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2023年08月17日 09:30 更新

AIを悪用した音声詐欺が世界で増加中!日本での被害の状況や詐欺に遭わないためのポイントとは?

子どもにとってSNSは非常に身近となっていますが、SNSの行動が詐欺に遭う可能性を高めているかもしれません。現在、世界ではAIを悪用した音声詐欺が増えています。マカフィー株式会社が発表した「The Artificial Imposter」をもとに、世界と日本の現状と、今後詐欺に遭わないための方法について見ていきます。

7カ国、18歳以上の成人を対象にAI音声詐欺の遭遇実態を調査

システムとネットワークのセキュリティサポートを行っているマカフィー株式会社では、日本を含む世界7カ国(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・インド・オーストラリア)の18歳以上の成人7,054人を対象に「音声AIを悪用した詐欺」に関する調査を行いました。その結果、日本ではまだ少ないようですが、世界では音声詐欺による被害者が増加傾向であることがわかりました。

AI音声詐欺の遭遇率、日本はどのくらい?

「あなた自身、もしくは知人が、AIを悪用した音声詐欺に遭遇したことがあるか」という設問に対し、自分自身が遭遇した人は全体の10%、知人が遭遇したという人は15%でした。

国別でみると、とくに多いのがインドで「自分」が20%、「知人」が27%。次いでアメリカが「自分」が14%、「知人」が18%でした。

調査を行った7カ国の中では、日本は最も少なく、「自分」が3%、「知人」が5%にとどまりました。日本国内ではまだそれほど多く発生しているわけではない印象です。とはいえ、SNS全盛の現在、今後日本でもこうした詐欺が増えてくる可能性は十分に考えられます。

AI(人工知能)を悪用したオンライン音声詐欺の現状に関するレポート「The Artificial Imposter」(マカフィー)より

音声のオンライン共有が詐欺の材料に

そもそも音声詐欺とはどういうものなのかと言うと、AIを使用して人の声(声紋)のデータをクローン化させ、それを詐欺に活用するというものです。

では、詐欺師はどうやって声のデータを入手するのでしょうか? 彼らは人々が自らSNSやボイスメモなどを使ってオンライン共有したものをコピーして悪用しています。

実際に今回の調査でも「自分自身の声をどのくらいの頻度で共有しているか?」という設問に対して、7か国全体で26%の人が「1週間に1~2回」共有していると回答しています。また、全体の10%は1週間に5回以上、オンラインで共有していることが明らかに。多くの人が日常的に自分の声などをオンライン上にアップしていることがわかります。

とくに、音声詐欺が多いとされているインドでは、43%と半数近くの人が最低でも「1週間に1~2回」、それ以上の人を加えると、8割以上の人が音声データのオンライン共有を行っています。このことから、音声データのオンライン共有とAI音声詐欺には、やはり関連が高いことがうかがえるでしょう。

詐欺の遭遇率が他国と比べて低かった日本は、音声データのオンライン共有の割合も少なく、「1週間に1~2回」でも16%にとどまっていますが、オンライン共有をする人が増えれば、詐欺のターゲットになっていくことが考えられます。

AI(人工知能)を悪用したオンライン音声詐欺の現状に関するレポート「The Artificial Imposter」(マカフィー)より

AI音声詐欺の手口

画像や動画の送信や声のクローンを悪用することは、AIの発達によりかなり容易になっているのが現状です。McAfee Labsの調査によると、AIボイスクローニングツールを活用し3秒で一致率85%(※1)のクローン音声を作成できるといいます。

実際の手口としては、AIで作成したクローン音声で本人になりすまし、「お金に困窮している」という嘘のボイスメールを家族や知人に送ったり、電話をかけて、相手からお金を騙し取っていることが、今回の調査でわかりました。

実際に詐欺にあってしまったとき、クローン音声と本人の声を聞き分けることができるか、自身のない人が多いのではないでしょうか。調査でも、「その声を聞いたときに、本人かどうか識別できるか?」と質問した結果、7割が「識別できるかどうか分からない」「識別できないと思う」と回答しました。

AIによるクローン音声を使われてしまった場合、多くの人が騙されてしまう可能性が懸念されます。

(※1)音声照合精度は、McAfeeのセキュリティ研究者によるベンチマークと評価に基づく

AI音声詐欺から身を守るには?

マカフィーでは、AIを悪用した音声詐欺から身を守る方法を紹介しています。

口頭でのパスワード(合言葉)
家族や知人などの間でのみ通用する「合言葉」や「パスワード」のようなものを設定しましょう。とくに、高齢者や家族、友人が電話や電子メール、ボイスメールなどで救済を求めてきた場合には、必ずそうした「パスワード」を求めて確認してから対処するようにしましょう。

発信者を疑う
知らない発信者からの電話やメールなどはもちろん、見覚えのある番号などからの発信でも、その場で対処しようとはせず、一度電話を切って、相手の電話にかけ直すなどの確認を。

SNSでのアクションは慎重に
SNSなどでのアクションに注意することが重要。声はもちろん、画像や動画などでも個人が特定されてしまうような情報をアップするときには、要注意。不特定多数の人がこうしたデータにアクセスできないような設定を行ったり、ダークウェブにデータが流出した場合には通知を受けられれる設定を行うなども大切です。

被害が少ない今から注意したい

日本でも詐欺被害は多く、家族や知人をかたって電話をかけてくる「振り込め詐欺」(特殊詐欺)は、ますます巧妙化していて社会問題となっています。音声詐欺はその更なる巧妙化したものとも言えるでしょう。しかも、「振り込め詐欺」の場合は、とくに高齢者を狙ったものが多い印象ですが、クローン音声を悪用したものは、全世代を対象とした詐欺とも考えられ、いつ自分自身に降りかかってくるかもしれないという怖さがあります。まずは、音声データをむやみにインターネット上で共有しないことと、こうした詐欺の存在と実態を知ることが大事でしょう。「まだ日本では少ないから」と安心するだけではなく、少ない今だからこそ、しっかり注意喚起していくことが大切です。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

調査地域:世界7カ国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・インド・日本・オーストラリア)
調査対象:18歳以上の成人
調査時期:2023年4月13日~19日
有効回答数:7,054サンプル(アメリカ(1,009人)、 イギリス(1,009人)、ドイツ(1,007人)、フランス(1007人)、 インド(1,010人)、日本(1,004人)、オーストラリア(1,008人))

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