
【医師監修】赤ちゃんの温泉はいつからOK?知っておきたいポイントと注意点8つ
忙しい毎日を送っていると、たまにはゆっくり温泉に浸かりたくなりますね。赤ちゃんが生まれてからしばらくは忙しい日々が続きますが、少し落ち着いてきたら温泉旅行を考えるご家庭もあるでしょう。そんな時「赤ちゃんはいつから温泉に入れるもの?」という疑問が。今回は赤ちゃんや子供と温泉に入る際に知っておきたいことをまとめました。
赤ちゃんとお風呂や温泉に入るメリット


大人にとってのお風呂や温泉は、清潔を保つだけでなく心をリフレッシュする機会となります。では、赤ちゃんにとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。
赤ちゃんは汗っかき
赤ちゃんは大人の倍以上の汗をかきます。しかも、暑い季節だけでなく、冬などでも赤ちゃんも汗っかきなので、そのままにしておくと肌トラブルを引き起こします。お肌には分泌物や汚れが溜まりやすく、それをこまめにきれいにしてあげる必要があります。入浴はそのよい機会です。
家族との関係が密接になる
赤ちゃんと一緒に入ることで、家族との関係がより深まるきっかけにもなります。これはお母さんと赤ちゃんとの関係だけに当てはまるのではなく、お父さんと赤ちゃんの関係についても同じことが言えます。
お母さんの方が赤ちゃんと一緒にいる時間が多いというご家庭がほとんどだとは思いますが、入浴はお父さんが主体となって赤ちゃんにかかわるよい機会。ご機嫌を観察しつつ体に触れることで、赤ちゃんのことをよく知ることにもつながり、自信もついてきます。きっと、今後の育児にも生かされるでしょう。
とはいえ、何の前知識もなくいきなり赤ちゃんとのお風呂に挑戦は難しいので、誕生前に両親学級・父親学級などに積極的に参加して、赤ちゃんの沐浴や入浴方法を学んでおきましょう。
お風呂と温泉の違いは?
適切な湯温や時間での入浴には、血圧を適度に下げたり、代謝の改善やストレスの軽減などの効果が期待できます。これに加えて温泉の場合、含まれる成分によってさまざまな効能を持つものもあります。
ただ、温泉旅行はほとんどの場合、1~2泊程度のことが多いので、実質的には温泉入浴も家庭での入浴と大きな差があるとは考えられません。そのため、効果の面では温泉旅行といっても基本的には入浴を伴う旅行とイコールと言えます。
一方、その温泉には入ってはいけない「禁忌症(きんきしょう)」が決められている温泉もあります。皮膚が弱い人の温泉浴を禁止していることがあるので、旅行計画時に確認しておきましょう。
なお、妊娠中の温泉入浴に関しては、以前は禁忌とされていましたが、その根拠がないことがわかり、2014年の法改正で禁忌でなくなりました。
温泉のあれこれ


ここで少し温泉について、情報を整理しておきましょう。
温泉の定義って?
日本には温泉の利用や保護について規定した「温泉法」という法律があります。それによると、温泉湧出時の温度が25℃以上ある、または指定されている成分(遊離炭酸、ラドン、ラジウム塩など)のうち1種類以上を一定濃度以上含んでいるものを「温泉」と定義しています[*1]。
泉質って何?
温泉は、溶存物質の種類や濃度などによって分類されており、それを泉質(せんしつ)といいます。溶存物質が少ない(1g/lkg未満)温泉は単純温泉、それ以外は物質などにより塩化物泉、酸性泉などに分かれます。
人工温泉と天然温泉の違いは?
湧出時は温泉の条件を満たしていない状態であっても、加温や成分を添加することによって、前記の温泉の条件を満たしたものを「人工温泉」といいます。それ以外は天然温泉です。
循環式とかけ流しの違いって?
循環式はお湯を循環し、ろ過・加温して再利用するもので、一方、かけ流しは循環させず、常時新しい温泉水が足し続けられるものです。
赤ちゃんはいつから温泉に入れる?


「赤ちゃんや子供はいつから温泉に入れてよいのか?」という疑問に関しては、実は医師の中でも意見がいろいろあり、「生後何ヶ月からOK」というような明確な答えはありません。また、温泉施設によっては、年齢制限(「〇歳以下は利用できない」など)を設けている場合もあります。以下に紹介するポイントや注意点を確認し、安心して楽しめる時期や場所を選んでください。
赤ちゃんが温泉に入る前のチェックポイント3つ


温泉に入る前のチェックポイントは3つあります。温泉旅行を計画する段階で確認しておきましょう。
温泉の温度は?
赤ちゃんはお母さんのおなかの中でなれた、体温に近い湯温を気持ちいいと感じるようです。具体的には37~38度くらい。これはだいたい羊水の温度と同じくらいです。
大人がちょうどよいと思うお湯の温度であっても、赤ちゃんにとっては熱すぎる湯温ということになります。なお、小学生になるくらいまでは、40度以下のぬるめがよいようです。
大浴場の場合は一般的なマナーとして、勝手に水で埋める(水を加えて湯温を下げる)ことはタブー。せっかく温泉に行ったのに、子供が熱がって一切湯につかれなかったという声もよく聞きます。温泉旅行の計画時にぬるめの温泉を選ぶか、時間貸しの家族風呂がある施設を選ぶといいでしょう。
泉質は?


酸性泉と硫黄泉は禁忌症として「皮膚または粘膜の敏感な人」が挙げられていることが少なくありません。禁忌症に該当する場合、「1回の温泉入浴でも有害事象を生ずる危険性がある」とされます。赤ちゃんの皮膚は厚さが薄く、成人の2分の1~3分の1しかない部位もあって、バリア機能が未熟です[*2]。
大人が入った時に刺激が強いと感じる泉質は、赤ちゃんにとってはより刺激が強いので、避けたほうがよいでしょう。また、禁忌症に含まれない場合でも、独特のにおいを嫌がったりすることもあるので注意が必要です。
感染症の心配は?
重症の肺炎や発熱を引き起こすレジオネラ症の原因となるレジオネラ属菌の感染源の1つとして、「循環式浴槽」が報告されています。国内でのレジオネラ症の年間発生件数が、温泉への入浴が増えるシーズンと関連して増加する傾向もあります。
レジオネラ肺炎を起こすリスクは成人であってもありますが、とくに新生児や高齢者、免疫機能が低下している人はリスクが高いとされています[*3]。
赤ちゃんとの温泉を楽しむための注意点6つ
温泉に入るときの注意点を6つにまとめました。
浴室での転倒
温泉施設は自宅の風呂より広く、慣れていないために転倒しやすいことに注意しましょう。
通常の「何かにつまずいて転ぶ」と体が前に行きやすいですが、「床面で滑って転ぶ」と尻もちをついたり、頭を打つ危険も高くなります。歩き始めの子供のケアはもちろん、赤ちゃんを抱きかかえて浴室や脱衣所を移動する際も要注意です。
洗髪中などはどうするか


子と2人で大浴場に行く場合、自分が頭や体を洗っている最中はどうしても目を離すことになってしまいます。ほかのお客さんがいるとはいえ、誰かが赤ちゃんや子供を常に見ているわけでは決してありません。一瞬目を離した隙に転倒したり、浴槽に入ってしまうことも十分にあり得ます。
家族風呂を利用する、時間差で浴場を利用して子と2人だけの入浴を避ける、バスチェアを使用する(施設側で用意してある場合も)など、安全対策を練りましょう。
長風呂は避ける
せっかくの温泉だとゆっくりしたいものですが、赤ちゃんや子供はのぼせやすいものです。長湯は避けましょう。
冬季は露天風呂でなく館内の風呂へ
寒暖差の激しい冬場の屋外温泉には注意が必要です。空調の行き届いた館内の温泉であれば冬だからといってそれほど心配はないものの、露天風呂などは温かい季節になってから楽しむようにしてください。
排泄に気をつける
月齢によって異なりますが、赤ちゃんの排尿回数は1日に15~20回で、排便の頻度はかなり幅があり、1日おきという赤ちゃんから1日に6~8回の赤ちゃんもいます[*4]。排便を自制できるようになるのは1歳半から4歳ぐらいの間のことが多く、生まれて間もない赤ちゃんほど排便や排尿の回数が多いことから、入浴中に排泄してしまうことがあります[*5]。
自宅のお風呂ならば笑って過ごせることも、公共の場では周囲の人や施設に迷惑をかけてしまいます。大浴場に入る前にはトイレを済ませ、入浴中に排泄しないよう注意しましょう。
また、ベビーバスを用意している施設もあります。日中もオムツがとれていない時期であれば、そちらを利用するといいでしょう。
入浴マナーを守る


大浴場の解放感を楽しむには、マナーを守ることが前提です。湯舟に入る前にかけ湯をよく使って、自分と子の体をよく流しましょう。
また、いつもとは違う入浴環境で、はしゃいで大きな声を出したり、逆に大泣きしてしまう子もいるでしょう。貸切の家族風呂や客室の内風呂なら、周囲への気兼ねなく楽しめます。
まとめ
大人だけで出かけるのと違って、赤ちゃんや子供連れの温泉では、いくつかの注意点があります。ママパパも、赤ちゃんも、そしてその場にいる人にとっても楽しい場になるよう、施設の設備などの事前調査はしっかりしておきましょう。これからもお出かけの機会はたくさん訪れます。焦らず時期を検討し、マナーを守って温泉デビューをしましょう。
(文:久保秀実/監修:大越陽一先生)
※画像はイメージです
[*1]環境省/政策分野・行政活動/政策分野一覧/自然環境・生物多様性/温泉の保護と利用/温泉の定義
[*2]「WOC Nursing」18年8月号「乳幼児の保湿」
[*3]厚生労働省「レジオネラ症」
[*4]MSDマニュアル
[*5]天野 信一ほか「正常小児の排便機能の発達過程 : アンケート調査による検討」(日本小児外科学会雑誌)
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます