
子供に薬を上手に飲ませる方法 【ママ女医と娘の○○な日常 vol.7】
子供は病気にかかりやすいもの。特に生後半年頃から、お母さんから受け継いだ免疫(移行免疫)がなくなり、風邪をひきやすくなります。そうして徐々に自分の免疫をつけていくのですが、看病で疲れてしまっている親御さんも多いのではないでしょうか(私もその一人です…)。
苦~いお薬、子供に上手に飲ませるためには?


さて、病気になるとついてくるのが「薬」の問題です。
子供に薬を飲ませるのはなかなか難しい。特に苦みのある薬を飲ませるのは本当に苦労します。今回は、そんな苦い薬でも頑張って飲んでくれるようになるように、家庭でできる工夫について紹介しします。主に、一般的な子供用の粉薬(ドライシロップ)と仮定して説明しています。薬の種類はたくさん! 主治医や薬剤師さんの説明と食い違う部分は、先生の説明を優先するようにしましょう。
お薬エピソード
例として、インフルエンザでタミフルという薬を娘(2歳)に飲ませた時の話をします。このお話ですが、小さなコツがいくつも詰まっています。一つずつ解説していきますね。
このタミフル、苦いことで有名な薬です……。そこで、①調剤薬局の薬剤師さんに上手な飲ませ方を質問すると、パンフレットをくれました。その中に書いてあった方法の一つ、ヨーグルトと混ぜる方法を試す事に。
②「今お風邪でね、体の中にバイキンさんがいて悪さをしているよ。これはバイキンさんバイバイってするお薬。これを飲んで、しっかり休んだら、バイキンさんバイバイして、お熱が下がって元気になるよ。だから頑張って飲もうね」と説明をしてあげました。
そして③飲ませる直前に、④スプーン1杯程度の甘いヨーグルトに薬を混ぜます。
「よし、がんばって飲もうね。急いで飲まないと苦くなるから、さっと飲もうね。あーん」…口を開けたところに、さっとスプーンで食べさせます。「もう一口ね」…残りもすくってすぐに飲ませます。「すごいね、飲めたね! じゃあお水をしっかり飲んで、苦くなる前に飲んじゃおう!」⑤お水を飲ませ、さらにお口直しに薬の混じっていない甘いヨーグルトを追加で食べさせました。
⑥「よく飲めたね、頑張ったね! これでお風邪が治るのが早くなるよ、えらいね!」拍手してあげると、娘は得意げに「おくすりのめたよ!」と鼻を膨らませました。
さあ、このお話から、飲ませるためのコツを解説していきます。
スムーズに進める6つのコツは?


①まず薬剤師さんに、薬の飲ませ方を聞く。
薬をもらったら、飲ませやすい薬か・飲ませ方はどうしたらいいか、まず薬剤師さんに聞いてみましょう。薬はたくさんの種類があり、飲ませやすさも、混ぜていい食材もさまざま。したがってまず薬剤師さんに聞いてみることが大切です。少量の水でペーストにするだけで簡単に飲めるものもあります。
混ぜていい食材がわからない場合は、相互作用を気にしなくても良い服薬用のゼリーも販売されているので、そちらを活用するのも便利です。
②子供に薬の説明をする
これはとても重要です。何のための薬なのか、そして飲むとどんな風に病気がよくなるのか、子供がわかる範囲で構いません。まだ会話ができない赤ちゃんでも、ぜひあなたの言葉で、声をかけてあげましょう。
プラセボ効果の一つですが、説明することで、薬もよく効きます。信頼するママが「病気に効くよ」と太鼓判を押してくれること、これは子供にとってなによりの「安心」になります。“白衣を着たよく知らない人”が出してくれた「謎の物体」が、あなたの言葉で「薬」に変わります。子供が抱える不安を取り除いてあげましょう。
③薬の調製は、飲ませる直前に
薬の調製は飲ませる直前にし、作りおきはNG! 水や食材に混ぜて時間が経つと、コーティングが溶けて苦くなる類の薬もあります。面倒だからと何回分も作っておくようなことはやめましょう。必ず、飲ませる直前に薬を準備してください。飲み間違いの可能性もありますし、衛生的にもおすすめできません。
④調製する時には、総量を少なく
量が多いと子供が全部を飲みきれない可能性もあるので、一口か二口で飲める量にしましょう。赤ちゃんの場合は、極少量の水(1滴ずつ加えて様子を見てください)で練り、ペーストのお団子にして、上あごやほっぺの内側になすりつけてあげるとスムーズに飲めることがあるのでお試しください。
⑤飲み終わったら口直し
子供が薬を飲み終わったら、口直しをしましょう。口の中に薬が残ると、苦みが出てくるものがあります。水やお茶を飲ませて、口の中の薬を洗い流してあげてください。苦みをごまかす食材を使っていた場合は、薬の入っていないその食材で口直しをするのも一つの手です。
⑥飲めたらほめる、全力でほめる!
これが重要です。今回の話の中で一番重要かもしれない。ほめましょう、ほめていいんです! 頑張って飲んだ子供を全力でほめてください。ほめてもらえると「薬を飲むのはいいことだ」と認識されます。すると次に薬を飲む時に「また頑張って飲もう」というやる気が自然と出てきます。
子供のペースで、“成功体験”を作ろう!


同年代の親御さんと話していると、「うちはもう粉のまま飲める」とか「自分から飲もうとする」なんて話を聞いて、焦ることもあるかもしれません。薬に対する反応は、子供によってまちまちです。苦くなくても、口にしたことがないものに警戒心を強く抱く子もいます。他の子と比べる必要はありません。
最終的には「苦くても大人と同じ飲み方で薬を飲めること」だと思いますが、それが ”今” である必要は全くありません。
「薬を飲むと病気が治るとママが言っている」
「頑張って飲んだら『えらい』ってほめられた」
「薬を飲んだら、調子が良くなった」
「じゃあ次もまた飲んでみよう」
この流れを作ってあげることで、「薬嫌い」から「なんとか飲んでみよう」に徐々にシフトしていきます。
そのためには、まずは”薬を飲む”という体験ができないと話になりません。他の食材と混ぜても支障がない薬であれば上手に混ぜておいしくしてあげて 「薬は甘くておいしい!」と思ってもらうことからスタートして問題ないと私は思っています。そうして小さな小さな”薬を飲む”成功体験を積み重ねていけば、いつか上手に飲めるようになります。
成長は突然?
我が家の娘、一度粉のまま飲ませようとしましたが失敗しました。まあそのうち飲めるようになればいいか……そんな風に思っていたら、幼稚園の時間帯にどうしても飲ませないといけない薬があり、先生にお願いすることになりました。
幼稚園から帰ってきた娘、「おくすりちゃんとのめたよ!」と得意げ。
「そう、すごいね! 水に溶かして飲ませてくれたの?」
「ううん、おくちのなかにね、こなをぱっぱっていれてくれた」
「えっ、粉のまま飲んだの?!」
「うん、せんせいがおくちにいれてね、おみずのんだの。ちゃーんとのめたよ!」
なんと、幼稚園で粉のまま飲ませることをクリアしていました。先生、すごい、ありがとう! 飲めたうちの娘もえらい! すごい! まだまだ飲みやすい薬でないと苦戦することも多々ありますが、徐々に慣れてくれるといいなあ。
前向きに向き合う


風邪でしんどそうな姿を見ていると、一生病気にならないで欲しいというのが親心ですが、生き物ですからそんなわけにはいきません。病院もお薬も、必ず付き合っていかなければならないものです。どうせなら嫌な気持ちではなく、「早く治したいからがんばろう」と自分の体と前向きに向き合えるようになってほしいな、なんて思っています。
どうかみなさんのお子さんも、上手にお薬とつきあっていけますように。今回の話がなにかの参考になれば幸いです。
(HAL)
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