【医師監修】新生児の便秘の症状って? 原因や対策方法まとめ
生まれて間もない赤ちゃんでも、便秘をすることはあります。でも、新生児のうちは口にするものもうんちの状態も大人とは違います。新生児の便秘とはどんなものなのか、その原因や対策とともに紹介します。
新生児の排便の特徴って?
新生児のうんちの特徴
新生児は「生後1ヶ月まで」の赤ちゃんのことを指します。
大人の場合、正常なうんちは茶色くてバナナのような形をしていますが、新生児のうんちは色も状態も違います。便秘のことを知る前に、まずは新生児のうんちについて知っておきましょう。
まず、赤ちゃんはほぼ生後24 時間以内に生まれて初めてのうんちが出ます[*1]。
これを胎便といい、胎内にいたころや生まれる時に飲み込んだ羊水や腸の分泌物、胆汁色素、脂肪、コレステロールなどから出来ています。粘っこい感じで、色は緑がかった黒色をしています。
生後2~4日目くらいには、母乳やミルクを飲み始めるため、胎便に黄色いうんちが入り混じって出るようになります。日を重ねるにつれて、だんだんとうんちは黄色味が強くなります。
胎便がすべて出切ると、うんちの色は黄色~茶色になります。母乳だけ飲んでいると、ミルクだけ飲んでいる赤ちゃんよりも黄色味が強いと言われています。
また、母乳の子もミルクの子も、時々緑色のうんちをすることがあります。これは胆汁色素が腸の中で酸化して緑色になるためで、赤ちゃんの機嫌がよく食欲があれば心配いりません。
ただし、
・うんちが淡黄色
・濃い黄色や暗褐色のおしっこが続いている
・生後14日を過ぎても新生児の肌や白目がくすんだ黄色をしている
これらの症状がみられる場合は注意が必要です。肝臓から腸へ胆汁を運ぶ管がふさがってしまう「胆道閉鎖症」のことがあるからです。
胆道閉鎖症の赤ちゃんの70~80%は、生後4週までにうんちの黄色い色が薄くなって淡黄色になります。残りの20~30%の赤ちゃんも、生後2ヶ月までに淡黄色のうんちをするようになります。胆道閉鎖症は9,000人に1人の確率で起こるまれな病気ですが、母子手帳や両親学級などで配られている便色カードと赤ちゃんのうんちを見比べて、症状が当てはまると感じたときは、早めに小児科か小児外科に相談をしましょう[*2]。
なお、うんちにはよく粒々も混じっています。これは消化しきれなかった脂肪やカルシウムで、 赤ちゃんに消化力がついてくるとこの粒々はだんだんと減っていきます。
新生児のうんちは、臭いも大人とは違います。
大人のような臭さはなく、すっぱい匂いがします。この匂いは腸内に善玉菌のビフィズス菌がたくさんいるためで、健康の証です。
排便の回数は徐々に減っていく
新生児は腸の働きが未熟なこともあって、うんちの回数が多めです。母乳のみ飲んでいる赤ちゃんの場合、うんちは1日に1回の子もいれば、授乳のたびにうんちをする子もいます。ミルクのみの赤ちゃんの場合は、うんちの回数は1日に1~4回くらいだと言われています[*3]。
生後3ヶ月くらいまでは、母乳のみ飲んでいる赤ちゃんは、ミルクのみの赤ちゃんや混合の赤ちゃんよりもうんちの回数は多めですが、生後6ヶ月ごろから回数はだいたい同じくらいになっていきます。
1歳になるころには、1日に2回くらいになる子が多くなりますが、赤ちゃんによっては引き続き1日に何回もうんちをする子もいます。
新生児の便秘の症状って?
こんな症状があったら便秘かも
このように、新生児のうんちの回数は成長とともに減っていきます。
そのため、それまでに比べてうんちの回数が減っただけでは便秘とはいえません。うんちの回数が減るとともに、
・うんちが出るたび激しく泣いたり不機嫌になる
・お腹が大きく膨らむ
・母乳やミルクの飲みが悪くなる
・吐きやすくなる
といった様子が見られたら、便秘の可能性があります。
なお、新生児の場合、便秘になってもうんちが硬くなったり肛門が切れて血が出たりすることはあまりありません。 うんちはドロドロだったり水っぽいのに、何日も出なくなって苦しい思いをすることがあるのです。これは「排便困難症」と呼ばれていて、便秘の1つとして対応策を取ることになります。
おならも溜まっておなかがパンパンに
新生児は通常、1日に数回うんちやおならをします。ところが便秘になると、うんちとともにおならも腸の中に溜まることがあります。そんな時にはお腹がパンパンに膨らんでしまいます。お腹が張って母乳やミルクをほしがらなくなったら、おならがたまっている可能性もあります。
また、出したおならが臭いことも。腸内フローラが乱れると、異常発酵によって臭いおならがお腹にたまることがあるためです。
ただし、お腹が張ったりおならが臭いだけでは便秘とは言えません。前の項に書いた症状が見られるかどうかをチェックして、それとともにお腹の張りやおならの臭いもある場合は便秘の症状だと考えられます。
新生児の便秘の原因とは
新生児ならではの便秘の原因
新生児の便秘は、腸の働きが未熟なために起こります。 育児に問題があって便秘になるわけではないので、安心してくださいね。
なお、低月齢で母乳のみ飲んでいる赤ちゃんが便秘になり、機嫌が悪かったり体重が増えない時には、母乳が不足している可能性もあります。
おっぱいの張りが少なかったり、赤ちゃんがなかなか乳首を離さなかったり、授乳後も短時間でおっぱいを欲しがって泣く時には、母乳不足を疑ってみましょう。1~2週間ごとに計っても体重が増えていなかったら、母乳不足の可能性もあります。
便秘を引き起こす病気もあります
腸の形や機能に異常がある病気によって、赤ちゃんに便秘が起こることもあります。腸閉塞は、胃腸が生まれつき閉じていたり、狭まっていること、また、ぜん動運動がうまくできないことで起こります。
腸閉塞の症状は、その原因や程度によってさまざまですが、繰り返す嘔吐が多く、他におなかが膨れる、腹痛、便秘などがみられます。
便秘の対処方法は?
おしりの刺激
新生児が便秘になったら、おすすめなのが綿棒を使用してやさしくおしりを刺激する方法です。
綿棒刺激
綿棒の先にオイルを塗り、綿の部分がおしりの中に隠れるくらいにしっかりと挿入します。綿棒の真ん中あたりを持つと、おしりの中に入れ過ぎることを防げます。
なお、赤ちゃん用の細めの綿棒ではなく、通常の綿棒を使うとより効果的です。
マッサージをする
お腹のマッサージなどでお腹の外側から適度に刺激を与えるのもおすすめです。
お腹のマッサージ
おへそを中心に数分間、手のひら全体を使って、「の」の字を描くようにお腹をマッサージしましょう。このマッサージは入浴後や授乳の前、赤ちゃんがいきんでいる時にすると、より効き目があります。
足の運動
赤ちゃんの両足を軽く持って、左右交互にゆっくりと前後させるのも、お腹への刺激になります。 赤ちゃんの足を強く引っ張ったり無理に曲げたりしないように、軽くゆっくりと動かしてあげましょう。
排便が5日間以上ない場合は受診を
便秘かと思っていたら、前述したように病気が隠れていることもあります。
また、病気が原因で便秘になったわけではなくても、うんちがたまっているのは赤ちゃんには不快なことでしょう。
うんちが出ないまま5日間以上経ってしまったら、小児科で診察してもらいましょう。
便秘以外のこんな症状には特に注意!
便秘になって5日間以上経っていなくても、便秘をしている赤ちゃんに次の症状が1つ以上見られたら、大至急、小児科や急患診療所で診てもらいましょう[*4]。
・おまた(陰のう、股のつけ根)を痛がる
・お腹がパンパンに膨らんでいる
・不機嫌だ
・コーヒーの残りかすのようなものを吐いた
・触ると嫌がる
・泣き止まない
・なんとなく元気がない
・発熱がある
まとめ
生後1ヶ月までの赤ちゃんの場合、母乳なら1日当たり1回~哺乳をするたびにうんちをします。ミルクのみ飲んでいる赤ちゃんの場合は、1日に1回~4回くらいうんちが出ます。色は黄色~茶色ですが、緑色のうんちが出ることもあります。ただ、成長とともにうんちの回数は減っていくため、うんちの回数が減っただけでは便秘とは言えません。赤ちゃんの機嫌や母乳・ミルクの飲みっぷり、お腹の張りなど、うんち以外の様子にも注意をしてみましょう。また、綿棒浣腸やお腹のマッサージなどをしても便秘が続いたり、お腹の張りがひどかったり泣き続けている時は、診察を受けましょう。
(文:大崎典子/監修:梁尚弘先生)
※画像はイメージです
[*1]川中ら:ヒルシュスプルング病患児の初回胎便排泄時間についての検討, 日本小児外科学会雑誌, 第21巻4号, 1985.
[*2]厚生労働省 2012 胆道閉鎖症早期発見のための便色カード活用マニュアル
[*3]「お母さん・お父さんのための1ヶ月健診子育てガイドブック」制作:香川県小児科医会
[*4]日本小児科学会:こどもの救急
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます