
【小児科医師監修】赤ちゃんの声が枯れる2つの原因と対処法
かぜでもないのに赤ちゃんの声が枯れてきた。そんな経験はありませんか? 赤ちゃんも大人と同じく大声で泣いたり、空気が乾燥したりすると声がかすれることがあります。赤ちゃんの声枯れには、どのように対処すればよいのでしょうか。
赤ちゃんの声が枯れるのはなぜ?
まずは赤ちゃんの声が枯れたり、かすれたりする主な原因を確認していきましょう。
赤ちゃんの声が枯れる原因


赤ちゃんの声というと、比較的高音でかわいらしい声といったイメージがありますが、まれに声枯れが起こり、ハスキーな声を出すことがあります。
ハスキーボイスのように枯れたりかすれたりした声のことを医学的には「嗄声(させい)」と言います。嗄声はガラガラした声、かすれた声、弱々しい声、力んだ声などに細かく分類されます。
以下に、赤ちゃんが嗄声になる原因として可能性があるものを挙げてみました。
・大きな声で泣く
大きな声でよく泣いている赤ちゃんは、声がかすれてくることがあります。その仕組みは大人が大声を出した後、声が枯れるのと同じです。
大きな声を出すと声帯に負担がかかります。負担のかかった声帯がいたむことで声のかすれ(嗄声)が生じることが考えられます。普通は一時的なもので特に心配はいらないでしょう。
・かぜ(風邪)
かぜ症状によって、のどに炎症がおこった結果、声のかすれが生じることもあります。通常はかぜの症状が治れば、声も自然に元に戻ります。大声を出したことによる声枯れと同様、一時的な嗄声であることがほとんどです。
薬を服用し、のどの乾燥を防ぐなど、かぜ症状の改善に努めていれば、嗄声について特別な治療を行う必要はないでしょう。
その他の原因
その他、「声帯結節」により声が枯れる場合もありますが、ほとんど幼児期に起こるもののため、赤ちゃんの場合は心配ないでしょう。
「声帯結節(せいたいけっせつ)」は、発声にかかわる器官である声帯に小さなイボのようなでっぱりができることですが、これによっても声が枯れることがあります。声を使いすぎたり、無理な発声を続けたりすることでできるといわれており、大人では教師や歌手など声をよく使う職業の人に多くみられますが、じつは小さな子供、とくに学童期の男の子にもよく生じることがわかっています[*1]。
また、まれに声帯やその周辺にポリープと呼ばれる腫瘤(しゅりゅう)ができていたり、声帯を動かす神経が麻痺(まひ)していたりすることもあります。
これらは赤ちゃんの声がれの原因ではほとんど心配いりませんが、赤ちゃんの声枯れがずっと治らないというときは、耳鼻咽喉科での専門医に相談してみるのも一考です。
赤ちゃんの声が枯れていたらどう対処すればいいの?
実際に赤ちゃんの声に枯れや、かすれがある場合、気を付けておくべき対処を以下に挙げました。
(1)長時間泣かせたままにしない


赤ちゃんは泣くときに声帯を使うので、長時間泣いていると声がれの原因になります。とはいえ赤ちゃんは何をしても泣きやまない事も多く、泣かせないというのは難しいものです。
出来る限りで構わないので、声が枯れているときはあまり長時間泣き続けなよう、工夫できるとよいですね。
(2)乾燥に注意する
乾燥した空気は、のどの炎症をおこしやすくするほか、かぜをひきやすくなる原因にもなります。空気が乾燥しすぎないよう、室内は適度に加湿しましょう。
病院に連れて行くべき?
声枯れやかすれ声など子供の嗄声で受診するかどうかは、なかなか判断の難しいところといえます。
受診の目安(早めに受診? 救急?)
目安としては
・嗄声が1週間以上続くほど長引く
・次第に悪くなるばかりで改善の傾向が見られない
などの場合には、医療機関を受診したほうがよいでしょう。
また声枯れ、かすれ声といった声の異常だけでなく、
・母乳やミルクの飲みが明らかに悪くなった
・発熱がある
など心配な様子がみられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
特に
・呼吸が苦しそう
・呼吸がゼイゼイしている
などの場合は救急受診が必要です。
受診する先(小児科? 耳鼻咽喉科?)
救急ではなく受診する場合は、まずかかりつけの小児科医に相談するのがおすすめです。その上で専門医による診断が必要な場合は、耳鼻咽喉科の専門医を紹介してもらうのがスムーズでしょう。
まとめ
赤ちゃんの声枯れは一時的な症状であることが多く、あまり心配はありません。ですが、もしも長引いたり、良くなっている様子がみられなかったりする場合は、遠慮せず医療機関を受診しましょう。まずはかかりつけの小児科医に相談して判断を仰ぐことをおすすめします。小児科医は子供の病気の専門家です。安心して相談のできる、かかりつけ医をぜひとも探しておきましょう。
(文:山本尚恵/監修:大越陽一先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます