
【医師監修】赤ちゃんの部屋の安全な暖房方法は? 適温、暖房器具選び
赤ちゃんは体が小さい分、寒さにも弱いものです。赤ちゃんのいる部屋を暖める時には、温度や湿度を何度くらいにすればいいのでしょうか? 暖房器具選びのポイントや事故を防ぐためにできることとともにお話します。
赤ちゃんに暖房を使う時のポイント


赤ちゃんに暖房を使い始める前に、まずは今の暖房器具や住まいが赤ちゃんにとっても安全かどうかを確認し、事故につながりそうなところは事前に改善しておきましょう。
安全に暖房を使える環境かチェック!
☑ 床に置くタイプの暖房器具は、柵などで囲む
暖房器具に手が触れて火傷をしないように、ベビーガードなどの柵で囲いましょう。はいはいしたり転がったりして赤ちゃんでも暖房器具にぶつかることはあります。設置場所もよく考えましょう。
☑ 湯たんぽや電気カーペットは長時間使わない
湯たんぽや電気カーペットなどに皮膚が長時間触れ続けると、「低温やけど」になります。湯たんぽは、就寝前に布団を温めるのに使い、湯たんぽを布団に入れたまま寝かしつけるのはやめましょう。どちらも、肌に触れる状態では長時間使い続けないようにしましょう。
☑ 加湿器の蒸気や熱湯にも注意
加湿器を倒して中の熱湯を浴びたり、加湿器から出る熱い蒸気に触れると、やけどする危険があります。手が届かないように、ベビーガードなどの柵で囲ったり、安全な場所に置きましょう。
☑ ストーブの上でやかんや鍋を熱しない
ストーブでやかんでお湯を沸かしたり、煮物などの鍋を煮込むと、やかんや鍋をひっくり返してやけどすることがあります。赤ちゃんがいるときは、ストーブを利用して調理をするのは控えましょう。
☑ 暖房のコードやホース、電気のコンセント、ガスの元栓などもチェック
電気ストーブやファンヒーターなどの電気コードやガスホースをつかんだり、引っかかったりすると暖房器具が倒れて危険です。また、ガスの元栓をいじったりホースを抜けば、ガス漏れを起こすこともあります。電気のコンセントにいたずらすれば感電の危険もあります。
コードやホースはいじられないよう固定する、コンセントはいたずら防止用のカバーで覆っておくなどの対策をしておきましょう。
赤ちゃんに適した温度・湿度って?
赤ちゃんや幼児は、体温の調節機能が十分に育っていません。そのため、自分で体温をうまく調節することが難しいのです。
温度や湿度、風向きや空気の入れ替えに注意して、快適な環境を作ってあげましょう[*1, 2]。
温度は20~25℃
室温は20~25℃を目安に調整しましょう。なお、新生児の場合はきちんと保温できるように、23~25℃くらいを目安にするといいですね。
なお、何の予兆や病気もないのに赤ちゃんが突然命を落としてしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)」を予防するためには、大人よりも厚着をさせたり、部屋を暖め過ぎないことも重要です。20~25℃はあくまで目安として、赤ちゃんが汗ばんだり、赤ちゃんの胸まわりが熱くならないように、服や気温を調整してあげましょう。
湿度は50%前後
乾燥し過ぎると喉が痛くなったり肌あれに繫がります。湿度は50%前後に調整しましょう。
なお、湿度が高すぎても細菌やカビの増殖に繫がるので、加湿器を使っている場合は60%以上にならないようにします。
風向き・空気の入れ替えも大切
ファンヒーターやエアコンの風が直接当たると、肌や粘膜が乾燥して体調を崩しやすくなります。赤ちゃんに直接風が当たらないように、風向きを調整しましょう。
また、暖房器具によっては空気を汚すことがあります。1~2時間に1度は窓を開けて空気を入れ替えましょう [*1]。
夜の睡眠中も管理を
夜眠っている時は、昼間よりも少し低めに調整して大丈夫。
ただ、赤ちゃんが何度も布団をはいでしまう場合は、布団がなくても寒くないように室温を20℃くらいにキープしておくといいですね。
昼間と同じように湿度は50%くらいに調整し、直接温風が当たらないように気をつけましょう。
赤ちゃんにおすすめの暖房器具って?


エアコン
エアコンは酸欠や一酸化炭素中毒を起こすことがなく、安心して部屋を暖めることができます。
ただしエアコンをかけていても部屋の空気は換気されないので、他の暖房器具と同じように1~2時間に1度は窓を開けて空気を入れ替えましょう[*1]。
床暖房
床暖房もエアコンと同じように、空気を汚さずに暖めることができるので、赤ちゃんのいる家庭におすすめです。
ただし、触ってそれほど熱い温度に思えなくても、長い時間ずっと触れたままでいると、湯たんぽや電気カーペット同様、低温やけどを起こすことがあります。床暖房がついている床で赤ちゃんを寝かしっぱなしにするのはやめましょう。
パネルヒーターやオイルヒーター
パネルヒーターやオイルヒーターも、空気が汚れる心配がなく、安心して使える暖房器具です。
ただし、製品によってはかなりの高温になるものもあります。そうしたヒーターは赤ちゃんが触れないようにベビーガードなどの柵で囲うようにしましょう。
寒さ対策グッズも活用しよう
スリーパーなら布団をけとばしても安心
暖房を使っても寒い時や、眠っている時もよく動く赤ちゃんには、スリーパーがおすすめです。厚い布団は、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高める恐れがあり避けたいからです。米国小児科学会では、 スリーパーはSIDS予防の点からも、赤ちゃんの保温に向いていると推奨しています[*3]。
まとめ
秋~冬になって温度と湿度が下がってきたら、赤ちゃんのために気温は20~25°Cくらい、湿度は50%前後に調整してあげましょう。暖房器具を使う前には、器具や環境が安全かどうか見直すのも忘れずに。赤ちゃんのいる家庭ではエアコンや床暖房、パネルヒータやオイルヒーターが事故に繫がりにくくおすすめです。夜寝る前に湯たんぽで布団を温めたり、睡眠中はスリーパーで体を冷やさないようにするのもいいですね。ほどよい温度・湿度の部屋の中で、赤ちゃんとのんびり過ごしてくださいね。
(文:大崎典子/監修:梁 尚弘先生)
※画像はイメージです
[*1]「健康・快適居住環境の指針(平成28年度改定版)」東京都福祉保健局
[*2]東京都 福祉保健局 少子社会対策部 家庭支援課:子育てベビーガイド
[*3]「SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment」
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます