すぎると夜に寝つけなくなることがあります。2歳を過ぎてから夜の寝つきが悪くなったら、昼寝の途中、眠りが浅そうなときに起こして30分ほど早く切り上げましょう[*5]。

ママやパパと離れるのが不安

夜眠るとき、ママやパパがいないと不安になるのはよくあることです。1歳以降であれば、ぬいぐるみや人形などを「ねんねのお友達」にして持たせ、一緒に寝かせるといいでしょう。

お気に入りのぬいぐるみや人形など、家にあるものの中から子供と一緒に選んでみてください。なお、選ぶ際には、窒息や誤飲の危険があるボタンやリボン、電池などの部品がついていないか、詰め物がはみ出ていないか確認してあげてくださいね。

パジャマや寝る前に読む絵本を子供自身に選ばせることでも、子供の不安が和らぐ場合があります。

些細なことが刺激になっている

大人にとっては何でもないことが、子供にとっては大きな問題となっていることもあります。きょうだいの誕生や寝る場所が変わった、新しい先生になった、予定が変更されたといった変化で寝つきにくくなることも。

アレルギーや風邪、中耳炎なあどで眠れないこともあるので体調にも気をつけてあげましょう。歯が生えるといった外からはわからない体の変化で眠れなくなることもあります。

鼻詰まりや熱など、病気の疑われる症状がある場合は、小児科などの医療機関を受診しましょう。歯ぐずりについては、下記の記事を参照してください。

疲れすぎている

日中しっかり運動をするのは大切なことです。スムーズに寝つくためにも運動は欠かせません。ですが子供を疲れさせようとしてやり過ぎてしまうと、かえって寝つきにくくなってしまうことも。

子供が疲れて眠そうにしていたら、就寝時間の前でも寝かせてしまった方がいいでしょう。いつもの時間まで起こしていたら、疲れすぎて寝かしつけが大変になってしまうかもしれません。

身体的な病気が影響している可能性も

健康的な生活リズムを作り、寝室の環境も整えているのにまだ寝つきが悪い、日中に眠そうにしているなど問題が解決しないときは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの身体的な病気が影響している可能性もあります。集中力の低下や多動、学習面の問題も睡眠不足が原因となっている場合があります。家庭でできることをやっても改善しないときは専門家に相談してみましょう。

日本では、4人に1人が子供のころに何らかの睡眠の問題を経験するといわれています[*4]。睡眠障害がある子供では、必要な時期に適切な治療を受けることが大切と指摘されていますが、子供の睡眠障害はまだ通常の医療機関ではあまり扱われないのが現状です。かかりつけの小児科での対応が難しい場合は、すまいの近くで「小児睡眠外来」や「睡眠外来」を探して相談してみましょう。

毎日スムーズに寝つくためにできること

毎日スムーズに寝つくためにできること
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子供が楽に寝つけるように、毎日実践したいことを紹介します。

毎日同じ時間に寝起きする

就寝時間が遅くならないように寝る時間を決めて、その時間に寝られるように夕食や入浴を済ませましょう。起床時刻を決めることも大切です。人の体内時計の周期は24時間より少し長めになっています。そのため、眠くなった時に寝る生活では、遅寝遅起きになってしまいやすいのです 。

毎朝同じ時間に起きて朝日を浴びることで、このわずかなズレはリセットできます。なお、寝る時間に合わせて起きる時間を変えていると、生活リズムが乱れがちに。寝るのが遅くなっても、次の朝はいつもの時間に起きましょう。

寝る前に強い光や電子機器を見ない

夜眠くなるのは、「メラトニン」というホルモンが脳から分泌されているから。このメラトニンは、液晶画面の光に含まれる「ブルーライト」を浴びると分泌が妨げられてしまいます。またブルーライトによって脳が興奮して覚醒し、寝つきが悪くなります。

同じ光の明るさでも、子供は大人より光を感じやすいと言われています。さらに子供の方がより強い光を浴びる可能性があります。子供は体が小さいので、スマホやタブレットなどを持った時に画面から目までの距離が近くなり、また熱中すると画面にどんどん近づいていきがちだからです。

寝る前のテレビ・スマホやタブレットの視聴やゲームは、短時間でもおすすめできません。使用するなら、就寝時間の1〜2時間前までを目安に、「夜7時以降は使用しない」など子供にもわかりやすいルールを決めておきましょう。

寝る前のルーティンを決める

寝る1時間ほど前から、部屋の照明を薄暗くします[*5]。照明の色を変えられるなら、暖色系の色にしましょう。間接照明にするのもいいでしょう。

その後、お風呂、歯磨き、トイレをすませ、寝る前のルーティンを決めて実行します。絵本の読み聞かせもいいですし、寝室で1日を振り返る、子守唄を歌うなど、子供と相談してルーティンを決めておきましょう。寝る時間が遅くなってしまいそうなときでも、ルーティンには充分な時間をかけてください。その方が結果的に寝つきやすくなります。

まとめ

子供の睡眠時間のまとめ
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日々の家事や育児、仕事の両立で、理想の生活リズムを作るのが難しい家庭も少なくないでしょう。それでも子供の健やかな成長に十分な睡眠は欠かせません。今すぐ完璧にすることが難しくても、夜のルーティンと起床時刻を守り、寝る前のテレビやスマホ、ゲームを控える、寝る前に照明を暗めにするなど、できることから始めてみてください。

(文:佐藤華奈子/監修:森田麻里子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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