小学校入試で見られるのは勉強だけじゃない! 名門小が求める3つの子ども像『親子で楽しむ小学校受験』#2
小学校受験を検討中でどのように対策をすればいいのか知りたい方も、受験対策真っ只中の方も必見!青山家庭教育サービスほしの会代表・高木宏子さんの著書『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』(幻冬舎)より、知っておきたい受験のコツや心構えを抜粋して連載形式でお届けします。
【小学校受験】合格のために最低限必要なこととは?
名門小学校が求めている子ども像
合格をいただくために、最低限必要なことはなんでしょうか。
結論から先にお伝えすると「受験する小学校が求めている子ども」であるかどうかです。
名門小学校の校長先生や教頭先生のお話の中で、どの学校の先生も共通しておっしゃるのが「自分のことを自分でできる自立した子」「他者を尊重し、ともに協力して、集団生活のなかで人に迷惑をかけない」「自ら考え、行動できる」の3点でした。
私の教えたお子さんではありませんが、学習面では非常に優秀なお子さんが、ことごとく上位の名門小学校で不合格になったケースがありました。そのお子さんは学習することのみをご両親に課せられ、身の回りのことはすべてお母さまがサポートしていたそうです。
もちろん、受験準備として、リボン結びや包む作業、洗濯ばさみの使い方や服の畳み方など、出題に予想される日常作業の練習はしなければなりません。
いざ、第一志望の試験となったときに、「バスタオルを物干し竿に干す」という課題が出されました。そのお子さんはタオルを竿にかけたあと、タオルの周囲に10個以上の洗濯ばさみをつけたのだそうです。
洗濯ばさみをスピーディに留める、外すという訓練をしてきたため、バスタオルが飛ばないように洗濯ばさみを使うのではなく、いかに早く、たくさんの洗濯ばさみをつけられるかが大切だと思い込んでしまったようです。
本来は、お手伝いをするなかで身につけることができたはずです。
反対に、ある女の子は、小さな頃からお母さまの手伝いをするのが習慣になっていました。自分の身の回りのことはもちろん自分でしますし、料理、洗濯、掃除なども、幼児とは思えない手つきでできるようになっていました。
彼女の第一志望は、毎年生活習慣を行動観察の試験に出題する最難関校でした。行動観察について特別な準備はしていませんでしたが、見事、合格。ちらかった物を道具箱に整理整頓する課題だったようですが、なんのためらいもなく丁寧に作業できたようです。
自分のことは自分で、自ら考えて行動するというのは、一朝一夕ではかないません。日常のなかで、お子さん自身に任せる部分を少しずつ増やしていきましょう。失敗したりうまくできなくても、「こうしたらもっとかっこいいね」と励ましながら、どうすればうまくできるかも、お子さん自身が模索し壁を乗り越えていけるように応援してあげてください。
お手伝いに関しては無理強いせず「タオルを畳んでくれると、ママすごく助かるの。お願いできる?」と、声を掛けてみてください。人のために何かをして喜ばれる。その心地よさを実感させてあげましょう。
必ずしもリーダーシップの取れる子でなくてもいい
「うちの子は、積極性がなくて困ります」
「人の後ろをついていくタイプです。受験には向きませんか?」
といった、お子さんの性格について悩まれているご両親は少なくありません。心配される気持ちは分かりますが、それには及びません。
集団生活にはいろいろな性格の子がいることで、切磋琢磨したり、助け合ったりしてお互いに成長していきます。ですから、積極的な子もいれば、大人しくてみんなの話をじっくり聞くタイプの子もいていいのです。それぞれの子どもが、それぞれの個性を活かしてこそ、集団生活の意味があるのです。
必ずしもリーダーシップの取れるお子さんが有利ではありませんから、その点は安心してください。そもそも、全員がリーダータイプだったら、かえってまとまりが悪く、集団としてうまく機能しなくなってしまいます。
試験に遊びの時間や、集団での行動観察があるのは、「自分の都合だけでなく、みんなのことを考えられるか」を先生方は見ているからです。グループで協力して作業するような課題が出たときに、ちょっと面倒な作業も地道に頑張るとか、意見が割れたときに調整できるとか、困っている子に声を掛けられるとか、その子の性格の良い面が表せればよいのです。
自由な校風で有名な小学校に合格された女の子は、声が小さく自分から積極的に発言するタイプではありませんでした。ですが、人の話をよく聞き、協調できる子で、模擬試験でも行動観察はいつもほぼ満点を取っていました。本番でも彼女の良さを出せたのだと思います。
(高木宏子『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』(幻冬舎)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
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書籍『目指せ! 名門校合格 親子で楽しむ小学校受験』について
小学校受験を親子で「楽しむ」という新しい視点で書かれた合格メソッド。
小学校受験家庭教師 青山家庭教育サービスほしの会代表・高木宏子さんが小学校受験を成功させるために必要な考え方と具体的なメソッドを解説。
お教室ではフォローしきれない日常生活にスポットが当てられています。
さらに、受験で起こりがちなアクシデントへの対処方法や、親の不安にこたえるアドバイスも掲載。
小学校受験対策の内容を知りたいご両親はもちろん、今の対策に行き詰ったご家庭にも、これから小学校受験を考えている方にもおすすめの一冊です。
【目次】
第1章 子どもに「受験」の意味は分かりません。どうやってやる気を引き出したらいい?
第2章 お教室での学習や、家庭学習がうまくいかない理由はどこにある? ペーパー学習より大切なこと
第3章 「試験ではどこを見られているのか」?を知れば、家庭でやるべきことが見えてくる
第4章 語彙を増やし、表現力と記憶力をアップさせる「言語メソッド10」
第5章 図形のセンスを磨き、生き物の知識を身につける「認知力メソッド10」
第6章 運動、工作、絵画……体や指先を使う試験に備える「巧緻性メソッド10」
第7章 親子で遊ぶ機会を増やして行動観察に強くなる「家族メソッド10」
第8章 試験当日まで、家庭環境次第で子どもは伸びる!メソッドを実践して楽しみながら合格をつかんだ親子たち
高木宏子さんのプロフィール
青山家庭教育サービスほしの会代表。
慶應義塾大学文学部卒業。
学生時代に家庭教師や塾講師として小中高生に勉強を教え、結婚後子育てをしながら大学受験の添削指導を行った経験をもつ。
その後、小学校受験教室の講師となり、大手幼児教室「伸芽会」勤務時代には青山・学習院クラスを担当。
小学校受験に長く携わるなかで、親が必死になるあまり、子どもの心を置き去りにしてしまったり、本来もっている学ぶ力、意欲が十分発揮されていない子どもたちがいることを痛感。
小学校受験のための家庭教師サービスを立ち上げ、学ぶ楽しさを実感してもらい、受験する子どものみならず、父母や弟妹など、家族へのケアにも力を注ぐ受験指導を行っている。
東京、神奈川、埼玉、千葉の有名小学校への合格実績多数。