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2021年10月30日 16:55 更新

【医師監修】産後に涙もろいのは普通のこと? 原因と対処法

出産を終えてほっとしたものの、今度は急に「涙もろくなった」という人もいるようです。すぐ泣いてしまうだけではなく、中にはちょっとしたきっかけで涙が止まらなくなり号泣してしまうという人も。これは普通のことなのでしょうか。その原因や対処法をお伝えします。

産後に涙もろくなるのはよくある?原因は?

悩みがある女性のイメージ

産後に涙もろくなるのはよくあることなのか、原因と一緒に説明します。

産後、情緒不安定になるのはよくある

出産後はホルモンバランスが急激に変化し、体の生理機能が大きく変化します。さらにママになったというライフステージの変化や産後の育児の疲労などが重なって、精神的に不安定になりやすい状態になります。

原因(1)マタニティブルーズ

産後3~10日に一時的に軽い抑うつ状態になることを「マタニティブルーズ」といいます[*1]。主に次のような症状が見られます。

マタニティブルーズの主な症状

・急に涙もろくなる
・理由もなくイライラする
・不安になる
・集中力が低下する
・情緒不安定になる

少しのきっかけで涙が出てしまうのは、マタニティブルーズでよく起こることです。マタニティブルーズは病気ではなく生理的な反応で、国内では出産したママの30~50%程度にみられるとされています[*1]。

また、初産婦のほとんどが経験すると言われることもあります。人によって程度の差はあるものの、産後に涙もろくなるのはよくあることなのです。

原因(2)産後うつ病

産後数ヶ月以内に発症するうつ病を「産後うつ病」といい、とくに産後1ヶ月以内に起こることが多いと言われています。これは産後ママの約10%がかかるといわれています[*2]。

気分が沈む、赤ちゃんがかわいく思えない、何に対しても興味や喜びを感じられないといったメンタルの問題だけでなく、食欲がない、不眠または睡眠過多といった体の不調もあらわれます。

産後の涙もろさはいつまで続く?

具合が悪そうなママのイメージ
Lazy dummy

産後の涙もろさやメンタルの不調は、どのくらい続くのか注意して様子を見る必要があります。

産後2週間ほどでなくなれば心配ない

マタニティブルーズは一過性のもので、たいていは数時間~2日以内に治まります。何度か繰り返すこともありますが、それでも2週間ほどのうちには起こらなくなります[*3]。だいたい2週間以内に治まればマタニティブルーズだったと考えられ、その場合、治療は必要ありません。

それ以上続く場合は産後うつ病の可能性も

産後うつ病は、精神的な不調が産後に2週間以上続いた場合、可能性が高くなります。なお、マタニティブルーズが2週間以上続いて産後うつ病へ移行する場合もあります。

<体験談>産後、涙もろくなったと感じた?

Lazy dummy

先輩ママは、産後、どんな時に涙もろくなったか聞いてみました。

テレビなどを観ていて……

動物を見ても涙が……

気持ちの変動が激しくなって……

嫌なことでもすぐ涙が……

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2020年9月16日~2021年10月4日 調査人数:147人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋 ※ここで紹介した方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。

産後の涙もろさが気になったらどうすればいい?

外で赤ちゃんを抱っこするパパ

最後に、涙もろいことが気になったときの対処法を紹介します。

気分転換やリラックスを工夫してみて

マタニティブルーズであれば一時的なものなので、自然に治まるのを待つことになります。赤ちゃんもいて忙しい日々ではありますが、できるだけ気分転換すること、リラックスすることを心がけて、落ち着いて過ごしましょう。

そのためには、パパに愚痴を聞いてもらうなど、自分の気持ちを積極的に周囲に話すようにしましょう。産後のママが家事も育児もすべてがんばるのはいけません。夫婦で分担し、それでも手が回らないことは遠慮せず誰かに手伝ってもらいましょう。ママはなるべく睡眠をとって体も休めてください。

産後うつ病?と思ったら早めに相談

不眠もあって辛いとき、涙が止まらなくて困っているようなときは、あまり我慢せず医師に相談するのも大切です。

産後うつ病は治療しないでいると、悪化したり再発を繰り返したりすることがあります。悪化すると自殺につながることも。産後うつ病かも、と思ったらできるだけ早く専門家に相談してください。

症状の続いている期間が2週間未満であっても、気持ちの落ち込みがひどい場合、症状によって育児が困難だと思う場合は、早めに受診をするか、産科のかかりつけ医や助産師、保健師などに相談を。産婦健診などで相談すると、必要な場合はメンタルヘルスの専門家を紹介してくれるはずです。

メンタル不調についていきなり受診するのはハードルが高いと感じる人は、全国のこころの相談センター(精神保健福祉センター)の無料電話相談でまず話を聞いてもらうという方法もあります。地域の相談センターは次の一覧から調べられます。

産後は精神的に不安定になりやすい時期です。不調を感じたら、くれぐれも一人で抱え込まないようにしてください。

まとめ

赤ちゃんを抱っこするパパとママ

産後に涙もろくなるのは、多くはマタニティブルーズという自然な反応のひとつ。この場合、病気ではなく、治療の必要はありません。とはいえ、これが続いてしまうとそのまま産後うつ病に移行してしまうことも。一見些細なことに見えても、産後の精神状態はデリケートなので、一人で抱え込まず周囲に相談するようにしましょう。
周囲の人はママの負担が減るよう、家事や育児を分担して、ゆっくり休めるようにしてあげてください。また、涙もろいなどの精神的に不安定な状態がどのくらい続いているか注意深く見守り、症状がひどかったり2週間以上続いていると感じたら、受診を促してあげてください。

(文:佐藤華奈子/監修:直林奈月 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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