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2026年10月11日 10:41

『パンどろぼう』作者・柴田ケイコさん「思わず引き込まれた」アニメの魅力は?

子どもたちに大人気の絵本シリーズ「パンどろぼう」が、ついにアニメになって、10月2日より放送が始まりました! 9月16日には、ファン待望の最新刊『パンどろぼうとさすらいラーメン』も発売されました。作者の柴田ケイコさんに、アニメ化への思いや新刊のこと、子どもとのコミュニケーションで大切にしたいことをうかがいました。

■「ピューン!」と走るパンどろぼうの姿に驚き!

――『パンどろぼう』のアニメ化が決まったときの気持ちを教えてください。

柴田ケイコさん(以下、柴田) 最初にアニメ化のお話をいただいたときは、まだ絵本の巻数がそんなに出ていないころだったので、本当にアニメになるのかなという驚きと、どのようにしてこれから作っていくのだろうという不安もありました。
新たな挑戦が始まるのだなと思って、ちょっと気合いを入れなきゃという気持ちもありましたし、いろんな考えが一度にわっと浮かんできましたね。

――最初に「動くパンどろぼう」の姿を想像したとき、どんなイメージでしたか。

柴田 まずイメージしたのは、足が速いパンどろぼうの姿ですね。実際に初めて走っているところを見たときも、「あ、すごい。本当にパンどろぼうって足が速いんだ」と思いました。
もちろん今まで絵本でその姿を描いているのですが、アニメの映像でパンどろぼうが「ピューン!」と走っている姿を見て、「そうだよね、絵本で『ピューン!』という言葉で描いているし」と思って(笑)。その「ピューン!」がうまく表現されていて、思わず引き込まれました。

――キャラクターたちの表情もとても豊かな印象です。

柴田 やっぱり表情ですね。絵本では自分の中で想像しながら描いているのですが、アニメになると、表情ってよりリアルに伝わってくるなと。そこは、シンエイ動画(パンどろぼうアニメの制作会社)さんにたくさんヒアリングしてもらって、忠実に描いてもらっています。まさしく私の想像している通りにキャラクターたちが動いていたので、すごくうれしかったです。
あと、パンどろぼうがパンを抱きしめているシーンや、パンを「パクッ」って食べるシーンも、私の頭の中のイメージはありつつ、実際に映像の中でもイメージ通りに動いていたので、キャラクターたちの存在がよりリアルに感じられました。それこそが、アニメのよさなんだなと思いましたね。

■ダイナミックな動きとチャーミングな声にも注目!

(アニメはNHK Eテレにて毎週金曜 午後6時40分 放送中)

――とくに好きなシーンや印象的な表情はありますか。

柴田 パンどろぼうがパンを食べるシーンがとても好きです。やわらかく、キャラクターの質感が大事に描かれていて、とても感動しました。背景も、絵本と同じような質感で作り上げられていて。細かいところまで忠実に手をかけてもらっているので、アニメーターさんは大変だろうなと思いながら、絵本の世界観にできる限り近づけてくれていることに、とても感謝しています。

――アニメをご覧になって、「パンどろぼう」らしいと感じたところや逆に新鮮に感じたところはありましたか。

柴田 予告動画にも出ていましたが、棚からパンどろぼうがピューンと落ちるところですかね。やはり、絵本では描かれていないところが、アニメでは描いてくれるので。下からのカメラアングルで、パンどろぼうに寄るところは、ダイナミックで新鮮でしたね。躍動感がありました。

――確かに、そうした表現はアニメーションならではですね。ほかにアニメーションならではの「パンどろぼう」の魅力はどこにあると思いますか?

柴田 やっぱり声だと思います。パンどろぼうに声が吹き込まれたことで、より世界観が立体になったというか。私が想像するような、ちょっといたずらっぽくて、どこか憎めないようなチャーミングな声だなと思いました。パンどろぼうが話している姿を見たときは、キャラクターのイメージともマッチしていて、とてもうれしかったです。

■何作目から読んでもみんなが楽しめるのが絵本の魅力!

――最新刊『パンどろぼうとさすらいラーメン』のアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。

柴田 最初はA案、B案のように、4つくらいテーマにしたい食べ物の候補があって、その候補のひとつにラーメンがありました。そこから担当さんと話し合って、ブラッシュアップしていき、「今回はラーメンでいこう」となりましたね。
私の場合、自分を追い詰めてもいいアイデアは浮かばないと思っているので、いつも担当の編集さんと意見を出し合いながら、しっかりブラッシュアップして固めていくことを徹底しています。ラーメンは、みんなが大好きな食べ物だからこそ、たくさんの子どもたちに喜んでもらえるのではないかなと思って選びました。

――ラーメンもパンも、みんな大好きですよね! 今作のお気に入りポイントを教えてください。

柴田 パンどろぼうがパンを焼こうとして、残念なことに……なったときの表情がお気に入りです。大人も子どもも思わずクスッとしてしまうような表情が描けたなと。あと、今作はラーメン屋台のシーンですね。実際にこのページを描くにあたって、福岡へ屋台の取材に行ったんですよ。ラーメンやパン、食べ物のおいしさも伝えたいところですね。

――屋台のページは、大人も子どもも思わず見入ってしまいますよね。今作の見どころも教えてください。

柴田 「パンどろぼう」シリーズには、それぞれの作品でいろんなキャラクターが出てきますが、1作目から読んでいる子も、ほかの作品を読んでいない子も、みんなが楽しめるようなお話になっています。
シリーズで読んでいる子には、パンどろぼうにどういう背景があって、どんな成長があって、今のキャラクターの姿になっているかとか、設定やお話は全部しっかりつながっています。
新しい作品も、パンどろぼうという存在をより深く味わってもらえるように作っているので、そういうところに注目していただけたら。もちろんパンどろぼうの成長もありますが、教訓めいたことよりも、それぞれのおもしろさや発見、奇想天外な部分を楽しんでいただけたらいいですね。

――今回でシリーズは8作目となりました。8作の中で、柴田さんのお気に入り「パンどろぼう」シリーズ作品ベスト3を教えてください。

柴田 どれもお気に入りなので難しいですね。3位ではなく、3つでいうと、まずはシリーズ5作目の『パンどろぼうとほっかほっカー』かな。そこに登場するほっかほっカーは、それまで絵本で車を描いたことがなかったので、チャレンジできたことが印象的で。私の中でひとつ扉が開いたような感覚がある作品ですね。
あとは、シリーズ3作目の『パンどろぼうとなぞのフランスパン』。これは犯人のキャラクターが好きなんです。
最後は、やっぱり1作目の『パンどろぼう』かな。これを描いたことで、パンどろぼうシリーズが始まったので。「まずい」の顔を描けたことは、自分でもかなり振り切れたなと思っています。

■子どものために大切にしたいことはひとつあれば十分!

――マイナビ子育ての読者が親子で一緒に「パンどろぼう」シリーズを読むとしたら、どんなところに注目してほしいですか?

柴田 例えば1作目の『パンどろぼう』を親に読んでもらうとして、パンどろぼうが「まずい」の顔をしているページなら、その「まずい」をみんなで共有して、いろんな「まずい」の言い方をしたり、顔真似をしたり、遊んでもらえたらうれしいです。
最後の大団円のところでは、いろんな食べ物が出てくるので、子どもと「どれが好き?」という話をしてもいいし。それぞれに楽しんで、お気に入りのページを見つけてもらえたらうれしいです。何作目であっても、それぞれの作品を自由に読んでほしいなと思いますね。

――子育て中の忙しいパパ・ママに向けて伝えたいことやアドバイスをいただけますか。

柴田 私も男の子2人を育てて、自分の経験でしか喋れませんが、糸を張り詰めないことかなと思います。ゆるめられるときはゆるめてほしいし、仕事が忙しいと子育てにもしわ寄せがいくこともあると思うんですけど。
なにかひとつ、「ここだけは子どものために」って思うところは、ひとつでもあればそれでいいと思うんです。あとはもう、全然ゆるめても大丈夫。とにかく楽しく過ごしてほしい。でも、そのバランスが難しいですよね。
ただ、だめなときはだめって、ちゃんと子どもを叱れる親であれば、あとはいいと思うんですよ。楽しいことを子どもと共有しながらやってみて、子育てしてほしいなと思っています。

――絵本を通じて親子でコミュニケーションを取りたいパパ・ママもいらっしゃると思います。柴田さんなりの読み聞かせのコツがあれば教えてください。

柴田 これといったコツはないですが、私がやったこととしては、よく図書館に行って、好きな絵本を子どもに取ってきてもらうことでした。子どもが読みたい本は、たくさんあってもいいから全部持ってきてもらって。そのぶん、読まなきゃいけなくなるんですけどね(笑)。
私は、寝る前に読む、歯磨きの前に読む、歯磨きしたら読むとか、習慣化するような感じで読み聞かせをしていました。でも、毎回子どもの希望通りに読むのって、結構大変ですよね。だから「絶対に寝る前に読まなきゃ」とか、思わなくていいと思います。
かばんに何冊か入れておいて、待ち時間や空き時間ができたら一緒に読むくらいでいいんじゃないでしょうか。例えば、病院に行った待ち時間とか、電車の移動時間とか、そのくらいで。義務に思わない程度でいいと思います。

――ありがとうございます。最後に、今後、柴田さんが挑戦したいことを教えてください。

柴田 かっこいい挑戦は思いつかないですが……今、目の前にあることを大切にすること。これからもおもしろい絵本作りを、細く長く続けていくことですね。継続って、一番地味ですけど、大事なことなので。挑戦としては「続けていくこと」そのものだと思います。

(取材・文:宮本貴世、写真:佐藤登志雄/マイナビ子育て編集部)

柴田ケイコさんの動画コメントもチェック!

最新刊『パンどろぼうとさすらいラーメン』発売中

パンどろぼうとさすらいラーメン
(2026/10/11時点)

とっても寒い“ぶるぶるじま”にやってきたパンどろぼう。
できたてのパンをふるまおうとパン作りをはじめますが、
窯の扉をあけようとした、その瞬間・・・

\\\ボフ―――ン///

パンが作れずこまっているところへ
さっそうと現れたのは、いったい、誰―――?

ほかほかのパンとあつあつのラーメンが織りなす、
熱血ハートフルストーリー開幕!
「パンどろぼう」シリーズ待望の最新刊!

柴田ケイコさん プロフィール

2002年よりフリーイラストレーターとして書籍・広告・雑貨など、幅広いジャルで活動。
2016年より初絵本「めがねこ」(手紙社)で絵本作家デビュー。
絵本作品に「ぽめちゃん」シリーズ(白泉社)、「パンどろぼう」シリーズ(KADOKAWA)、「しろくま絵本」シリーズ(PHP研究所)、「うごきません。」(大塚健太/文 パイインターナショナル)「パンダのおさじ」シリーズ(ポプラ社)などがある。

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