1歳児ご飯を食べない問題!よくある4つの理由と対処法【教えて保育士さん】
子どもがご飯を食べてくれないと、ついそのことばかり考え、悩んでしまう人も少なくありません。しかし、まずは1歳児の食事で本当に大事にしたいことは何なのかを考えてみませんか?今回は1歳の子がご飯を食べない場合のよくある理由と、すぐにできる対処法を保育士さんに解説いただきます。
- 1歳児の子がご飯を食べない! うちの子だけ?
- ご飯を食べない1歳児、多いというより「当たり前の姿」
- 職員会議での「1歳児クラスの残飯が多いです」
- 1歳児がご飯を食べない原因や理由とその対処法
- 1. ご飯に興味が向かない
- 2. 食事の形態が合っていない
- 3. 味付けや食材が苦手
- 4. 体調が悪くて食べない
- ご飯を食べない1歳児に悩むママパパへ贈る「4つのポイント」
- ポイント① 食材にこだわりすぎず、栄養素で考える
- ポイント② 1食で考えず、1日、1週間のトータルで考える
- ポイント③ 食事の時間帯に一時保育などを利用する
- ポイント④ 外食、冷凍食品、ベビーフードを活用
- いつごろからちゃんと食べるようになる?
- まとめ
1歳児の子がご飯を食べない! うちの子だけ?
子どもがご飯を食べないと保護者はとても不安になってしまいます。特に1歳児ごろは卒乳したり、ミルクを飲んでいたとしても栄養はほとんど食事からとるようになるので、その不安は一層大きくなります。
ご飯を食べない1歳児、多いというより「当たり前の姿」
安心してください! というのもおかしいかもしれませんが、1歳児でご飯を食べない子はたくさんいます。
1歳から2歳にかけては離乳食の完了から幼児食に代わる時期であり、食事の形態や出てくる食材の変化がとても大きな時期です。子どもは変化に敏感で、かつ個人差が大きく、この食事の形態や食材の変化に慣れず嫌がったかと思ったら、同じものが続くとすぐに飽きることもあります。
また、育児書のペースとその子のペースが違っていて、同じ月齢でもかたいから食べない子もいれば、逆にやわらかすぎて食べないという子もいます。
ここまで読んだだけでもでもわかるかと思います。そう、 1歳児の食事はとても難しいのです。
職員会議での「1歳児クラスの残飯が多いです」
保育園では各クラスどのくらい食事を食べているか、逆に言えばどのくらい残しているかを担任はもちろん、栄養士さん、調理師さん、園長先生なども把握し、職員みんなで子どものことを見守っています。
そんな中、「食事を残している量(残飯)が多い」と1歳児クラスに対して会議で言われることは少なくありませんでした。でもそれは、決してご飯を食べないと怒っているわけではないのです。
「今のクラスの子ども達一人ひとりに対して食事の量、形態はあっていますか?」
「食事の時間や、日中の活動はおなかが空いてご飯の時間を迎えられるように計画、実施できていますか?」
という確認のための言葉なのです。
そこでクラスや一人ひとりの様子を話し、場合によっては食事の形態や量を子どもによって栄養士さん、調理師さんにお願いして変えてもらったり、日中の活動のアドバイスをもらったりしていました。
そうしていくことで、段々と子どもたちの食べられる量が増え、残飯量が減り1歳児クラスも後半くらいになってくると、会議で「残飯が多い」と言われなくなっていきました。
子どもを見るプロの保育士でも、栄養士や他の保育士と相談して、チームで進めていくことが多いのが一歳児の食事です。
「食事を食べないのはうちの子だけかしら?」
「自分のせいでこの子が食事を食べないのかしら?」
と保護者の方が思う必要は全くありません。
これからご家庭でもできる1歳児がご飯を食べない時の対処法をご紹介しますが、どうか上手く行かなくても一人で抱え込まないでください。
1歳児がご飯を食べない原因や理由とその対処法
1歳ぐらいの子がご飯を食べない時の理由としてよくあるのが
1. 興味が向かない
2. 形態が合っていない
3. 味付けや食材が苦手
4. 体調不良
などです。
1. ご飯に興味が向かない
1歳児頃は、まだ食事の時間や、食事の時間に食べることに集中するということが習慣として身についていない子が多くいます。そのため、まだお腹が空いていなかったり、遊ぶことの方に興味が向いたりしてしまうのです。
「ご飯に興味が向かない」場合の対処法
テレビやアラームなどを目安にし、「この番組になったらご飯」「この音楽が鳴ったらご飯」と子どもにわかりやすいご飯の合図を決めてあげると食事に意識が向きやすくなります。
また、子どもの座る向きは、玩具の収納やテレビに背を向けるような向きにしてあげると集中しやすいでしょう。
2. 食事の形態が合っていない
ご飯を食べようとするけれど飲み込まない、すぐに飽きてしまうという場合には、食事の硬さや大きさ、とろみ付けなどが今の子どもの成長に合っていない可能性があります。
「食事の形態が合っていない」場合の対処法
その場合は大きさやかたさを変えてあげたり、とろみの付け方を変えてみたりして、好きな大きさ、かたさ、とろみの付け方を探ってみると良いでしょう。
■「とろみの付け方を変える」って、どういうこと?
人は食べ物を飲み込むとき、かみ砕いて小さくしたものを丸めてから飲み込んでいます。
大人は咀嚼することで唾液を出して丸めやすくしたり、舌を無意識ですが器用に動かしたりして丸めることができます。1歳児はまだそれがうまくできないため、とろみ付けは「丸めるのを助ける役割」があります。
なので、ついついとろみ付けというと片栗粉のあんばかりになってしまいますが、丸めやすくなるなら他のものでもいいのです。
例えば
・ぱさぱさしやすい鮭をご飯に混ぜる
・ほうれん草を細かく刻んでマヨネーズやホワイトソースで和える
などしても飲み込みやすくなります。
うちの子は、レンジでチンして辛くなくなった大根おろしとシラスを混ぜたものが1歳ごろは大好きで、よくそれを食べていました。
片栗粉のあんのべたつきが苦手な子もいます。そんな子の場合にはぜひ、とろみの付け方を変えてみる方法を試してみてください。
3. 味付けや食材が苦手
1歳児の味覚、嗅覚はとても敏感です。慣れない味付けや食材の味、香りが苦手ということはよくあります。
「味付けや食材が苦手」な場合の対処法
何度も食事に出て見慣れたり、成長するにつれて味覚、嗅覚が和らいだりすることで食べられるようになることがあります。
そのため、今はあまり気にせず、気長に構えていられると良いでしょう。
4. 体調が悪くて食べない
いつもよりも食べないという時は、体調が悪い場合もあります。
「体調が悪くて食べない」場合の対処法
1歳児はまだ自分の体の不調を言葉で伝えることが難しい年齢です。他に体調の変化がないか観察し、何かあれば小児科を受診するようにしましょう。
ご飯を食べない1歳児に悩むママパパへ贈る「4つのポイント」
1歳児がご飯を食べないのには様々な原因や理由があり、子どもによっても、同じ子どもで時期によっても、それが変わっていきます。
そのため、ご飯を食べない1歳児への対応で一番大切なことは、親が「ご飯をしっかり食べさせなくちゃ!」と気負わず、食事の時間を笑顔で過ごせることです。
1歳児のうちは、ご飯をしっかり食べるというよりも、食事の時間を楽しく過ごすこと、色々な食事や食材に出会うことを大切にしていきましょう。
ポイント① 食材にこだわりすぎず、栄養素で考える
「〇〇は食べない」「△△も食べない」「××も食べない」
と、食べられなかった食材を頭の中で並べて落ち込むことがよくあります。ですが、絶対にその食材を食べなければいけないのでしょうか?
子どもが成長する上で絶対に必要で、かつその食材にしか入っていない栄養素があるのでしょうか? そんな栄養素は、なかなかないですよね。まずはもっと大きなくくりで栄養について考えましょう。
子供の成長を考えるうえでバランスを取りたいのは、以下の3つの栄養素です。
・炭水化物(ご飯やパンなど主食)
・タンパク質(お肉や魚、豆腐など大豆食品、乳製品など)
・ビタミン・ミネラル(野菜・果物など)
これらの中からそれぞれ1つずつ食べられれば、とりあえずOK! そう考えると気が楽になりますよ。
ポイント② 1食で考えず、1日、1週間のトータルで考える
保育園で働いていた時に、栄養士さんに教えてもらってとても印象的だったのが
「食事の様子は1週間のトータルで考えるといいですよ」
というアドバイスでした。
食べムラがある子は多くいます。朝ご飯をあまり食べなかったり、今日はあんまり食べないなという日があったり、時間や日によって食べる様子が違うのです。
そんな時、1食や1日食べなかったことで落ち込むのではなく、1週間トータルで見ると
「あ、でもこの日は野菜が食べれてる!」
「この日はこんなに量を食べたんだ!」
とポジティブになれる食事や日にちを見つけやすくなります。ぜひ試してみてください。
ポイント③ 食事の時間帯に一時保育などを利用する
ずっとご飯を食べない子どもと一緒にいることはとても辛いことです。ご飯の時間を楽しく過ごそうと気を付けていても、ついついイライラしてしまったり、無表情で淡々と進めてしまったり、ときには涙してしまうこともあると思います。
そんなときには、食事の時間に合わせて一時保育や、自治体のファミリーサポート、ベビーシッターを使うのがおすすめです。
なんとなくそういったサービスはご飯前までや、ご飯後からなどにお願いするものだと思ってしまっていませんか? そんなことありません。辛い時間帯にこそ利用していきましょう。
お弁当を作るのが面倒…と思うかもしれませんが、お弁当用にセットになった離乳食や、幼児食だと冷凍食品のおかずがたくさん売っています。お弁当箱も小さいので、意外とすぐに埋まってしまいますよ。
ポイント④ 外食、冷凍食品、ベビーフードを活用
時間をかけ丹精込めて作ったものを残されるのは、精神的に参っているママ・パパにとってはダメージが大きいものです。外食や市販品の方がまだ気持ちが楽なのであれば、必要経費と割り切ってそちらに助けてもらうのも有効な手段です。
もしかしたら、値段がはっきりとわかる分、残されたときに「◯◯円分無駄になった…」と感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、子どもはそのおかげで”食事の時間”をすごし、食べる習慣を身に付けていきますし、食事や食材の存在・見た目・匂いに慣れることができました。たとえ食べた量が少なかったとしても、そこにかかったお金は大事な投資であり、必要経費でしょう。
いつごろからちゃんと食べるようになる?
1歳児は食べなくても当たり前、と言われると、ではいつごろから食べるようになってくれるのかも気になりますよね。
たくさん食べるようになってくる子が多いのは3歳児くらいから
1歳児の食事の変化が大きく、変化に敏感な時期を過ぎると、今度は2歳児のイヤイヤ期がやってきます。そのイヤイヤ期を経て3歳児くらいになってくると、ご飯の量や食材の種類を多く食べられる子が増えてきます。
とはいえ個人差はありますので、周りと比べるよりも少しずつ我が子の食べられるようになった量や食材の変化から成長を感じる方が、親子がお互い楽しく食事時間を過ごせるかと思います。
まとめ
・いろいろな食事や食材に出会い、見慣れていくこと
・食事の時間など習慣として身につくこと
・食事の時間は楽しい時間だと感じられること
(文・こまつなのは)
※画像はイメージです