【眼科医監修】赤ちゃんの目にものもらい!? その症状と原因・対処法
赤ちゃんでも目のふちやまぶたに、できものができることがあります。俗に「ものもらい」と呼ばれる状態ですが、これはどんな時に、どのようにしてできるのでしょうか? 赤ちゃんのものもらいの症状や原因、対処法についてお話しします。
ものもらいって?
一般的なものもらいの特徴とともに、その原因や注意点について知っておきましょう。
ものもらいってどんな病気?
「ものもらい」は、まつげの毛根やその近くにある汗を出す腺などに黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こる炎症です。
ものもらいができると、大人も子供もまぶたが腫れて少し硬くなります。また、まぶたに違和感を覚えることもあります。そのため、ものもらいができた赤ちゃんや子供は、目をこすったり目に手を持っていく仕草をよくします。
なお、「ものもらい」は主に関東地方での俗称で、関西などでは「めばちこ」とも呼ばれます。ほか、「めいぼ」「めぼう」などと呼ぶ地域もあります。
医学的には「麦粒腫」という名があり、汗を出す線やまつげの毛根に起こったものを「外麦粒腫」、まつげよりも内側にあるマイボーム腺に起こったものを「内麦粒腫」と言いますが、多いのは外麦粒腫です 。
ものもらいの症状
ものもらいができ始めると、まぶたの一部が赤くなり、軽い痛みやかゆさを感じることもあります。
そこから炎症が強くなると、最初にできた赤みや腫れ、痛み、かゆさも増してゆきます。このころになると、赤ちゃんはたびたび手で目を触ろうとしたり、痛みやかゆさから機嫌が悪くなることもあります。
さらに炎症が進むと化膿します(膿がたまる)。その後、化膿した箇所は自然に破れて、中から白い膿が出ることがあります。赤ちゃんのまぶたから白い膿が出てびっくりするかもしれませんが、膿が出た後は、自然に回復していくので安心してくださいね。
赤ちゃんのものもらいの原因
ものもらいを引き起こす黄色ブドウ球菌などの細菌は、健康な人の喉や鼻の穴、皮膚、髪の毛に普段からいる細菌です。黄色ブドウ球菌の場合は化膿している傷にいることもありますが、それ以外にも毎日の生活で接している、あちこちにいる菌なのです。
ところが、汚れた手で目を触ったり、病気になって免疫力が落ちるとこうした菌によってものもらいができます。予防のためには普段から汚い手で目をこすらないように気をつけ、健康づくりにも気を配ってあげるといいですね。
まわりにうつることもあるの?
ものもらいは細菌に感染して起こる病気ですが、他の人に感染することはほとんどありません。人にうつしやすいのは、よく「はやり目」と言われるウイルス性の流行性角結膜炎です。ただ、この2つの病気は似た症状のときがあります。また、ものもらいも、患部に触れた目薬の共用などによってうつることはあります。
赤ちゃんにものもらいができたからといって、兄弟や家族にうつることを過度に心配する必要はありませんが、周囲の人も汚い手で目をいじらないことなどに注意しながら、いつも通り接してあげてくださいね。
別の病気との見間違えに注意!
まぶたが腫れたらすぐに「ものもらい」と考えがちですが、ものもらい以外にもいくつかまぶたの腫れる病気はあります。
中でも、ものもらいによく間違われるのが「霰粒腫」です。
霰粒腫になると、まぶたにあるマイボーム腺の出口が詰まって炎症が起こり、肉芽腫というできものができます。ものもらいとは違い細菌感染は起こっていないため、痛みや赤みは起こりません。ただし、炎症が起こってものもらいのように見えることもあります。
霰粒腫は自然に治ることもありますが、肉芽腫が大きくなったら外科的に取る必要があります。
また、さきほど触れた「はやり目」(ウイルス性の流行性角結膜炎)で、ものもらいに似た症状が出ることもあります。
まぶたの腫れやできものがものもらいなのか別の病気なのか自己判断するのは難しいので、まずは医療機関で診てもらいましょう。
ものもらいの対処法って?
赤ちゃんにものもらいができたら、どうすればいいのでしょうか? おすすめの対処方法とともに、やめた方がいい対処法についても知っておきましょう。
市販薬で治していいの?
まぶたが腫れているからといって、市販薬で治そうとするのは赤ちゃんの場合はとくに やめておきましょう。
ものもらいが悪化すると、切開して膿を出す治療が必要になることがあります。また、ものもらいだと思っていてもさきほど紹介したように実は別の病気になっていることもあるのです。
赤ちゃんに適切な治療をしてあげるために、ぜひ早い段階で眼科の診察を受けてくださいね。
診察前に気を付けることって?
ものもらいになると、痛みやかゆみが強くなっていきます。そのため、赤ちゃんはつい手でいじろうとしてしまいます。でも、汚れた手で目をこすると、さらに悪化する可能性があります。
ものもらいらしいものが目にできたら、赤ちゃんの手をできるだけ清潔に保つとともに、赤ちゃんが手で目に触れないように見ておきましょう。
とはいっても、赤ちゃんには言い聞かせることもできません。目をいじるのを止めないときは、かきむしり防止のための赤ちゃん用手袋(ミトン)を、一時的に利用してみても良いかしれません。使用時は赤ちゃんが手袋を口に入れないよう注意してあげてくださいね。
また、ものもらいは中の膿が出ると自然に治っていきますが、パパやママが膿を出そうとしてつつくと、誤って目を傷つけることもあって危険です。膿を出す処置は医師に任せて、家庭で試みるのはやめてくださいね。
赤ちゃんがかゆがったり痛がってかわいそうだと感じたら、清潔なタオルでくるんだ保冷剤などで冷たくなり過ぎないよう注意しながら、患部を冷やしてあげるのもおすすめです。冷えると痛みやかゆみが少し落ち着きます。
医療機関での治療方法は?
眼科では、ものもらいができたら抗生物質の入った目薬などが処方されることが多いでしょう。たいていの場合は、薬を1週間ほど使い続ければよくなっていきます。
なお、ものもらいが悪化してひどく化膿している場合は、患部を切開したり、注射針などで突いて中の膿を出す処置を行います。
膿が出るとものもらいは自然と治っていきますが、しこりが残ることもあります。大きなしこりが残った場合には、手術で切除することになります。
かんたんな治療で終わらせるためにも、赤ちゃんのまぶたが腫れたらぜひ早めに眼科に足を運んでくださいね。
乳幼児の場合は、ものもらいで内服薬が処方されることはほとんどありません。乳児では腸からの吸収が悪いうえに、下痢などの症状が出やすく逆効果になるからです。
乳幼児にはあまり眼帯をしないので、切開後や治療開始後こまめに診察し、切開後は必ず翌日診察し、その状態で1週間程度は観察します。
ほとんどのものもらいが点眼や眼軟膏で治癒しますし、難治性の場合は切開します。その場合でも薬は軟膏程度でOKです。
まとめ
ものもらいは正式名称を「麦粒腫」といいます。
黄色ブドウ球菌などの細菌によってまぶたに炎症が起こって腫れるのが特徴で、痛みやかゆみ、腫れなどが起こります。発症の原因は赤ちゃんが汚れた手で目をこすったり、病気などで抵抗力が落ちることです。
まぶたが腫れたら、まずは眼科でものもらいかどうか診てもらい、処方してもらった目薬や軟膏などで治しましょう。自己判断で市販の目薬などを買って来て使ったり、ママかパパがつぶそうとするのは危険なのでやめてくださいね。
痛みやかゆみがあるので、赤ちゃんはつい手で目を触りたがりますが、なるべく触らないように見守り、手を清潔に保ってあげることが大切です。
悪化していなければ、たいていは治療を受けて数日~1週間程度でよくなります。ぜひ早めに医療機関に連れていってあげてくださいね。
(文:大崎典子/監修:妹尾正 先生)
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※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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