出生前検査・診断について学ぼう|ウィメンズヘルスリテラシー協会主催〈フロントランナーに聞く!!「出生前診断」〉
女性と医療に関する興味深い話題を第一線で活躍される講師から聞けるウィメンズヘルスリテラシー協会の講座。2022年6月10日に開催された「出生前診断」をテーマとしたオンライン講座が行われました。
日本の出生前診断の「今」がわかる講座
生まれる前の赤ちゃんの健康を調べ、診断する出生前診断。海外では妊婦さんなら誰でも、公費負担で受けられる国もある一方、日本では条件が設けられており、積極的に行われることが少ない傾向があります。
そこで日本の出世前診断の最前線を走る専門家である2人の先生方、FMC東京クリニック院長の中村靖先生と、一般社団法人 FMF Japan 代表理事であり、FMF胎児クリニック東京ベイ幕張院長の林伸彦先生に、出生前診断について徹底的に語っていただくというオンライン講座が、産婦人科医の宋美玄先生が代表を務める一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会の主催のもと、開催されました。
出生前検査・診断、海外ではどうなってる?日本は?
まずは林先生から海外、とくに英国における出生前診断についてお話がありました。
英国では自己負担なしで出生前検査が受けられる
英国では税金で運営されている国民保健サービス(National Health Service)で妊婦健診を含めほとんどの医療サービスを公費で受けることができますが、出生前検査についても自己負担なしで受けることができるそうです。また、国がいつどのような検査を行うかを定めているため、日本のように医療機関ごとに違いが出ることはないそうです。
生まれつきの病気はダウン症だけではない
日本では出生前検査というとダウン症のことを気にされることが多い傾向にありますが、生まれつきの病気の中でダウン症が占める割合は8分の1程度です。英国で行われている出生前検査は、ダウン症などの染色体異常を含めた生まれつきの病気の95%を見つけられるように設計されていると林先生は話します。
また、英国では出生前検査を受けるにあたり、すべての妊婦さんに対して、検査の目的や検査でわかることなどが説明され、妊婦さんはそれぞれ何を知りたくて、何を知りたくないかを選ぶことができるようにもなっているそう。
より良い環境で産む役割も果たす検査
林先生は、出生前診断についてこのように話し、発表を締めくくりました。
「妊婦さんの年齢が上がれば染色体異常の確率は上がるが、赤ちゃんの生まれつきの病気はそれだけではなく、若い妊婦さんにも起こり得ることです。若いから大丈夫ということではないです。また、『どんな子でも受け入れるから出生前検査は受けない』という人もいますが、この子をより良い環境で出産するための役割も出生前検査は果たしています。」
出生前診断に消極的な日本、その理由は?
出生前診断を「妊婦さんが当然受けるべき検査」と捉えている英国に対し、日本では「出生前診断はあまり積極的に行うべきではない」といった捉え方をされることが多いように感じます。中村先生からは「なぜ日本がそうなったのか」を含めた、日本の出生前診断の歴史をひもとくお話がありました。
■講座内容について、詳しくはこちらから
<アーカイブ視聴>フロントランナーに聞く!!「出生前診断」
※2022年8月31日まで
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子育て編集部が中村先生に「出生前検査で何がわかるのか」についてインタビューを行っています。こちらの記事もぜひご覧ください。
<8月講座>無痛分娩と産婦人科領域の「痛み」
一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会では、8月にも講座が予定されています。
テーマは無痛分娩と産婦人科領域の「痛み」。講師は多摩総合医療センター麻酔科医長の田辺瀬良美先生です。
詳細が決まり次第、ウィメンズヘルスリテラシー協会のHPで告知されますので、ぜひチェックしてみてくださいね。