【不登校の実態調査】保護者が考える不登校のきっかけは「先生との関係」や「学校のシステムの問題」が上位に
文部科学省によると、小中学校における不登校の児童生徒数は過去最多の30万人弱と急増しており、前年と比べても22%増加していることがわかっています(2023年現在)。そこで今回は、実際に不登校の子どもを育てる保護者に対して行われた調査から、不登校のきっかけや将来に対する悩みなど、親のリアルな声をお伝えします。
特定非営利活動法人・多様な学びプロジェクトが行った「不登校の子を育てる保護者のニーズ調査」。本記事ではこの調査の中から、保護者を対象とした調査結果(速報値)の内容をご紹介します。
保護者の考える「不登校のきっかけ」1位は「先生との関係」
保護者が考える子どもの不登校のきっかけは、「先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かったなど)」が最も多く261人(33.5%)。次いで「学校システムの問題(価値観が古い、時代に合わない、風土に合わないなど)」が204人(26.2%)、「勉強は分かるけれど授業が合わない(授業がわかるけどつまらない、読み書きが苦手、グループワークが苦手など)」が158人(20.3%)、「学校のきまりなどの問題(学校のルールや校則に納得がいかなかった、制服を着たくなかったなど)」が149人(19.1%)でした(※1)。
学校側がきっかけとの回答が上位になっていることがわかります。
ここで比較として、学校を対象にした文部科学省の調査結果[*1]を紹介しましょう。それによると、学校(※2)が「不登校の要因」として挙げたのは「本人に係る状況(無気力・不安)」で、51.8%に及びました。次に多かったのは「本人に係る状況(生活リズムの乱れ・あそび・非行)」で11.4%となっています。したがって学校側としては、子ども本人に要因があるという認識が強く、先ほどの保護者の回答と比較すると両者の認識に大きな隔たりがあると言わざるを得ません。このギャップが不登校の問題にマイナスの影響を及ぼしている可能性は否めないでしょう。
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(※1)数値は、保護者向けアンケート内で保護者から回答を得た「子ども」777人を分母とした割合。また、「子ども」とは現在・過去を含み不登校開始時に小学生~高校生の方
(※2)国公私立小・中学校
86%の親が不登校の子どもへの対応や将来に悩んでいる
続いて、保護者の悩みの状況を見てみましょう。現在の子どもへの対応や子どもの将来について「悩んでいる」人は86%に上りました(「すごく悩んでいる」、「悩んでいる」、「まあまあ悩んでいる」の合計)。ほとんどの保護者が悩みを抱えている現状がうかがえます。
「子どもが適切な居場所に出会っていない」と思う親が46%
また、不登校の子どもが適切な居場所(学校含む)に出会っているかという質問に対して、「そう思わない」「あまりそう思わない」の合計が46%にのぼり、「すごくそう思う」「まあまあそう思う」の合計33%を10ポイント以上、上回る結果に。子どもが居場所を見つけられていないと考える保護者が多いことがわかります。
行政に期待するのは、フリースクールなどの利用料への支援
保護者が行政に望む支援としては、「フリースクールなど学校以外の場が無料または利用料減免」が439人(75.4%)、「フリースクールなど学校以外の場に通った場合の家庭への金銭的支援」で432人(74.2%)が上位2つを占めました。先ほどの設問で、子どもに適切な居場所がないと考える保護者が多かったですが、この設問の回答からも、学校以外の居場所に対する支援が強く求められていることがうかがえるでしょう。
そのほか、「学校が変わってほしい」(421人、72.3%)、「学校教員への研修」(420人、72.1%)も7割以上と高い割合を示しました。
まとめ
不登校の子どもをもつ保護者(元保護者)を対象にした意識調査の結果をご紹介しました。不登校のきっかけとして学校の問題をあげる保護者が多いですが、それとは対照的に、学校側は不登校の要因が子どもにあるとしていることに注目すべきでしょう。また、子どもに適切な居場所がないことを心配する保護者が多く、居場所に対する支援が最も求められていることがわかりました。
(マイナビ子育て編集部)
画像はイメージです
<調査概要>
■不登校の子を育てる保護者のニーズ調査 / 特定非営利活動法人多様な学びプロジェクト
調査期間:2023年10月6日~12月31日
※速報値は10月13日時点のデータを元に集計
調査対象:さみだれ登校や不登校のこどもを育てている保護者/元保護者
調査方法:インターネット調査