
妊婦はチーズケーキを食べても大丈夫? 知っておきたいリステリア菌のリスクやNGチーズ【管理栄養士監修】
ママの体とお腹の赤ちゃんのために、食事にはいろいろと気をつけたい妊娠中。妊婦さんがチーズを食べる時はリステリア菌に注意が必要と言われますが、チーズケーキでも気を付けたほうが良いのか気になりますね。ここでは妊娠中、チーズケーキを食べる前に知っておきたいポイントについて説明します。
妊婦もチーズケーキを食べて大丈夫?


妊娠中、チーズケーキがいいとも悪いともいわれるのは、次のような理由があります。
妊娠中はOKのチーズケーキとNGのチーズケーキがある
チーズケーキの種類は作り方で大きく3つに分けられます。「ベイクドチーズケーキ」「スフレチーズケーキ」「レアチーズケーキ」の3種類です。
このうち、ベイクドチーズケーキ、スフレチーズケーキは妊娠中も問題なく食べられます。バスクチーズケーキ、ニューヨークチーズケーキもベイクドチーズケーキの一種です。
妊婦さんが注意したいのは「レアチーズケーキ」。「ティラミス」も要注意です。
ポイントは、作る過程で加熱をしているか・していないか。ベイクドチーズケーキは生地にチーズを加えてオーブンで焼いたものです。スフレチーズケーキはオーブン内にお湯を張って蒸し焼きにしたもので、フワフワの食感が特徴です。ともに加熱して作ります。
一方で、レアチーズケーキは、クッキーやタルト生地、砕いたクラッカーを敷き詰めたうえに、クリームチーズや生クリームなどを混ぜて流し込み、冷やし固めて作ります。基本的に加熱はしません。
妊婦が注意したいのはレアチーズケーキ

作るときに加熱をしないレアチーズケーキは、何が問題なのでしょうか。
非加熱のチーズは「リステリア菌」の心配が
レアチーズケーキに使われるクリームチーズは「ナチュラルチーズ」の一種。欧米では、殺菌されていない生乳で作ったナチュラルチーズなどを原因とした「リステリア菌による集団食中毒」が発生しています。
そのため、妊娠中は“外国産”のクリームチーズは避けた方が無難といわれています。また、外国産クリームチーズを使用し、製造工程で加熱されないレアチーズケーキも控えたいのです。
ただし、国内で生産される乳製品は基本的に加熱殺菌した乳から作られているため、国産の大手メーカーのクリームチーズであれば妊娠中もリステリア菌のリスクはほとんどありません。
リステリア菌の症状
リステリア菌は河川の水や動物の腸管内など、自然界に広く分布している細菌です。これに汚染された食品を食べてリステリア症になると、38~39℃の発熱、頭痛、嘔吐・下痢等の急性胃腸炎の症状などが出ます。
健康な大人の場合は感染しても無症状のことが多いものの、倦怠感や弱い発熱を伴うインフルエンザのような症状が出ることもあります。
妊婦のリステリア菌感染による赤ちゃんへの影響
妊婦はリステリア菌に感染しやすく、妊娠中に感染した場合、早産や流産、死産の原因となることがあります。また生まれた赤ちゃんに髄膜炎や水頭症、精神・運動障害などがみられることもあります。
なお、リステリアは加熱すると死滅しますが、低温や塩分に強いという特徴があり、4℃以下の環境や食塩濃度が12%あっても増殖します[*1]。つまり、冷蔵庫で保存していても増殖して食中毒を起こす恐れがあるので、加熱しないで食べる食品はリステリアに注意が必要なのです。
妊婦さんはナチュラルチーズのほかにも、生ハムなどの食肉加工品、スモークサーモンなどの魚介類加工品は要注意です。
種類以外にもある!妊婦がチーズケーキを食べるときの注意点


上で紹介した種類のほかにも、妊娠中にチーズケーキを食べるときは次のことに気をつけてください。
糖分・カロリーの摂りすぎに注意
ケーキは脂質と糖質に栄養が偏ったスイーツ。日本食品標準成分表2020年版によると、100g当たりのチーズケーキのカロリー、糖質、脂質は次のようになっています(糖質=炭水化物―食物繊維として計算)[*2]。
・ベイクドチーズケーキ…299kcal、脂質21.2g、糖質23.1g
・レアチーズケーキ …348kcal、脂質27.5g、糖質21.6g
必要なエネルギーや栄養は、食事から摂るのが基本です。いろいろな食品を組み合わせて食べることも大切なので、チーズケーキは食べ過ぎに注意しながら楽しみましょう。
消費期限は必ずチェック
ベイクドチーズケーキやスフレチーズケーキは生クリームを使ったケーキより比較的日持ちしますが、それでも早めに食べ切りましょう。
なお、ケーキやお弁当など痛みやすい食品に表示されている「消費期限」は、開封せずに適切な方法で保存された場合、安全に食べられる期限のこと。消費期限が切れたものは食べないようにしてください。また、消費期限内であっても、開封したあとは期限に関わらず早めに食べましょう。
アルコールが含まれるチーズケーキにも注意
ケーキやお菓子に含まれる洋酒のアルコールの量は、飲酒に比べるとかなり少ないものです。とはいえ、妊娠中はアルコールに要注意な時期。非加熱なので注意が必要と解説したティラミスですが、アルコールを含むコーヒーリキュールが使われている面からも妊娠中は控えた方がいいでしょう。
なお、ブランデーケーキやラム酒を使用したパウンドケーキ、洋酒入りのチョコレートケーキなど、加熱するお菓子に使用されたアルコールも、焼いているうちにすべてが蒸発するというわけではありません。調理中にアルコールが食材に染み込むので、わずかではありますがアルコール分は残ります。口にしたからと言って必ず悪影響が起こるということではありませんが、小さな子供が急性アルコール中毒になったり、アルコールに弱い人は顔が赤くなることもあります。妊娠中は控えるほうが安心でしょう。
まとめ

妊娠中もベイクドチーズケーキやスフレチーズケーキなら安心して食べられます。ただ食べすぎや消費期限には要注意。アルコールが含まれている場合もあるので、その点にも気をつけて、妊娠中も安心して食べられるものを選ぶようにしましょう。
(文:佐藤華奈子/監修:川口由美子 先生)
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