若者が考える日本が平和な理由の1位は「非核三原則」、核兵器の保有は約7割が反対【18歳意識調査】
5月19日から開催されるG7広島サミット。被爆地でのサミットの開催は初ということで、戦争被爆国として日本がどのようなメッセージを発信するのかという点も注目されています。戦争や紛争が絶えない世界情勢のなか、最近の若者は日本の現状をどう考えているのでしょうか? 日本財団が行ったアンケート調査をご紹介します。
平和・核兵器・徴兵制に関する若者の意識は?
日本財団では、成人年齢が18歳に引き下げられたことをきっかけに、18歳の若者がどんなことを考え、物事を捉えているのかを知るために「18歳意識調査」を定期的に実施しています。その53回目では「国家安全保障」をテーマに、全国の17歳~19歳の男女1,000人を対象にアンケートを行っています。その結果から、平和や核兵器に関する若者の意識をご紹介します。
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※回答者がインターネット利用者に限られるなど、回答者に何らかの偏りが生じる可能性があり、必ずしも日本全体の17~19歳男女に妥当するものではありません。
60%超が日本は「平和である」と回答
まず、日本は平和かどうかについての若者の意識を見てみましょう。
「今の日本を取り巻く状況をどのように捉えていますか?」という設問に対して、「平和である」「どちらかと言えば平和である」と回答した人は、全体で約64%でした。男女別でみると、男性より女性が若干、平和だと感じている人が多かったですが、大きな差はありませんでした。一方、「平和ではない」と考えている人は女性より男性の方が割合が多い結果となりました。
なお、「考えたことがない」という人も男女ともに5%以上いました。
日本が平和な理由は「非核三原則の存在」が1位
次に、日本が平和である主な要因は何だと思うかについて聞いた結果を見てみましょう。
全体でも男女別でも「非核三原則の存在」が1位となりました。2位は「平和主義を規定する憲法の存在」、3位は「日米同盟の存在」と続いています。
日本には核兵器を「持たない、つくらない、持ち込ませない」という「非核三原則」があること、「戦争の放棄」などを規定した憲法があることが、平和に繋がっていると感じている人が多いようです。
核兵器の製造や配備について約7割が反対
核兵器に対する考えでは、さらに「現行の条約や憲法、法制度に関わらず、もし仮に日本が核兵器に対する姿勢を見直す場合、行ってもよい保有方法等について」尋ねています。
その結果、核兵器の国内製造を行ってはならない(※)と回答した人は73.2%でした。日本国内での同盟国による核兵器の配備については、67.5%が行ってはならないと回答。輸入核兵器の保有について、行ってはならないと考える人は71.3%でした。いずれも約7割が反対の立場を示しています。
男女別で見た場合には、女性と比べ男性は、いずれの項目でも肯定的に考えている人の割合が多いという結果でした。とくに「同盟国による国内での核兵器配備」に関しては、女性が「行ってもよい」とした人が6%だったのに対し、男性は22%と大きな開きがあります。「どちらかと言えば行ってもよい」も含めると、男性は約4割が同盟国による国内での核兵器配備を肯定的に考えているようです。
※「どちらかと言えば行ってはならない」「行ってはならない」の合計
徴兵制の導入について約8割が反対
最後に、徴兵制度導入に関する回答を見てみます。
「もし仮に、現行の憲法や法制度にかかわらず、日本に徴兵制導入の是非が議論になった場合」に賛成か反対かを聞いたところ、男性が75%以上、女性では85%の人が反対(※)と考えていることが分かりました。また、とくに女性では「賛成」と回答した人がわずか2.9%でした。
※「反対」「どちらかと言えば反対」の合計
まとめ
国家安全保障をテーマにした若者へのアンケート調査の結果をご紹介しました。その結果、多くの人が日本は平和であると考えており、その理由としては、非核三原則や「戦争の放棄」を規定した日本国憲法の存在があることがわかりました。また、将来の核兵器の保有については、反対派が多い一方で、とくに男性の一定数は「保有してもよい」と考えているようです。自分の子どもはどう考えているのか、親子で意見の違いはあるのか、話をすることも大切ではないでしょうか。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
調査概要
■18歳意識調査 第53回 –国家安全保障–報告書/日本財団
調査地域:全国
調査対象:17歳~19歳までの男女
調査時期:2023年1月11日~16日
有効回答数:1,000サンプル