【医師監修】会陰切開・会陰裂傷の痛みはいつまで続く?痛みのピーク時期と対策
長い妊娠期間と陣痛の痛みを乗り越えたママ、出産おめでとうございます。出産直後は会陰切開や会陰裂傷の痛みや違和感などの症状に悩まされる人も少なくありません。この痛みはいつまで続くのでしょうか? 痛みのピークや和らぐ時期、痛み対策についてまとめます。
会陰切開や会陰裂傷の痛みはいつまで続く? ピークは?
一般的には産後2~3日は強い痛みがあるものの、退院するころには痛みが和らぐことが多く、1ヶ月健診のころには痛みがなくなることが多いようです。
切開は必要最低限の範囲で行われますが、傷の程度、深さには個人差があり、痛みが続く期間もそれに応じて個人差があります。
抜糸はする?
吸収糸で縫い、何本か抜糸する縫い方もあり、その抜糸によりいくらか痛みが楽になることはあるものの、そのような方法がすべての人に適応するとは限らないようです。
「縫い方は数タイプあり、医師は妊婦さんによって、適応を考え、縫い方を決めます。
何か希望があれば事前に伝えるとよいと思いますが、傷の程度などにより希望通りにいかない場合もあります。主治医とよく話し合っておきましょう。」
(松峯先生)
会陰切開・会陰裂傷は必ずあるもの?
会陰の伸びが十分でない場合、また、会陰の伸びと比べて赤ちゃんの頭が大きい場合、そのままだと大きく裂けてしまう(肛門や直腸と腟の壁、直腸粘膜にまで傷が及ぶ)ため、裂傷を防ぐために人工的に会陰を切る(会陰切開)ことがあります。
会陰切開は必要に応じて行われる
会陰切開で多く行われるのは「正中切開法」(肛門方向へまっすぐ)または「正中側切開法」(少し斜めの角度)などと呼ばれるもので、それぞれメリット・デメリットがあり、どのような選択をするかは先に述べた会陰周囲の個人差と分娩法に合わせて主治医が選択します。
「一概に言うことはできませんが、経産婦などで切開の必要がないと見立てられる人、よく伸びる人の場合、妊婦さんとも相談の上、切開しない選択もしています。その結果として自然裂傷が起こることもあれば、起こらないこともあります。
やったからといって必ず会陰切開や裂傷を回避できるわけではありませんが、会陰マッサージなどの会陰ケアは、皮膚がやわらかくなり、会陰が伸びやすくなるのでオススメです。開始する時期ややり方は、医師や助産師に聞いてみてください。
妊婦さん自身が自分にとってより快適な分娩に向けて準備やケアをするのはとてもいいことだと思いますので、出産を楽しみにケアできるといいですね。」
(松峯先生)
会陰マッサージについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
会陰裂傷は予測不可能
会陰の伸び具合、腟と肛門の距離、皮膚の厚さなどはとても個人差が大きいものです。そのため自然裂傷が複雑で、程度が大きいと予測される場合があります。
一般的には肛門側に裂傷が起こることが多いとされますが、それも一概に言えません。そこで軽傷で、早期治癒が可能になるよう主治医が適応を検討します。
痛みがひどい場合は?
1. 主治医に相談して鎮痛剤を処方してもらう
痛みがつらいときはがまんせず、主治医に相談して鎮痛剤の処方を受けましょう。授乳中も飲める薬があり、退院後用にも出してもらうことができます。
なお、産後の性交痛について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
2. U字型クッションなどを使いつつ、衛生を保つ
一般的な切り傷と同じで、傷の早期治癒には清潔を保つことが大切です。シャワーを浴びる際にはやさしく流水で汚れを流し、清潔にしましょう。
傷を刺激したり、しみることは避け、石鹸やボディソープの使用については医師に相談してください。
生活の上では、座るときに傷口が傷むという人もいます。会陰部分が直接椅子や床につかないにU字型クッションなどを利用するのもよい方法です。
3. いきみ回避のためにも便をやわらかくする
「赤ちゃんのお世話で自分自身の水分補給や食事がおろそかになってしまうママも少なくありませんが、ママの健康は赤ちゃんの健康のためにも大切だということを、どうぞ忘れないでください。
母体の回復のためにも滋養のある食生活が必要な時期です。野菜がたくさん入ったお味噌汁やスープなど、心も体も温まる、消化のいい献立をしっかり食べましょう。」
(松峯先生)
産後の便秘対策について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
まとめ
会陰切開については、する・しないという判断も、傷の程度も個人差によるところが大きく、そのため痛みの続く期間なども一概には言えません。多くの場合は産後の入院中に一番痛みがひどく、退院する頃から徐々に和らいでくるでしょう。ただし、生活に支障をきたすような痛みや腫れ、出血などがあるときはがまんせず、主治医に相談し、なるべく快適に過ごせるようにケアを受けましょう。
産後の体の回復と、新しい家族を加えた生活のリズムが早期に整うよう、大切にお過ごしください。
(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます