【医師監修】出産後のセックスはいつからOK?注意すべき4つのケース
出産後、いったいいつからセックスを再開していいのか悩みますよね。しかし、セックスの話はデリケートなだけに、ママ友に相談するのは躊躇してしまうもの。そこで今回は、産後のセックス再開の時期や痛み対策について解説します。
産後のセックスはいつからしても大丈夫?
出産を終え、妊娠した時と同じぐらいのからだの変化を感じる産後。性行為はいつから可能となるのでしょうか。
基本的には「産後の1ヶ⽉健診後」が⽬安
産後のセックス再開時期は、母体の回復具合などによって異なりますが、産褥期(出産してから6~8週)の間は慎重に様子をみるべきで、少なくとも産後の1ヶ月健診のときに特に医師から異常がないと診断された以降と考えるといいでしょう。
なお、1ヶ月健診では、尿検査や⺟乳の出具合などの確認のほか、内診で悪露の状態はどうか、⼦宮復古は順調か、会陰の傷や縫合の回復はどうか、産後うつ病の兆候の有無などをチェックします。
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帝王切開の場合はもう少し時間をあけてから
ただし、帝王切開の場合はもう少し時間がたってからの再開が勧められます。その場合、人によって経過が違いますので、健診の際などに医師と相談するようにしましょう。
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産後セックス再開のきっかけ作り
パートナーとのセックスをお休みしていると、恥ずかしさなどもあってお互いに再開のきっかけをつかむのが難しいものです。まずはパートナーと二人で過ごす時間をつくったり、何気ないボディタッチなどのスキンシップをしたりして、少しずつ距離を縮めていきましょう。
また、セックスを再開したいという思いは、自分とパートナーの間で温度差があるものです。気持ちの温度差があると戸惑ってしまうかもしれませんが、相手の考えを理解しようと努めるとともに、自分の思いも素直に伝えるように努めましょう。相手への思いやりがなによりも大切です。
産後のセックス痛み対策3つ
久々にセックスを再開すると、痛みが気になる人も少なくありません。また、以前ほど性欲がわかないという人もいます。しかし、それは決して不思議なことではありません。原因と対策を知っておきましょう。
産後のセックスが痛い主な原因
■ホルモン変化で性欲低下&濡れにくくなる
産後はエストロゲンの分泌が急速に下降し、授乳されるたびにプロラクチンが分泌されるようになります。
このようにホルモンバランスが急激に変化する影響で、性欲がどうしても低下し、セックスに消極的になりがちになります。また、このホルモンバランスの変化で以前よりも腟の分泌物も減って濡れにくくなるため、人によっては痛みを感じやすくなります。
■会陰切開の傷が原因で痛い
たとえ腟内が潤っていても、出産時の会陰にできた傷に違和感や痛みを感じることがあります。たとえそれが些細であっても、傷が気になってしまって、恐怖心を抱いてしまう可能性があります。
■疲労感やメンタル⾯もセックスに影響
直接的な痛み以外にも、セックスが苦痛になる要因があります。
例えば同室に赤ちゃんが寝ているのが気になってセックスできないことも珍しくありません。「赤ちゃんが起きてしまったらどうしよう」「なんだか悪いことをしているような気がする」と感じてしまうと、どうしてもセックスに集中できなくなってしまいます。
また、出産で母体は大きなダメージを受けます。体を回復させなければいけない時期なのに加え、夜間の授乳など赤ちゃんの世話でクタクタに疲れ切って、セックスどころではないという女性も多いことでしょう。
対策1. 潤滑ゼリーを使う
腟内の潤いが足りないのなら潤滑ゼリーを使うのもひとつの方法です。潤滑ゼリーはドラッグストアや薬局・薬店の避妊具コーナーなどで手軽に購入できます。
ここで注意したいのは、安易に家にあるボディローションなどで代用しないことです。中には、粘膜への塗布に向かないものや水で洗い流しにくい成分のものがあります。
対策2. 診察・カウンセリングを受ける
潤滑ゼリーを使っていても痛みがあるのなら、病気が隠れている可能性があります。婦人科を受診して原因は何なのかを調べてもらったうえで治療していきましょう。もちろん、精神的な原因のこともあります。その場合はカウンセリングを行うことも有効です。
対策3. 夫ときちんと話し合う
セックスはどちらかが我慢することで成り立つものではありません。痛い場合は無理に最後までせず、スキンシップから始めて徐々に恐怖感をとりのぞいていくようにしましょう。そのためにも、お互いが思いやりを持って話し合いをすることが大切です。
セックスを控えた⽅がいいのは︖
1. 出産から少なくとも1ヶ月間
子宮は、産後時間をかけて妊娠前の状態に戻ります。産後しばらくの間は、出産によって産道や腟は傷付き、⼦宮内の胎盤が剥がれることで出⾎するなど、ダメージを受けています。この状態のままセックスをしてしまうと、⼦宮や腟の傷⼝から細菌に感染してしまう恐れもあります。
この時期にセックスをすることは絶対にダメなわけではありませんが、様々なリスクを考えると控えたほうがいいでしょう。旦那さんには産後の回復期の⼤切さをきちんと伝えましょう。
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2. 悪露や子宮復古に異常がある場合
産後しばらくは「悪露(おろ)」が出て、同時に妊娠で大きくなった子宮が元の大きさに戻っていきます(子宮復古)。悪露は、産後当初は血液が含まれていますが、日ごとに血液の含まれる量が減って色が変化していきます。産後約2~3週間後には血液が含まれなくなって黄色になり、産後6週間後頃には出なくなります。
しかし、産後2週間たっても悪露の中に血液が含まれている場合や、産後経過した日数に比べて子宮が大きくやわらかい場合は、子宮が十分に元通りになっていない可能性があります(子宮復古不全)。その場合は、治療が必要になることがあるためセックスは控えたほうがよいでしょう。
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3. 会陰の傷の治りが悪い場合
出産のときは会陰(えいん:外陰部と肛門の間のあたり)が裂けたり、会陰が裂けるのを事前に防ぐためにあらかじめ切開したりすることがあります。そのため、産後しばらくは会陰の傷口に痛みを感じたり、違和感があったりすることがあります。
また、未回復の傷口から感染症を引き起こす可能性があるので、治るまでは傷口を清潔に保たなければいけません。このような状態のときは、やはりセックスは控えたほうが無難です。不安な場合は医師に相談するようにしましょう。
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4. 避妊はしっかり
産後しばらくは、生理(月経)が再開しません。個人差はありますが、特に母乳をあげている人は、母乳をあげていない人に比べ生理の再開は遅くなります。
ただし、生理が再開していなくても排卵をしている可能性もあるので、「生理が来てないから、避妊しなくても妊娠しない」と考えるのは誤りです。
また、「次の妊娠がいつから可能か」については、産後の回復具合や出産方法(帝王切開か)によっても異なります。なるべく早く次の子どもを妊娠したい場合などは、医師と相談するといいでしょう。
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まとめ
産後のセックスに悩むママは多いものです。いったいいつから再開すればいいのかも悩ましいですし、出産での体のダメージや産後の忙しさで、「到底そんな気分になれない」という人も少なくないことでしょう。また、「早く次の子どもを授かりたい」などの理由でセックスを再開したくても、どうしても出産で一時期お休みしてしまうこともあって、きっかけをうまくつかめないという人もいます。大切なのは、2人のコミュニケーションです。お互いの思いを大切にし、いたわりあってセックスを再開していけるといいですね。
(文:今井明子/監修:宋美玄先生)
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「病気がみえる 産科」(メディックメディア)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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