
「積み木」と「ジャングルジム」 両親の“違う遊び”から生まれる大きなメリットとは? 小崎先生が伝えたいこと<第二回>
夫婦で子育てをしていく中で、同調する部分・食い違う部分はどうしても出てくるものです。子どもへの対応にあたり、両親はどの程度足並みを揃えるべきなのでしょうか。自ら育休を取得し、夫婦で3人の子どもを育て上げた経験を持つ小崎恭弘先生に「ママとパパ、それぞれの“子供への関わり方”」について聞きました。
【これまでの記事】
<第一回>子どもの人生で「親のリベンジ」はあかん!
子供への関わり、夫婦で同じようにすべき?

――子育てする上で、考え方や子供への関わり方がママとパパとで食い違うことがあります。両親はどの程度足並みを揃えるべきでしょうか?
まず、子どもを育てる時の「土台」は共有しなければなりません。
たとえばママは「ジュースを飲んだらあかん」と言い、パパは「飲んでいいよ」と言うと、子どもは混乱してしまう。だからそういう基本的な考え方は共有しておくといい。
一方で、その「基本的な考え方」という“土台”の上に積み重なる「関わり」はパパとママで違っていい、むしろ多様である方がいいんです。
――ごく稀に子供2人だけで過ごす状況になると、もう一方の親と子の関わり方をそのままなぞってしまいがちですね。
パパでよく見られるパターンですが、パパが「2人目のママ」になってしまうのはもったいない! パパとママは違うからいいのよ。
たとえば、一方の親とは積み木で遊ぶ。積み木は何度失敗してもいいし、むしろ「失敗を学ぶ」遊びやね。
そしてもう一方の親とはジャングルジムで遊ぶ。ジャングルジムは失敗したらあかん、怪我をするから。だから、遊びの中で「失敗しないという価値観を学ぶ」ことができる。
そういうふうに、多様な遊びの中で子どもたちは様々な経験や価値観、これからの人生に必要な基礎を身に着けていく。だからパパとママは土台となる方向性を共有しても、関わりまで一緒である必要はないし、違う方がいいのよ。
――どう関わればいいかわからず、子どもを過剰に甘やかしてしまうケースもあるようです。
特に、なんでも勝ち負けで考えていると、育児がうまくできない自分が「負けている感じ」で嫌なのもあるでしょうね。
そうなると、育児をがんばるという方向ではなく、たとえば「パパ大好き!」って子どもに言われたくてついお菓子とかおもちゃで釣ろうとしたり……でも、それはあかんで!
子どもの気をお菓子とかおもちゃで引けても、「パパが好き」なんじゃなくて、「お菓子やおもちゃが好き」なだけだから、パパじゃなくていいことになってしまう。それは育児の土俵ではありませんし、ママに勝ったことにはならない。そこに気づいてほしいです。
(解説:小崎恭弘先生、文・取材:大崎典子)
▶︎第三回 ママは爪切りが得意…って本当にそう思ってる?パパは「スーパーサブ」やない! に続く(2023年6月23日公開予定)