鯖江市から届けたい、子どもと使う木と漆の道具
PR:鯖江市
今回訪ねたのは、3つの異なる現場。 木地職人の技をルーツに持ち、現代の暮らしに寄り添う「Hacoa」、 伝統的な漆の技法を今に伝える「漆琳堂」、 新しい表現に挑戦する「曽明漆器店」。 子どもにとっての「使う体験」は、どんな道具から生まれるのか。 その価値と、それを支えるものづくりの現場を訪ねる旅が始まりました。
子どもに使わせるお椀やスプーン。
軽くて扱いやすいものを選ぶことは、きっとどの家庭でも同じです。
でもその一方で、こんな疑問もよぎります。
「長く使うもの」を、ちゃんと選べているだろうか——と。
福井県鯖江市には、1500年続く越前漆器の産地があります。
そこでは今も、木と漆を使ったものづくりが続いています。
今回訪ねたのは、3つの異なる現場。
木地職人の技をルーツに持ち、現代の暮らしに寄り添う「Hacoa」、
伝統的な漆の技法を今に伝える「漆琳堂」、
新しい表現に挑戦する「曽明漆器店」。
子どもにとっての「使う体験」は、どんな道具から生まれるのか。
その価値と、それを支えるものづくりの現場を訪ねる旅が始まりました。
■ 木から始まるものづくり。Hacoaで触れる“やさしい道具”
工房に入ると、木を削る音とともに、やわらかな空気が広がります。
扱っているのが自然素材だからこそ生まれる空気感です。
Hacoaのものづくりは、木を削り出すところから始まります。
もともとは越前漆器の「木地づくり」を担っていた背景を持ち、
その技術を現代の雑貨へと発展させています。
大きな特徴は、時代の変化に合わせて、ライフスタイルに寄り添う製品づくりを行っていること。
さらに、自社内にデザイナーを抱え、企画から製造、販売まで一貫して行うことで、
より暮らしに近い視点でのものづくりを実現しています。
削り出された木は、角までなめらかに整えられ、手にやさしく馴染む質感に。
使い込むほどに色や風合いが変わり、自分だけの道具になっていきます。
木を彫り出して仕上げる、Hacoaの命名書。
やわらかな手触りと自然素材のぬくもりが、赤ちゃんの誕生という特別な瞬間をやさしく包み込みます。
名前をかたちとして残すことで、家族の記憶に寄り添い続ける一枚に。
また、Hacoaではワークショップも開催されており、
つくる工程を体験することができます。
自分の手で形をつくる時間は、大人にとって新鮮であると同時に、
子どもにとっては「ものがどうやってできるのか」を知るきっかけにもなります。
こうした取り組みからも、単に商品を売るだけでなく、
ものづくりそのものを暮らしの中に届けようとする姿勢が感じられます。
なお、職人の中には県外から移住してきた方が約半数おり、
都市部での体験をきっかけにこの地へ移り住んだ人もいるといいます。
産地の技術と、新しい担い手。
その両方が重なり合うことで、Hacoaのものづくりは形づくられています。
■ “毎日使える漆”って?漆琳堂で聞く、いまの漆器
店内に並ぶのは、やわらかな色合いの漆器たち。
黒や朱のイメージとは少し異なり、日常の食卓にすっと馴染む存在です。
漆琳堂は1793年創業。長い歴史を持ちながらも、
現代の暮らしに合わせたかたちで漆器を提案しています。
カラフルなシリーズ「RIN&CO.」では、
スタッキングできる形状や食洗機対応など、実用性にも配慮。
伝統技術をベースにしながら、使いやすさを追求しています。
■ 「漆器は、本来“日常の道具”」
制作に携わる職人の方に話を伺いました。
「特別な日だけではなく、普段から使ってほしいですね」
その言葉の背景には、漆器がもともと日常の中で使われてきた歴史があります。
その距離をもう一度縮めることが、今の提案にもつながっています。
軽くて丈夫で、手に馴染む形。
それは毎日繰り返し使うことを前提に考えられているものです。
そうした特徴は、大人にとっての使いやすさであると同時に、
子どもにとっても扱いやすい理由になります。
■ 「色や仕上がりも、すべて技術」
漆琳堂では、色漆の扱いにも注力しています。
塗ったときと乾いたときで色が変わるため、仕上がりを見越した調整が必要になります 。
さらに、研ぎ・下地・拭き上げといった工程を丁寧に積み重ねることで、
使いやすさと耐久性が生まれます。
修理(下地からの補修や金継ぎ)も含め、
長く使うことを前提にしたものづくりが今も受け継がれています。
ここでも多くの職人が県外から移住してきた人たち。
大学で漆芸を学び、この土地を選んだ若い世代が支えています。
伝統は、閉じた世界ではなく、外からの人を受け入れながら続いている。
そんな実感がありました。
■ 新しい漆器のかたち。曽明漆器店の挑戦
曽明漆器店は企画や商品開発を軸にしたものづくりを行っています。
青色の漆器シリーズなど、これまであまり見られなかった表現にも挑戦し、
漆器のイメージを広げています。
もともとは敬遠されがちだった色でも、
料理を引き立てる視点から見れば新しい魅力になる。
そうした柔軟な発想が、今の漆器の広がりを生んでいます。
また、手に取りやすい価格帯や使いやすさの工夫など、
より多くの人に届く形を目指しているのも特徴です。
忙しい日々の中でも扱いやすく、
日常の食卓に取り入れやすい存在。
結果としてそれは、家族みんなが同じ器を使い、
同じ時間を共有するきっかけにもなりそうです。
■ 小さな器がくれる、はじめての体験
中でも印象的だったのが、「子どもプチ椀」という商品です。
手のひらに収まる小ぶりなサイズで、軽くて持ちやすい。
出産祝いとして選ばれることも多いそうです。
まだ手の小さな子どもでも扱いやすい形は、
単に見た目のかわいらしさだけではなく、
使いやすさをしっかり考えて作られています。
最初に手にする器として、こうした“ちょうどいい道具”があること。
それは、暮らしの中に自然と漆器が入り込むきっかけにもなります。
■ 3つの現場で見えた「伝統の中での育ち」
木と向き合い、時代に寄り添うHacoa。
伝統技術を丁寧に継承する漆琳堂。
現代のデザインや技術を取り入れた曽明漆器店。
それぞれの方向性は異なりますが、
共通しているのは「次の世代につなげる」という視点です。
そしてそこには、地域の中だけではなく、
外から来た人材が大きく関わっているという現実があります。
伝統は、守るだけでは続きません。
変化と受け入れの中で育っていくものです。
■ 子どもに残したい「使う体験」
どんな器を使って育つか。
それは日常の中に溶け込む、小さな記憶です。
長く使えるものは、時間とともに変化し、
暮らしの一部になっていきます。
小さなお椀ひとつからでもいい。
木や漆という素材に触れること。
それは、物との向き合い方を自然に教えてくれる経験になります。
■ 終わりに
木の手触り、漆の艶。
そこには長い時間と、多くの人の手が重なっています。
そしてその裏側には、
この土地を選び、技術を学び続ける人たちの姿があります。
何を選び、どう使うか。
その積み重ねが、日々の暮らしを形づくっていきます。
道具を通して見えるものは、思いのほか大きいのかもしれません。