【2022年2月】絵本のプロが選ぶ 0~5歳年齢別おすすめ6冊『でんにゃ』ほか
東京は神保町にある絵本専門店「ブックハウスカフェ」が全面協力! プロが選ぶおすすめの絵本をセレクトして、毎月紹介します。
0歳向け
『こねこが にゃあ』(作・絵:ひろの たかこ/福音館書店)
「にゃあお」お母さんねこが呼びました。すると、かごの中にいたこねこが「にゃあ」と出てきました。タオルの中から「にゃあ」、紙袋の中から「にゃあ」カーテンの陰からも「にゃあ」。次々にこねこがお母さんねこのところへ集まってきました。
かごからちょっぴりのぞく耳や、タオルや袋からちらっと出た手足がキュート。かわいいかくれんぼを覗き見させてもらっているような気持ちになる愛らしい絵本です。かわいらしさとリアルさがあわさった絵は、まるで本物のこねこが目の前にいるよう。「いないいないばあ」の遊びのようにいろんなところから出てくるこねこたちの姿を、ぜひ赤ちゃんと一緒にお楽しみください。
「初めてのねこの絵本は何にしようかな?」と悩んでいる方、ねこ好きの家族の赤ちゃんへのプレゼントにもおすすめです。
1歳向け
『ふうせんねこ』(作・絵:せな けいこ/福音館書店)
おこって ぷー。ふくれて ぷー。顔を赤くしてご機嫌ななめなねこさん。片付けるのもいやだ、妹に飴をやるのもいやだ、あれを買ってくれなきゃいやだ……全部がいやになっちゃって、どんどん膨らんでいっちゃいます。すると空へ ぷー。高く高く飛んでいっちゃった!
おこりんぼねこを描くのは、『ねないこ だれだ』(福音館書店)などでも独特の世界観を見せてくれるせなけいこさん。おこりんぼの子どもねこが空へ飛んでいってしまい、お母さんねこが夜になっても屋根で子どもねこを呼ぶラストには驚きます。もしかすると、少し怖くなってしまうお子さんもいるかもしれません。
でも、怒ったり機嫌がすぐれないときは子どもにも大人にもあります。その気持ちを体にためて「ぷー」と空を飛びまわり、気持ちが落ち着いたらふうせんのように空気を抜いて地上に戻ってくるイメージで読んでみてはいかがでしょうか? いやな気持ちもユーモアに変えてくれる一冊です。
2歳向け
『でんにゃ』(作:大塚 健太、絵:柴田 ケイコ/パイ インターナショナル)
でんにゃは、自由きままなねこの電車です。がたんごとん、にゃにゃんにゃにゃん。魚屋の駅に到着しました。「魚を食べ終わるまで停車します。」でんにゃや乗客たちはご飯を食べ始めました。しばらくするとまた発車です。がたんごとん、にゃにゃんにゃにゃん。次は屋根の駅。「お昼寝するので、しばらく停車します。」でんにゃも乗客ねこたちも屋根の上でのんびり。お昼寝が終わると発車です。がたんごとん、にゃにゃんにゃにゃん。すると途中でネズミを発見!「いったん止まります。」寄り道だらけのでんにゃは、目的地のねこじゃらし公園にたどり着けるのでしょうか……?
ビビットなピンクの背景に、とぼけた顔のねこの電車。つい手にとってしまうインパクト抜群の表紙をめくると、ねこ電車のゆる~い世界が広がっていました。時刻表もなく、急に線路を外れて寄り道しちゃう自由気ままなねこ電車にハラハラしつつ、笑える一冊です。ラストはねこ派以外の人にも嬉しい展開が。おはなし会などでもおすすめの、みんなで楽しめる絵本です。
3歳向け
『ねこのずかん』(作:大森 裕子、監修:今泉 忠明/白泉社)
小さな絵本サイズのねこの図鑑です。小さいサイズながらも、緻密なイラストでねこの種類や顔や体の細かいパーツについて、食事や排泄、年齢、さらにはねことの遊び方まで網羅されています。
すでにねこと一緒に暮らしている方は「うちのねこもこの動きするよね!」「うちの子に似てる!」と盛り上がること間違いなし。また、ねこについて幅広く知ることができるので、ねこ好きのお子さんへのプレゼントや、これからねこをお迎えする予定の方にもおすすめです。絵本と言えど、大きくなっても楽しめる内容は図鑑ならでは。小さいお子さんから、大人まで幅広い年齢の方までぜひ手にとってもらいたい一冊です。
4歳向け
『月へミルクをとりにいったねこ』(作:アルフレッド・スメードベルイ、絵:たるいし まこ、訳: ひしき あきらこ/福音館書店)
あるところに、かあさんねこと、こねこたちが暮らしていました。かあさんねこはこねこたちをとても大切に育て、栄養たっぷりのうしのミルクを毎日たくさん飲ませていました。しかし、ねこたちが住んでいる農家のうしの乳が出なくなってしまったのです。困り果てたかあさんねこは「月に行けばミルクをもらえるよ」と教えてもらい、月を目指して走り出しました。
この絵本の一番の見どころは、かあさんねこのかっこよさ。こねこのために一生懸命ミルクを取りに行くかあさんねこがとても頼もしく、「ほしいものをてにいれるためには、しんぼうがだいじなのよ」というセリフにしびれます。
スウェーデンの児童文学者、アルフレッド・スメードベルイが1908年に発表したお話で、今もスウェーデンの子どもたちに親しまれています。そこに添えられた、たるいしまこさんの躍動感あふれる絵がお話にぴったりとはまり、日本人のわたしたちにも親しみやすい一冊。果たしてかあさんねこはミルクを手に入れることができたのでしょうか? 最後までじっくりご覧ください。
5歳向け
『ねこまたごよみ』(作・絵:石黒 亜矢子/ポプラ社)
ねこの妖怪、ねこまたの1年は2月から始まります。2月22日のねこの日を祝うカーニバルでは、もうすぐお母さんとお父さんになるねこまた夫婦も楽しそう。3月になると、ねこまた夫婦に五つ子の赤ちゃんが生まれます。4月にはおみにゃ参り、5月は……? ねこまた一家の生活を通して、年中行事を楽しむ一冊です。
季節を味わう絵本はたくさんありますが、今回は猫の妖怪の1年間を盗み見る愉快な絵本。細かく丁寧に描かれたねこまたの世界は人間の世界にそっくりだけど、どうやらちょっぴり違うよう。すみずみまで描き込まれた絵の中から、ねこまた家族を探したり、人間の行事との違いを見つけたりと、気づけば夢中で読んでしまいます。どのページから読んでも楽しめるので、自分の誕生月のページから読むのもよし。ねこまたの世界をたっぷり読み尽くしちゃいましょう!
まとめ
2022年2月のおすすめということで、ねこの絵本をご紹介しました。ねこの絵本には、かわいらしいものからユニークなもの、静かに味わうものなど本当にたくさんの種類があるので、まだまだおすすめしたい絵本がたくさんあります。
どのねこの絵本にも共通するのが、描いた作家さんのねこに対するあふれんばかりの愛情。「この作家さんの描くねこが好き!」「この絵本のこのねこの仕草がたまらない!」など、いろいろなねこの絵本を手にとって、お子さんと一緒に心ゆくまでねこを堪能してみてくださいね。