ごまを食べ過ぎたら太る?お腹を壊す?ごまの健康効果と適量の目安【管理栄養士監修】
健康のために摂りたいという人も多そうなごまですが、どのくらい食べていいのでしょうか? 健康に良くても食べ過ぎには注意が必要ですが、具体的にどんなリスクがあるのか、見ていきましょう。また、ごまの栄養に期待される健康効果についてもご紹介します。
ごまにはどんな栄養がある?
ごまは健康効果が高いイメージがありますが、どんな栄養の特徴があるのでしょうか?
食物繊維を補える
大さじ1杯の炒りごま(約10g)に含まれる食物繊維は1.3g程度になります[*1]。そのうち不溶性食物繊維の方が1gと多くを占めています。不溶性食物繊維は便のカサを増やすので大腸が刺激されて排便が促されやすくなります。
食物繊維の1日の摂取目標量は成人女性18g以上、成人男性21g以上とされていますが[*2]、実際はそれほど摂れていない人が多いです。いろいろなものにちょっとごまを足して食物繊維を補っていくとよいでしょう。
大さじ1でもカルシウムたっぷり
ごまはカルシウムが豊富であり、炒りごま大さじ1(10g)でも120gのカルシウムを摂ることができます[*1]。これは牛乳100mlとほぼ同じ量です[*1]。そのため、手軽にカルシウムを補える食品として役立てられますよ。
ごまは皮が硬いので、栄養を摂るためにはしっかりするか、すりごまを使いましょう。
たんぱく質由来成分ゴマペプチド
ごまのたんぱく質を分解して得られるゴマペプチドという成分があります[*3]。特定保健用食品の成分として認められているので、聞いたことがある人も多いでしょう。「血圧が高めの人に適する」と表示することができ、ゴマペプチドには高血圧の予防効果が期待されています。
しかしながら、ごま自体を食べたからといってこの効果があるかはわかりません。血圧が気になるようであれば、食事バランスをしっかり整えたうえで、ゴマペプチドを含む製品を少し摂取してみてもいいかもしれませんね。
微量成分のセサミン・セサモリン
ごまにはセサミンとセサモリンという微量成分も含まれます。いずれも特定保健用食品に使われており、血中のLDLコレステロールを減らすのを助ける効果が期待されています[*4]。LDLコレステロール値が高めの方は、食事のバランスをくずさない程度に取り入れるといいでしょう。
なお、ごまに含まれるのはとても微量のため、ごまを少し食べたところでセサミンやセサモリンの効能が得られるかはわかりません。
ごまは高カロリー?
ごま(炒りごま)は100gあたりがなんと605kcal[*1]。これは100gのご飯の2~3倍の数字なので、ちょっと驚いてしまうものです。
しかし、実際に食べる量でよく考えてみると、ごまは多めに使ったとしても、大さじ1程度が一般的でしょう。大さじ1は10gほどなので、だいたい60kcalですね[*1]。
ダイエット中などでカロリーの摂り過ぎを気にしているなら、ごまの量を少し控えてもいいかもしれませんが、ごまはいろいろな栄養素が摂れるので適量を取り入れるのはおすすめです。
ごまを食べ過ぎるとどうなる?
カルシウムなどが摂れるほか、特有の成分に健康効果も期待されるごまですが、食べ過ぎには注意が必要です。
消化不良や腹痛のリスク
植物の種であるごまは硬い皮で覆われているため、粒のまま食べても胃腸で消化吸収されずにそのまま排泄されることも多い食品です。一般的な量を摂取する分には問題ありませんが、ごまの健康効果を得ようとたくさん食べると、消化不良を起こして腹痛や下痢になったりするかもしれません。
また、不溶性食物繊維が多いため、大量に摂取すると便のカサが増えすぎて便が硬くなり、かえって便秘のリスクを高める可能性もあります。
ごまの消化の悪さが気になるときは、すりごまにするとよいでしょう。栄養素の吸収もよくなります。
太るリスク
ごまから油がとれることからもわかるとおり、ごまは脂質が多い食品であり、100gの約半分(54.2g)が脂質でてきています[*1]。
脂質は体に必要な栄養素ですが、摂り過ぎると肥満などの原因となることから、脂質から摂るエネルギー(カロリー)がトータルのカロリーの20~30%未満にするのが望ましいとされています[*2]。たとえば1日に2,000kcalが必要な人の場合だと、脂質のカロリーは400~600kcal未満がよいということですね。仮に100gのごまを1日に食べた場合、ごまに含まれる脂質から算出されるカロリーは約490kcalとなり、ごまだけで1日の脂質を摂ってしまいます。
100gものごまを一度に摂ることはなかなかないとは思いますが、健康に良いからと言ってごまをたくさん食べてしまうと、脂質の摂り過ぎになる可能性があることを覚えておきたいですね。ごまの脂質量の目安として、ごま大さじ1(10g)は小さじ1強(5.4g)の油と同じだと覚えておくとわかりやすいかもしれません。
ごまの適量とおすすめの食べ方
ごまの食べ過ぎには注意したいですが、だいたいどのくらいを適量と考えればよいのでしょうか?
ごまの適量|1日大さじ1程度
ごまはいろいろな食べ方があり、それによっても適量は変わってくるかと思いますが、食べ過ぎを予防するなら、1日大さじ1(10g)程度を目安にしておくといいでしょう。
この適量を超えたからといって健康を害するわけではありませんが、ごまはあくまでも他の食材の引き立て役として食べることが多いため、このくらいの量を参考にしてみてください。
おすすめの食べ方|ふりかけの代わりに
ごまを食事に取り入れるなら、ふりかけの代わりに使うと同時に減塩にもなるのでおすすめです。
高血圧などが気になる人や健康志向の人は、塩分を摂り過ぎないように気を付けている場合も多いでしょう。しかし、おかずの味付けが薄いとなかなかご飯が進まず、ご飯だけ残ってしまうこともありますよね。そんなときにふりかけを使いたくなりますが、ふりかけは塩分が多めです。その代わりに、すりごまやいりごまをご飯にかけてはいかがでしょうか。味が物足りないと思ったら、シソや乾燥エビなどを混ぜてもいいですね。
食べ過ぎだけじゃない?ごまの注意点
最後に食べ過ぎ以外のごまの注意点も確認しておきましょう。
ごまアレルギー
ごまはアレルギーを引き起こす可能性のある食品であり、特定原材料に準ずる表示推奨品目の1つです。粒のものよりもすりごまの方が症状が出やすいので、初めて食べるときには注意したほうがいいでしょう[*5]。
ごま油はごまアレルギーがあっても大丈夫なことが多いですが、稀にごま油でもアレルギー症状がでることもあります。ごまアレルギーがある場合は同じく注意しましょう。
なお、子どもの場合、離乳食期からごまを与えることができますが、色々なものを食べ慣れてくる後期ごろから開始することをおすすめします。詳しくは以下の記事で解説しています。
まとめ
ごま一つひとつは小さな粒ですが、「食べる丸薬」と言われるように、栄養が豊富に含まれる食べ物です。ふりかけやごま和えなどにして手軽に摂取こともできるので、日々の料理に使うのもいいですね。しかし、からだに良いといっても摂り過ぎると脂質の過剰摂取につながります。栄養のバランスを考えて適量を取り入れていきたいですね。
(文:三浦真由美 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
[*3]医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
[*4]消費者庁:特定保健用食品について
[*5]海老澤元宏、伊藤浩明、藤澤隆夫(監)『食物アレルギー診療ガイドライン2021』協和企画
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、管理栄養士の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます