
6歳の娘が妻になつかず、父親である私を頼ってくる。虐待などしていないのになぜ?<子育て心理カウンセリングルーム>
子育て中のママ・パパの悩みを臨床心理士・公認心理師に相談する『子育て心理カウンセリングルーム』。今回は、妻と娘の関係について男性からのお悩みです。「6歳の娘が妻になつかなくて困っている」というその訳は……。

母親を避けている⁉️ 娘が妻に懐くようになるには?
6歳の長女が妻にあまり懐かなくて困っています。
妻も私も実の親なのですが、妻の方が子どもに厳しく接することが多いからなのか、それとも口が悪いからなのか、子どもがちょっと怖がっている感じです。
幼稚園の行事などの時も妻ではなく私に参加してほしいと言いますし、家で何かやる時も私にやってほしいと言います。私に甘えている、私の気をひいているという感じではなく、妻を避けている感じです。もちろん妻が体罰などをしていることはありません。
どうしたら自然に他の家のように妻に懐くようになるのか知りたいです。
(46歳・男性・小売店/販売職・サービス系)
■相談者の家族構成:自分46歳、妻38歳、長女6歳
■お困り度:★★★★★★★☆☆☆

子どもが一方の親ばかりに懐いているような状態はすぐにでも改善したいところですよね。
我が子に懐かれないと、寂しさはもちろん、子育ての上で不安やイライラを感じやすくなり、親としての自信が持てなくなってしまう可能性もあります。
また、懐かれている方の親も、育児分担がうまくいかないことで負担が偏ってしまい、疲れやすくなってしまいます。
「ママがいい」「パパがいい」といった現象はどんな子にも起こり得ることですが、考えられる要因は様々です。その一つに子どもと関わる時間の長さが挙げられます。関わる時間が短いと懐きにくいと考えられがちですが、その逆もあります。
長い時間子どもと過ごすと、楽しく過ごせる時間ばかりではなく、叱ったり、注意したりする機会も増えます。そうなると、子どもは怖い、あるいは疎ましいと感じたり、叱る頻度によってはその親は「いつも怒っている人」になってしまいます。そこにもう一方の登場ではそちらに懐きやすくなってしまうでしょう。
また、親子であっても相性の良し悪しがあります。これは友人関係などでもそうですが、同じことに興味が持てたり、同じことに共感できたり、考え方や感じ方が似ていたりすると精神的な距離が縮まりますし、心地良い関係が築きやすくなります。両親どちらのことを好きであっても、より楽しめる方、心地良い方に寄っていくということもあるかもしれません。
今回のケースでは、お子さんはとても相談者様に懐いているのですね。きっとお子さんにとってお父さんは安心できる存在なのだと思います。それはとても良いことです。一方で、お母さんのことは怖がっている感じということですが、お母さんも一生懸命子育てされているのだと感じました。真剣にお子さんに向き合っているからこそ、厳しくもなってしまうのでしょう。しかし、今のままでは状況は変わらないので、少しずつでもできることから変えていけると良いでしょう。
お母さんの方が厳しく接することが多いということで、極端な言い方をすればお子さんにとってお母さんは悪者、お父さんは逃げ場のようになっている可能性があります。夫婦で役割交代し、お父さんが叱ったり注意したりして、お母さんがフォローする回数を増やしていけると良いでしょう。
ただ、お母さんとお子さんの 2 人でいるときは厳しくせざるを得ないこともあるでしょう。それは仕方のないことです。そんな時は叱った後で「やればできるじゃん!」「頑張ったね!」とフォローを入れたり、別の場面でもいいので厳しくする以上にたくさん褒めたり励ましたりしてあげてください。そうすることで、お子さんは「お母さんはちゃんと私のことを見てくれている」と感じられると思います。
お母さんとお子さんが一緒に何かを楽しむという機会はどれくらいありますか。一緒にパンケーキを焼いて食べる、一緒にパズルを完成させる、一緒に体を動かす、ナゾナゾクイズを出し合うなど、何でもいいのです。一緒に何かをして楽しむ姿をお子さんに見せることはとても大切なことです。料理でも運動でも音楽でも何でも、お母さんの得意なことで「お母さんってすごいんだ!」とお母さんのかっこいい姿を見せる機会を作るのも良いかもしれません。
もっと日常的なところで言えば、学校での出来事を聞いたり、お子さんの好きなものについて色々聞いてみたり、そんな会話を重ねるだけでも「お母さんはあなたに関心があるんだよ」ということを示すことができます。自分に関心があるということが伝われば、お子さんの方も心を開いていき、お母さんに話したい、見せたいと思うこともたくさん出てくるはずです。
親が変わることで子どもも如何様にも変わります。より良い関係に発展していくよう、できることから始めてみてください。
(文:臨床心理士 おおくぼ まりこ/うららか相談室)