
妊婦が食べていいケーキの量は?抹茶入りは大丈夫?妊娠中の食べ方と注意点【管理栄養士監修】
妊娠中、甘いお菓子を食べると体重が増えてしまうという理由から、食べることを我慢している妊婦さんも多いのではないでしょうか? 今回は妊婦さんがケーキ食べる上で注意してほしい食べ方をお伝えします。
妊娠中だけどケーキが食べたい!食べても大丈夫?

妊娠中に無性に甘いものを好み、甘いものを我慢すればするほど食べたいと思っている妊婦さんもいるのではないでしょうか。では妊娠中はなぜ、甘いものが食べたくなるのか、またケーキは食べても良いのか紹介します。
妊娠中に甘い物が食べたくなる理由
妊娠すると「甘いものが好きだったのに興味が湧かなくなった」ということもあれば「苦手だった甘いものを美味しく感じるようになった」「無性に甘いものが食べたい」などと思うことはありませんか?
つわりの時期の味覚変化はよく知られていますが、実は妊娠中は全般で食事の嗜好や味覚が変化することが少なくありません。 そのため、無性に甘いものが欲しいと思うこともあるのです。
妊婦もケーキを食べて大丈夫

妊婦がケーキを食べること自体はいけないことではありません。
妊娠中はいろいろと制限が多いですが、甘いものを我慢することでストレスがたまるようであれば、却って身体にもよくありません。食べる量に気をつけたり、ケーキに含まれるアルコールやカフェインなどに気をつけたりするなどし、妊娠中の楽しみとして間食に上手に取り入れられるといいですね。
妊婦はケーキの食べ過ぎに注意
ケーキには糖分や脂質が多く含まれます。そのため食べ過ぎると急激な体重増加にもつながります。一食抜いてケーキだけを食べるなどの大食いは避けましょう。
妊婦のケーキ食べ過ぎで考えられる影響
妊娠すると血糖値が上がりやすくなります。これは胎盤からでるホルモンの働きでインスリンの働き(インスリンは血糖を下げる働きを持っている)が抑えられるため、非妊娠期と比べてインスリンが効きにくい状態になり、血糖が上がりやすくなるからです。
そのため、甘いものばかりを大量に食べていると血糖は上がり続けることになりますが、母体の血糖値が高いとママだけでなく赤ちゃんの体にも負担がかかるとされています。
また、妊娠中に体重増加量が多すぎると、巨大児分娩や帝王切開分娩のリスクが高まります[*1]。
妊婦が食べていいケーキの量はどれくらい?

ケーキは糖分や脂肪分を多く含むので、カロリーが非常に高いです。間食の目安は1日100~200kcalですが、ショートケーキ1切れ(約120g)で約400kcalあります。ショートケーキ1切れで1日分の間食の目安を軽く超えてしまうのが分かると思います。
ケーキの種類によって多少カロリーは前後しますが、ケーキは高カロリーなのには違いありません。妊娠中は普段食べる量の半分量にするなど、食べる量に注意しましょう。
妊娠中にケーキを食べ過ぎてしまったら
ケーキを食べ過ぎてしまったと思ったら、ご飯はあっさりとした和食にするなど食事内容でも一日の摂取エネルギー量を調整できると良いですね。
また、甘いものを食べ続けることは急激な体重増加につながるので、毎日食べることは控え、妊娠中の楽しみの1つにすると良いでしょう。
食べる量以外にもある妊娠中のケーキの注意点
妊娠中はケーキを食べる際には食べる量はもちろん、他にも注意したいことがあります。
チーズケーキは種類によって注意が必要

レアチーズケーキに使われる「非加熱のナチュラルチーズ」は食中毒菌であるリステリア菌が付着している恐れがあるため、妊娠中には気をつけたい食品の1つとなっています [*2]。 レアチーズケーキは、ナチュラルチーズのクリームチーズが使われていることもあり、また調理の中で加熱をせずに作るので避けた方が安心でしょう。
また、洋酒やコーヒーが使われているので妊娠中は控える方が多いとは思いますが、ティラミスもナチュラルチーズのマスカルポーネを加熱せずに使うスイーツですので、控えたほうがよいです。
リステリア菌は加熱することで死滅するので、調理工程で加熱するベイクドチーズケーキに関しては問題ないでしょう。
なお、国産の乳製品の原料は加熱された乳しか使用できないため、市販品などは問題ないのですが、海外の乳製品は加熱義務がないものもあるので、原料に海外の乳製品が使われているときには特に気をつけましょう。
▶︎妊婦のクリームチーズやナチュラルチーズについて、詳しくはこちらをご覧ください
妊婦はクリームチーズを食べても大丈夫?注意したいチーズの種類とその理由
賞味期限をチェック
ケーキなどの生菓子は腐敗が進むのが速いため 、賞味期限内に食べることが望ましいです。妊娠中は食中毒になりやすく、感染すると母体が衰弱して回復にも時間がかかります。ケーキに限らず、食品の賞味期限はチェックしましょう。
抹茶・紅茶系ケーキはカフェインに注意

抹茶は1杯あたり約48mg、紅茶はティーカップ1杯45mg のカフェインが含まれます[*3]。
妊娠中のカフェイン摂取は胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるため、世界保健機関(WHO)では 妊婦のカフェイン摂取は1日200~300mg以下とすることが推奨されています [*4] 。
抹茶・紅茶系ケーキは抹茶や紅茶を飲むよりカフェイン量は少なくなりますが、カフェインが少なからず入っているため食べ過ぎに注意しましょう。
妊娠中のケーキに関するよくある疑問
妊娠中はいろいろな心配事がつきませんよね。ここでは、ケーキに関する疑問をまとめています。
洋酒入りはケーキを食べてしまったけど大丈夫?
もしも気づかずに食べてしまった場合には、それ以降は気をつけるといいでしょう。
ケーキやお菓子に含まれる洋酒はごくわずかですが、お酒が含まれていることには変わりはないので、妊娠中には避けたい食品の一つです。妊娠中は原材料を確認し、洋酒が入っていないことを確かめましょう。
妊娠中にケーキが食べたくなったら赤ちゃんの性別は女の子?

「妊娠中に甘いものが食べたくなったら赤ちゃんの性別は女の子かも」という言葉を聞いたことのある方も多いかもしれません。しかしながら、これは迷信であり医学的根拠はありません。ただ、妊娠中は味覚の変化等で甘いものが無性に食べたくなる人も多いので、体重増加には気をつけましょう。
まとめ
甘いものを食べることは妊娠中の気分転換にもなるので、我慢ばかりせず、適量をできるだけ日中に食べることをおすすめします。ケーキを楽しんでママがリラックスすることは、お腹の中の赤ちゃんにとってもいいことです。妊娠中はいろいろな制限がありますが、楽しい妊娠生活を送るためにも甘い菓子類とは上手に付き合っていきましょう。
(文:茅野陽 先生/監修:川口由美子 先生)
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