
【医師監修】排卵日の計算方法は?オギノ式ってどんなもの?
「早く赤ちゃんが欲しい!」と思ったら、排卵日を把握することがポイント。理由は、妊娠しやすい時期と排卵日は関連しているからです。では、その排卵日はどうすればわかるのでしょうか? 計算でわかるもの? 今回は排卵日を計算する方法をご紹介します。
排卵日の計算方法:オギノ式とは?


妊娠しやすいタイミングを知る方法として、古くから知られているのが「オギノ式」。今でもその基本的な考え方は色あせていません。
次回生理から排卵のタイミングを導き出す
オギノ式の“オギノ”とは、この方法を提唱した荻野久作氏(1882~1975)の名前に由来します。
1924年に荻野久作は、受胎期に関するある学説を発表しました。それは、
・生理(月経)周期の長さにかかわらず、排卵期は次回の生理前12~16日の5日間
・受胎期は次回生理前12~19日の8日間
というもの。

その後、ドイツ語で海外に向けて発表され、後にこの学説の理論的な正しさが認められて、海外では避妊法として利用されるようになりました。荻野氏自身はこの方法を、妊娠を望む夫婦のための方法として唱えたそうです。
次の生理前の12~19日の8日間が受胎期
オギノ式では、精子では2~3日、卵子は排卵後10~24時間が受精能力のある期間とし、排卵の3日前から排卵1日後まで、つまり次回の生理予定の前12~19日の8日間を、妊娠が成立する可能性が高い受胎期としています[*1,2]。
生理周期を過去1年、少なくとも6ヶ月間は記録したうえで、上記に当てはめて計算します。
長所は全くコストがかからないこと、短所は信頼性


オギノ式の長所は、器具や薬品などが一切不要という点で経済的にも負担になりません。
一方、短所は失敗率が高いということ。ここで言う失敗率とは、オギノ式が海外で利用される際の主たる目的であった「避妊」の失敗率という意味で、つまり計算上の受胎日を避けて性交をしても妊娠してしまうことがあるということです。
妊娠するためにオギノ式を活用する場合は「失敗」と言えませんが、妊娠するために受胎期の8日間、毎日性交するのは少し効率が悪いので、このあと解説する方法も試してみましょう。
アプリを活用する方法も


最近は、排卵日を予測できるスマートフォンやパソコンの無料アプリケーションがあります。後述するように、基礎体温は排卵日の目安となる情報であり、その基礎体温のデータをグラフで管理したり、生理や体調などが記録できる機能が付いています。そのデータをもとに、排卵推定日や生理開始推定日などを教えてくれます。
計算での推測はあくまでも目安にしかならない


ただし、厳密に言うと排卵の日時を計算で推定することには困難が伴います。
基礎体温を測定し、低温期(低温相。基礎体温が低温の期間)の最終日、または陥落日(低温期から高温期に移行する直前の体温が一層低下する日)が排卵日だとの考え方もありますが、必ずしもそうとも言い切れません。低温期最終日の前後数日のいずれかが排卵日であることは間違いありませんが、そもそも低温期から高温期への切り替わりがはっきりしない女性も少なくないのです。
オギノ式以外の排卵日把握方法について
オギノ式以外で排卵日を把握する方法を紹介しましょう。
基礎体温

まずは基礎体温を活用する方法です。
女性の基礎体温は、ホルモンバランスの影響を受けて、生理周期とともに変化しています。
簡単にいうと、生理が始まってからの約2週間は基礎体温が低い「低温期」。低温期の最終日ごろに排卵が起こり、この時期に体温が最も低下する「陥落日」になります。そしてその翌日からは体温が高くなる「高温期(高温相)」です。
毎日基礎体温をつけると排卵日を推測することができます。
基礎体温を用いた排卵日の予測方法の原理は、以下のページに詳しい解説がありますので、ご覧になってください。
頸管粘液の変化
女性のおりものには、子宮や子宮頸管、腟からの分泌物が含まれています。
このうち頸管粘液は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)に敏感に反応して生理周期の中で変化しますが、排卵期前後も性状に変化見られます。具体的には、排卵期の頸管粘液は量が増え、水っぽくて透明で、水あめのように長く伸びるようになります(医学的には牽糸性があるといいます)。
このような頸管粘液の性状の変化から、排卵日を知ることができ、生理周期の乱れのためにオギノ式が使えない人や、基礎体温の変化がわかりにくい人でも利用できます。ただし難点は、毎日、腟の奥に指を入れて頸管粘液を付着させ、観察しなければいけないこと、そして、見た目での判断なので正確性に欠けることです。
性状の違いをご自身で判断できる人は限られるでしょう。
排卵検査薬(排卵日予測検査薬)


「排卵日をもっと正確に知りたい!」という人には、排卵検査薬を使う方法がお勧めです。尿を試験紙に直接かけたり、またはカップにとった尿に試験紙を浸し、その後数分で陰性か陽性かを判定できます。
検査のタイミングとしては、次回生理開始予定日から17日前から毎日1〜2回行い、初めて陽性と判定されたら間もなく排卵が起こるので、赤ちゃんを授かるチャンスです。
この検査薬がどのように排卵日を予測するのかというと、基礎体温が低温期から高温期に切り替わる時の体内で起きている変化に関係しています。
基礎体温が低温相から高温相に切り替わる前に、脳の視床下部にある下垂体から「黄体形成ホルモン(LH)」というホルモンが分泌され、黄体形成ホルモンが卵胞に作用して排卵が起こります。排卵日予測検査薬は、この黄体形成ホルモンの尿中濃度を測定する検査薬です。尿中の黄体形成ホルモンが一定以上に高くなったら、それは間もなく排卵が起きるというサインというわけです。
医療機関での超音波検査
医療機関を受診すると、さらに正確に排卵日を把握するための検査が行われます。
例えば経腟超音波検査で卵巣を調べます。卵巣の中にある卵胞(卵子が包まれている袋状の殻)の大きさが20~25mm近くになったら排卵まぢか。そして排卵が起きるとその直後から急速に卵胞は縮小します。
この検査を排卵期近くに行うことで、正確に排卵日を知ることができます。
まとめ


オギノ式と呼ばれる方法で、生理周期から計算して排卵日を予測することはある程度可能です。ただ、排卵日は体調の変化により変わることもあるため、たとえ生理周期が一定の女性でも、計算での推測は目安程度に考えておきましょう。妊娠を望むときは、基礎体温をつけるなど、他の方法も試してみましょう。
(文:久保秀実/監修:浅野仁覚 先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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