
出産前のパパの心得<あき先生の出産・育児コラム>
妊婦さんや育児中のパパママのお悩みに、ベテラン助産師さんが答える「あき先生の出産・育児コラム」。今回のテーマは『プレパパの心構え』です。出産をひかえ、自分にできることは限られていると思うパパも多いかと思います。でも「パパだからこそできる」ことがあるんです。プレパパ必見!
パパに質問「出産のイメージは?」
「出産」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
マタニティクラスでパパたちに尋ねると、「不安」「痛そう」「苦しそう」「大変」「怖い」と、ネガティブな言葉が並びます。
もちろん、「出産=いのちを生み出す」ことなので、安易には考えてほしくありません。
「お産のときに男は無力」「男には何もできない」と思っていませんか? 実は、世界で唯一パートナーにしかできない出産サポートがあります。
「妊娠が分かったその日から始まる出産サポートの心得」について考えてみませんか?
パパにしかできないことがある!
妊娠・出産という “いのちを生み出す緊張感” は相当なものです。
妊娠中の女性は毎日、
「無事に生まれてくるだろうか」
「五体満足だろうか」
「どのくらい痛いのかな」
と、不安と緊張を感じながら過ごしています。
愛する妻の丁寧な観察
パパにできることがあります。というよりも「パパにしか」できないことがあります!!!
それは、妊娠や出産で不安を感じている妻をリラックスさせること。
同じ痛みでも、緊張しているときとリラックスしているときでは、感じ方が違うのをご存知ですか?
手をグーにして真っ赤になるまで力を入れてみてください。その部位をつねられるととても痛いはずです。でも、ぶらぶらリラックスしている部位をつねられたときは、それほど痛くはありません。
つまり、お産のときに緊張を緩めることで、痛みの感じ方が軽くなるのです。
妻がくすっと笑うのはどんなタイミングなのか
妻がホッとするのはどんなタイミングなのか
どんな言葉をかけたら妻がリラックスするのか
陣痛・破水・おしるし……お産が始まったときに緊張している妻を笑顔にして緩ませることは、パパにできる最大のサポートです。
妻を世界一愛しているパパが、生活を共にして丁寧に観察するからこそ見つけられるポイントがあるはずです。
心の出産準備


「不安」「痛み」「苦しみ」「大変」「怖い」という出産のイメージは、「ワクワクする」「楽しみになる」イメージからは程遠いものです。
パパが毎日、「すごいね」「楽しみだね」「かわいい子だろうね」という、ポジティブなイメージを送り続けることは、妊娠中からできる出産準備です。
思いがけず、帝王切開となることもあるでしょう。
ときに「帝王切開になっちゃっうの?」「痛みを感じてこそ母親」という、周囲からの不用意な言葉に傷つくママもいます。
そんなときに盾となるのも、パパにしかできないお役目です。パパの言葉に癒された体験を語るママは少なくありません。
ちなみに「元気に生まれるならどんな生まれ方でもいい」という表現は、不快に感じる女性もいます。「頭ではそう思っていても、心がついていかない」からです。ママが言ってほしい言葉は、結論ではなく「敬意や共感」なのです。
出産サポートは点ではなく線
妊娠・出産のサポートというと、「妊婦健診に付き添うか」「立ち会い出産か否か」のイメージがあると思います。しかし、健診の付き添いや出産の立ち合いをするかどうかはあくまで「点」のサポートに過ぎません。
妊娠がわかったその日から、愛する妻を丁寧に観察し、わくわくする言葉をかけ続け、ときには盾になる。そんないのちの誕生を見守る長い「線」での丁寧なサポートは、世界中でパパにしかできないとても重要なサポートです。
人生に幾度も経験しない妊娠・出産で、「惚れ直される夫」になれるかどうかは、そんな「線」でのサポートあってこそ。育児が始まったら急に親になるわけではありません。パートナーにしかできない出産サポートは、妊娠したときからはじまっています。


(文:直井亜紀先生)
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