多くの人をとりこにした夢の「超高速」飛行機がたった20機しか作られなかったワケ|ざんねんなのりもの事典 #1
すぐれた性能や将来性を持っていたのに、時代のニーズや期待などからズレてしまい、十分な活躍ができなかった乗り物たち。作り手は大マジメなはずなのに、どこか上手くいかない……。そんな哀愁あふれる乗り物たちを集めた『ざんねんなのりもの事典』(講談社)から、愛すべき「ざんねん」な乗り物を一部ご紹介します。
出過ぎた杭は打たれまくった!?
コンコルド旅客機
残念度★★★
マッハという言葉に子どもたちはシビれたがとても短命に終わった
普通のジェット旅客機がマッハ0・8(およそ時速900㎞/h)くらいで飛ぶのに対して、マッハ2・2という超高速で進む飛行機、それが1976年1月に就役したコンコルドです。圧倒的なスピードから、「コンコルドは地球の自転の速度を追い抜く。朝食を食べて出発した乗客は、到着地でも朝食を食べることになる」と形容した報道もありました。他にはない斬新なフォルムから、大人・子どもを問わず多くの人を魅了しました。
英仏がいわば威信をかけて開発。凄まじいスペックから大変人気のあった旅客機でしたが、コンコルドを「商品」として見た際の実像は散々なもので、20機しか製造されませんでした。
その理由をひと言で言うなら、対費用効果。長い滑走路を備えた空港が必要で、燃費は最悪。排ガスを撒き散らし、エンジンの騒音も桁はずれという、速く飛ぶための代償が山ほど付いてきました。しかも乗客定員はたったの100名。お金持ちでないと乗れないほど運賃も超高額でした。日本ではJALが発注したものの、課題が多く結局キャンセルとなっています。
コンコルドは前衛的な飛行機ではありましたが、後に到来するエコな時代とは真逆を行く性質を持っていたことと、何よりも採算性の悪さには勝てず、2003年11月に世界の空から姿を消しました。
ほかにも愛すべき「ざんねんなのりもの」が続々。
続きは書籍でお楽しみください。