きくらげの食べ過ぎのデメリット|効果的な食べ方と嬉しい栄養素は?【管理栄養士監修】
コリコリとした食感が美味しいきくらげ。中華料理やラーメンのトッピングでおなじみですね。食べ過ぎるとどうなるのでしょうか? 気になるリスクを確認しましょう。適量で取り入れればメリットも大きい、きくらげの栄養のポイントについてもご紹介します。おすすめのレシピもあるので、参考にしてくださいね。
きくらげはどんな食べ物?
きくらげはきのこの仲間です。一般的には黒くてヒラヒラしたものをイメージすると思いますが、いくつか種類があります。
きくらげは主に3種類
日本で最も多く流通しているのが「あらげきくらげ」です。表面にうっすらと産毛のようなものが生えていて、肉厚なのが特徴です。これよりも小ぶりで黒っぽいのが「きくらげ」。
色の白い「白きくらげ」という種類もあり、中国では「銀耳(ぎんじ)」と呼ばれ、デザートに使われることもあります。「あらげきくらげ」や「きくらげ」はキクラゲ科に属しますが「白きくらげ」はシロキクラゲ科に属しており、種類も異なります。
(※以降の文章では、きくらげとして一般的に認識されている「あらげきくらげ」を「きくらげ」と表記します。)
生きくらげもある
国内で流通しているきくらげは乾燥品が多いです。干ししいたけと同じように、水で戻してから使用します。
ただ、近年は国内の生産量が増加しており、国産の生きくらげも出回るようになりました。生きくらげは分厚くプリっとしています。見かけたら手に取ってみてはいかがでしょうか。なお、野菜のように生で食べられると思ってしまうかもしれませんが、必ず加熱調理して食べてくださいね。
きくらげの栄養素の特徴
きくらげに含まれる栄養素について解説します。
腸の健康に欠かせない食物繊維
茹できくらげ100gあたりには食物繊維が16.3g含まれています[*1]。食物繊維には、便を軟らかくする水溶性食物繊維と、便のかさを増やして腸管を刺激し、便通をよくする不溶性食物繊維の2種類がありますが、茹できくらげの場合、水溶性が1.3g、不溶性が15.0gとなります[*1]。
便の回数や量が少なくて便秘になってしまうタイプは、食物繊維の不足が原因であることが多いので、嬉しいですね[*2]。ただ、不溶性の割合が高めなので、水溶性食物繊維が摂れる果物も一緒に食べるようにするとよいでしょう。
骨の健康を助けるビタミンD
きくらげには腸でのカルシウムの吸収を促進するビタミンDも豊富です。茹できくらげ100gあたり25.0μg含まれています[*1]。ビタミンDはきのこ類全般に多く含まれていますが、えのきたけ(茹で)が0.8μg、しいたけ(茹で)が0.5μg、干ししいたけ(茹で)が1.4μgなのと比べると[*1]、きくらげのビタミンD含有量はきのこの中でもトップクラスです。
骨を作るカルシウム
きくらげは、きのこ類の中では珍しいことにカルシウムも多く、茹できくらげ100gあたり35mg含まれています[*1]。骨や歯の形成に欠かせないカルシウムは子どもから高齢者まで、幅広い世代に欠かせない栄養素のひとつです。カルシウムの吸収を促進させるものの1つにビタミンDがあるので、両方含まれる点はきくらげのメリットといえますね。
きくらげを食べ過ぎたらどうなる?
きくらげは食物繊維やビタミンD、カルシウムが効率よく摂れることがわかりました。食べ過ぎることでリスクはあるのでしょうか?
便秘や腹痛のリスク
きくらげの食物繊維は不溶性が多いのが特徴です。不溶性食物繊維の作用で便のかさが増えすぎるとかえって便が出にくくなり、便秘につながることも考えられます。
また、コリコリと食感のよいですが、しっかり噛まずに飲み込んでしまうと消化不良から腹痛を起こすこともあるかもしれません。よく噛んで食べるようにしましょう。子どもが噛みにくい場合もあるので、お子さんがいるご家庭は小さめに切るなどの工夫をするとよいですね。
エネルギー不足になる可能性
茹できくらげは100gあたり38kcalと低カロリーなので、たくさん食べても太る心配はないでしょう。しかし、ダイエット目的できくらげばかり食べ過ぎると、1日に必要なエネルギーが不足するだけではなく、きくらげだけでは摂取できない栄養素もあり、バランスが偏ってしまいます。「低カロリーでダイエットになるから」と、きくらげばかり食べないようにしましょう。
きくらげの1日の適量は?
きくらげは1日にどれくらいが適量なのでしょうか?
茹でた状態で30g程度
ビタミンDの目安量は成人の場合、男女ともに1日あたり8.5μgとされており[*3] 、茹できくらげを30g食べると7.5μg摂取できます[*1]。きくらげの適量としては1日30gを目安にしてはいかがでしょうか。脂溶性ビタミンなので油と一緒に摂ると吸収率が良くなりますよ。
なお、ビタミンDは魚や肉、卵にも多く含まれているため、きくらげだけではなく他の食品からも摂るように心がけましょう。
乾燥きくらげで4~5枚
大きさにもよりますが、乾燥したきくらげは1gほどであり、水で戻すと5~7g程度になります[*4]。1人分の適量は4~5枚がよいでしょう。
ビタミンDを上手に摂る!きくらげレシピ
きくらげと卵のオイスター炒め
■材料(2人分)
・豚肉 100g
・戻したきくらげ 50g(乾燥で10g弱)
・長ネギ 1本
・卵 2個
・砂糖 小さじ1
・オイスターソース 小さじ2
・しょうゆ 小さじ1
・サラダ油 大さじ2
■作り方
① きくらげはぬるま湯に15分ほど浸して戻し、食べやすい大きさに切る。長ネギは斜め薄切り、豚肉は食べやすい大きさに切り、酒小さじ1、塩少々(分量外)で下味をつけておく。砂糖、オイスターソース、しょうゆを合わせておく
② フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、溶いた卵を入れて大きく混ぜ、一度取り出す
③ フライパンに残りのサラダ油を入れて豚肉を炒める。色が変わったら長ネギを入れ2分ほど炒め、きくらげを加えてさっと炒め合わせる
④ 卵を戻し入れ、混ぜ合わせたら出来上がり
まとめ
きくらげには食物繊維やビタミンD、カルシウムが豊富です。ただし、食べ過ぎると腹痛や下痢をする可能性もあるので気をつけましょう。ビタミンDの目安量の観点から、だいたい1日当たり30g程度が適量といえます。ただ、毎日食べるわけではないと思いますので、もう少し食べても問題ありません。色々な食材から栄養素を摂り、バランスの良い食生活を心がけましょうね!
(文:村上あゆみ 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:e-ヘルスネット「便秘と食習慣」
[*3]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*4]『調理のためのベーシックデータ 第6版』女子栄養大学出版部、2022年
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます