- 掲載
- 2026年10月16日 11:55
- 更新
- 2026年10月16日 12:55
野口聡一さんが稲城市立平尾小学校で特別授業!宇宙を目指したきっかけとは
東京都では「チルドレンファースト」の社会の実現に向け、子どもの笑顔につながる様々なアクションを展開する「こどもスマイルムーブメント」を推進しています。この取り組みの一環として10月14日に稲城市立平尾小学校で、宇宙飛行士の野口聡一さんによる特別授業が開催されました。
宇宙では規則正しい生活?お風呂に入る方法は?
平尾小学校の体育館に集まったのは、4年生~6年生の390名。野口さんの登場とともに、大きな歓声があがりました。
冒頭の講演では、野口さんが宇宙飛行士を目指すようになったきっかけについて、「僕が宇宙に行きたいなと思ったのは、ちょうど皆さんと同じぐらいの頃かな。きっかけはテレビで宇宙のアニメや映画を観た時で、大人になったら宇宙に普通に行けるような時代が来るのかもしれないと思って。その後、6年生ぐらいになって、宇宙のことを勉強するにはどうしたらいいんだろうと考え始めました。最初はそういったきっかけからスタートしましたね」と明かし、児童たちに「なので皆さんもいきなり職業について考えるのではなく、自分の好きなことから考えてみたり、自分が大きくなった時にどんなことしたいかなぐらいの感じで考えてみればいいんじゃないかなって」とアドバイスを送りました。
宇宙飛行士になる方法については、「宇宙飛行士になるには、まず宇宙飛行士試験に合格する必要があります。合格すると日本人宇宙飛行士になって宇宙に行く準備をするわけですけど、試験に受かるだけじゃなくて、その後いろんな国の人たちと一緒に仕事をすることについても準備する必要があります。同じ宇宙飛行士の仲間たちと何かを成し遂げる気持ち、一緒に頑張ろうって気持ちと、その夢に向かって頑張ろうという前向きな姿勢がとても大事ですよ」と語りました。
宇宙飛行士としての、宇宙での暮らしについて問われると、「国際宇宙ステーションでは、宇宙飛行士が7人ぐらい一緒に住んでいます。そこで、地球上のいろんな国からお願いされた仕事をするのですが、おそらく皆さんの学校生活や修学旅行に近いスケジュールで動いています」と話し始めました。
朝は6時ぐらいに起き、ご飯を食べて、身支度をし、8時からお仕事開始。お昼休みを挟んで午後のお仕事があり、夕飯はみんなで食べて就寝……規則正しい生活に児童たちからも驚きの声があがっていました。
「無重力でどうやってお風呂に入るのか?」の質問には、「実は、宇宙ステーションにはお風呂がありません。だから宇宙にいる半年ぐらいはお風呂には1回も入れないし、シャワーもない」と明かすと、児童たちからは「えーっ」という声が。
野口さんはスポンジを取り出し、「なので、シャワールームみたいなところに入って、このスポンジにあったかいお湯を含ませます。するとどんどん膨らんでいって、大きな水の塊になります。これで全身を洗うことできれいになるんですよ。あとは水のいらないドライシャンプーを使うこともありますね」と教えてくれました。
宇宙クイズに挑戦!
続いて、野口さんからの宇宙クイズ&チャレンジが出題されました。
たとえば、「宇宙では天井を歩くことができるか?」という問題。「○だと思う人は立って!」の声かけに、ほとんどの児童が立ち上がります。
正解は「○」!無邪気に喜ぶ児童たちに、野口さんも「さすがだね」と笑顔を見せつつ、「でも×を選んだみんなも間違いとは言い切れないかもしれない。無重力の宇宙では歩こうと足を踏み出そうとすると飛んで行っちゃうから、そういう意味では“歩けない”のかも。だから全員正解ってことにしよう!」と優しいフォロー。
続いては、「宇宙飛行士は空間認識能力が大切」ということで、サイコロを組み立てた場合の完成図を予想する問題。解答が割れる中、野口さんは「この問題は丸い地球の絵を基準に考えるとちょっとわかりやすいかな」とアドバイスしつつ、「宇宙に行くといろんなものがくるくる回ってっちゃうから、普段天井だと思ってたところが床に来るかもしれないし、横の壁だと思ったところに座るかもしれない。なので空間認識の能力は宇宙飛行士にはすごく大事な感覚」と話しました。
さらに、宇宙飛行士としてのチームワークに試すチャレンジでは、「皆さんの乗る宇宙船が月面に不時着しました。地球に戻るためにどれを選びますか?」と問われ、画面には「酸素ボンベ」「水」「地図」などの選択肢が。隣のおともだちと話し合って答えを出そう、と呼びかけられ児童たちは真剣に相談します。
どんな答えを出したか聞いてみると、ある児童は「酸素がなくなっちゃったら、息ができなくなるので酸素ボンベ」と答え、ある生徒は「ロケットの燃料がないと戻れないから」と答えます。野口さんはみんなの答えに対し、「これは正解がない問題です。こういった事態になった場合に、『今、自分たちが何をしていくべきか』を一生懸命考えることが大事なんです」と話します。宇宙飛行士として大切なのは仲間と力を合わせて考えることだと改めて教えてくれました。
野口さんからのメッセージ「地球はひとつしかないから」
最後は、代表の児童4名が野口さんに質問するコーナーです。前方には、宇宙に関して気になることや知りたいことを事前にまとめた「平尾小学校 宇宙のふしぎマップ」が掲示されました。
まずは4年生の児童からの「私の今の夢は看護師です。野口さんの子供の頃の夢は何ですか。夢のためにどのような努力をしましたか」との質問。
野口さんは「すでに、具体的ななりたい職業が決まっていて本当に素晴らしいなと思います」とコメントした上で、「僕は子供の頃から宇宙に行きたい気持ちがあったので、宇宙飛行士を目指していました。でも僕が子供の頃は日本人で宇宙に行ったことがある人がいなかったので宇宙飛行士っていう仕事もなかったです。だけど宇宙に行きたい気持ちを大事に持っていたので、そのためにできることや勉強すべきことを考えていきました。看護師さんだって明日すぐになれる仕事じゃないよね。だから、今できることからちょっとずつ近づいていくことが大事かなと思います。頑張ってください!」とエールを送りました。
続いては5年生の児童の「宇宙に行って大変だったことは何ですか」という質問。野口さんは「宇宙に行く前には訓練もするし、仲間と一緒に計画も立てるんだけど、計画してても予想外のことがどうしても起きてしまいます。想定外のことが起きた場合にはその場でなんとかしなきゃいけないんです。なので、その場ですぐに考えて臨機応変に対応しなきゃいけないので、それが大変でしたね」と話しました。
続いては、なかよし学級の児童の質問「宇宙ではどんなものを食べましたか」。これに対して野口さんは「話したかったんだよね!今日は宇宙食を持ってきました!」と児童たちに実際の宇宙食を見せてくれました。
1つは、カレーライスで、「お湯で温めるレトルトパックなんですが、宇宙ではお湯が沸かせないので電熱器で挟んでゆっくり温めて食べます」と明かしました。もうひとつはミネストローネで、「野菜がいっぱい入ってます。日本の食品メーカーが宇宙用に作ってくれてるものなんですが、宇宙食にはおにぎりやカップラーメンもありますよ」と話すと、児童たちからは驚きの声があがりました。
最後の質問は6年生児童からの「宇宙に行った中で、変わったことはありますか」という質問。野口さんは、「僕が宇宙に行って本当にびっくりしたのは、この地球は1つの物体で、宇宙空間に浮いていて、ゆっくりゆっくり回っているということ。そんな生き物としての地球を感じる中で、地球は1つしかないから大事にしていかないといけないと感じました。誰かが水を汚したら、そこにいる全ての生き物がその汚れた水を飲まなきゃいけないし、空気を汚してしまったら、みんながその汚れた空気の影響を受けてしまう。だからこそ、今いる地球のこの環境を大事にしていくっていうことが大事なんだなと感じましたね」と回答、児童も感銘を受けていました。
最後に野口さんは児童たちに向け、「これから大きくなっていく中でこんな仕事をしたい、あるいはこういう大人になりたい、未来がこうなってたらいいなっていうのは、それぞれみんな違うと思います。その中で自分はどうしたらいいのか、それに向かって今自分ができることは何なのかを考えてみてください。自分1人だけで考えなくても、大人の方の意見も聞きながら、少しずつ目指す方向に向かっていくといいですね」とエールを送りました。
(取材・文:松本果歩)
