
妊婦はピザを食べていい?リステリアほか注意点まとめ【管理栄養士監修】
食事に慎重になる妊娠中。ふと「これって食べても大丈夫なの?」と心配になることもありますね。デリバリーやテイクアウト、冷凍・チルド製品などで手軽に食べられる「ピザ」はどうでしょうか。注意したいこととあわせて紹介します。
妊婦はピザを食べていい?

まずは妊娠中にピザを食べてもいいのか、確認しておきましょう。
妊婦もピザを食べられる……けど量には注意
妊娠中に注意が必要なチーズもあるので心配かもしれませんが、ピザは加熱調理されているので基本的に食べても大丈夫です。生地に具とチーズをのせたピザは、主食とおかずを一緒に摂ることができるメニュー。生地で炭水化物、チーズで乳製品、肉や魚などでたんぱく質が摂れます。
ただ、チーズは油や塩分が多めなので、1人前程度を超えない量にして、野菜を何かで補うといいですね。野菜もトッピングするとさらにいいですね。具の選び方次第で、バランスよく栄養を摂ることができます。
妊娠中のピザ、リステリアは大丈夫?

チーズについては、リステリア感染の危険について聞いたことがある妊婦さんもいるでしょう。リステリアとは何なのか、ピザでは何に気をつければいいのか知っておきましょう。
リステリアとは
リステリアは自然界に普通に存在する菌のひとつ。この菌が増殖した食べ物を摂取すると食中毒の原因となります。健康な人は感染しても無症状か軽い症状で終わりますが、妊娠中に感染して胎盤を経て胎児が感染すると、早産や流産、死産の原因になることがあります。
そのため加熱しないで食べる食品(生ハムやスモークサーモン、ナチュラルチーズなど)は、妊娠中は避けた方が良いといわれています。ただし、リステリアは65℃で数分の加熱処理で死滅します。また70℃以上で急激に死滅します[*1, 2]。
加熱調理してあるピザでは心配いらない
ナチュラルチーズを使用しているものであっても、ピザは加熱調理するものなので基本的にリステリアの心配はいりません。
心配なときはしっかり加熱
リステリアは65℃で数分の加熱処理で死滅しますが、低温には強く食品の中では0℃以下でも生存します。冷凍しても菌は死滅せず、欧米ではアイスクリームによるリステリアの大規模食中毒も起きています。
冷凍や冷蔵のピザを食べるときも、 しっかりと加熱をしてください。 国産のチーズであっても、加熱して食べるように表記されているものは必ず加熱をしましょう。
ほかにもある妊娠中のピザの注意点


妊娠中にピザを食べるときは、次のようなことにも気をつけてください。
生ハムなど生の具材は避ける
生ハムもナチュラルチーズと同様に、海外でリステリアによる集団食中毒の例が報告されています。国内でも菌数は少ないものの、過去に検出されています。生ハムはトキソプラズマ感染の心配もあります。
妊娠中はそのまま食べることは避け、生ハムを食べるなら加熱をしましょう。生ハムのほか、スモークサーモンなどもピザを焼いた後にトッピングされることが多いですが、妊娠中はこうした生の具材は避けるか加熱をしてから食べるのが無難です。
ハーブを使ったピザは毎日大量に食べ続けなければOK
ピザによく使われるもので、妊婦さんは“大量摂取”に注意が必要とされているハーブには、バジルやオレガノ、パセリなどがありますが、食品として少量摂る分には心配いりません。
なお、バジルでは、バジルソース(ジェノベーゼ)がポピュラーですが、そればかりを毎日大量に食べ続けなければ問題ありません。
まとめ


妊娠中にピザを食べてももちろん大丈夫。外国産のナチュラルチーズを使っていても、ピザは火が通りやすいので、加熱すれば食べることができます。ただ、購入後すみやかに食べきる、生ものは避ける、一度加熱してから食べるといった基本的な食中毒対策をしていきましょう。
(文:佐藤華奈子/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]食品安全委員会「加熱してもなぜ食中毒が起こるのでしょうか」
[*2]社団法人 畜産技術協会「平成21年度食品安全確保総合調査「食品により媒介される感染症等に関する文献調査報告書」より抜粋」
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます