【宋美玄先生解説】出産後夫婦のセックス頻度が変わる2大原因とは?レス回避の3つの方法
妊娠・出産を機に夫婦におけるセックスが大きく変わることは多々あります。特に頻度の変化はよく話題に上がりますが、一方でずっと同じペースという夫婦も。セックスが変わる人と変わらない人、その差はどこにあるのでしょうか。今回は産後の夫婦生活のデータのほか、産婦人科医の宋美玄先生に夫婦のセックス頻度を保つコツをお聞きしました。
産後のセックス、変わった? 変わらない?
※マイナビ子育て調べ 調査期間:2021年11月17日~2021年11月26日 調査人数:106人(23歳~40歳以上の女性)
※ここで紹介した結果は個人の体験によるものです。
セックスの変化|「産後も変わらない」が最多
最も多かったのは「変わらない」という回答で、35.8%を占めていました。その次に多かったのが「あまり変わらない」で20.7%。2つを合わせると、じつに半数以上の人が「変化がない・または少ない」と答えており、これはやや意外な結果といえるかもしれません。
変化の内容|頻度が減った、時間が短くなったケースも
具体的にどう変わったのかについても聞いてみたところ、「頻度が減った」というコメントが多く寄せられていました。
中には
「とても回数が減りました」(34歳/千葉県)
と、頻度の低下具合が垣間見える回答も。頻度が減少した以外には
「1回にかける時間が短くなった」(32歳/新潟県)
というコメントもちらほら見受けられたことから、産後のセックスは低頻度、短時間になりやすい傾向があるようです。
再開時期|4割が「産後1年たってから」
産後のセックスの再開時期についても質問したところ、最も多かったのは約4割(42.1%)の人が答えた「産後1年以降」でした。続いて多かったのは「産後半年~1年未満」で2割弱(20.0%)であることから、産後のセックスは出産から半年~1年が経過してからゆっくりと再開する傾向であることがうかがえます。
産後のセックスの妨げになるものは? 2大原因
産後のセックスの再開時期は遅くなればなるほど、その後の性生活への影響が大きくなると考えられるため、可能であれば早めに再開したいところ。ですが、そこにはすぐに再開するのが難しい、こんな理由がありました。
「子どもが起きないか心配」セックスに集中できない
「痛みや子供が起きないか気が散漫になる」(40歳以上/埼玉県)
「寝室が子どもと同じ部屋だから気が進まない」(37歳/広島県)
「子どもが寝ている側でしたくないという気持ちがあった」(33歳/東京都)
子どもと同じ部屋で寝ているので、起きないか心配でセックスができないというコメントが多く見受けられました。まだ赤ちゃんで、しかも寝ているとはいえ、子どもの前でセックスをするのは抵抗感があるということでしょう。
「セックスどころじゃない」育児の疲れも影響大
やはり最も多かったのは「育児で疲れてセックスする気がおきない」という意見でした。
「子育ての疲れでそんな余裕ない」(37歳/東京都)
「育児や家事でへとへとになっていること」(39歳/京都府)
「慢性的な睡眠不足と疲労」(37歳/東京都)
「家事や育児にかかる、大きな負担です」(34歳/千葉県)
「性欲よりも睡眠欲の方が勝っていた」(34歳/東京都)
産後の体の回復もままならないまま育児に追われ、セックスのことまで考える余裕がないことがコメントからもよく伝わってきます。
産後もセックスの頻度を保つ3つのヒント
セックスには生殖や快楽の追求だけでなく、夫婦間のコミュニケーションの円滑化という役割も含まれています。産後も夫婦でスムーズなコミュニケーションをはかり、セックスの頻度を保つにはどうすればよいのでしょうか。産婦人科医で日本性科学会学会員、女性の性に関する著書も多数ある宋美玄先生に、そのヒントを教えていただきました。
1. コミュニケーション|まずは会話からスタート
「セックスはとても重要なコミュニケーション手段です。肌と肌のふれあいや普段、他人に普段見せない部分を見せ合うという行為を通じてはじめて、理解できることもあります。つまりセックスレスになるということは、夫婦にとって大切なコミュニケーションの一部が欠けてしまうことにもつながります。
とはいえ産後の大変な中、セックスにまで時間を割く余裕がないことはとてもよくわかります。この時期は、セックスどころか夫婦の会話すらままならないという人も少なくないでしょう。そのため、まずは会話をするところから始めてみてはどうでしょうか。いきなり『セックスどうしよう』と考えるのではなく、会話、スキンシップ、そしてセックスという段階を踏んでいくとスムーズにセックスが再開でき、頻度も保てるようになるでしょう」
2. 就寝環境|近ければ機会は増える
産後は、生活リズムの違いなどで夫婦が同じ寝室でいるのが難しいケースがあるかもしれません。ですが、こうした調査結果をみると寝室や枕の距離はセックスの回数にかかわってくる可能性が大きいことがわかります。
それぞれの夫婦で快適だと思える就寝環境が異なるのも事実ですし、無理することはありませんが、もしセックスレス回避のために何かしたいというのであれば、パートナーの近くで寝るというのも一つの対策になるかもしれません。」
※「夫婦だけの寝室」「夫婦別室」の割合
・セックスレスだと思う夫婦=夫婦だけの寝室(41.5%)< 夫婦別室(46.3%)
・セックスレスだとは全く思わない夫婦=夫婦だけの寝室(63.3%)> 夫婦別室(9.5%)
※※まくらの距離(全体平均=67cm)
・セックスレスだと思う夫婦=84cm
・セックスレスだとは全く思わない夫婦=51cm
3. 機会を作る工夫|短時間、夜以外など
「アンケートでも産後のセックスを妨げる要因として『夜、赤ちゃんが起きないか心配』というコメントが寄せられていたように、横に寝ているお子さんのことが気になって、セックスに集中できないという人は少なくありません。その場合、短時間でもセックスが楽しめるような工夫をしてみるのもひとつの方法です。たとえば『朝の空き時間に服を着たまましてみる』などもよいでしょう。」
まとめ
妊娠中はトラブルを心配してセックスを避けるカップルも少なくないようですが、出産後のセックスを妊娠前と同じような状態にすぐに戻すのは難しい場合もあります。産後のセックスレスを悩み、なんとかしたいと思っている夫婦にとっては深刻な問題ともなり得ます。セックスは夫婦にとって大切なコミュニケーション手段のひとつです。まずは会話やスキンシップといったコミュニケーションからはじめて、お互いが相手を思いやりながら少しずつ頻度を回復させていけるとよいですね。
(文:山本尚恵/監修:宋美玄 先生)
※画像はイメージです
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます