2歳児がご飯を食べない!驚くほど効果が見える8つの対応【教えて保育士さん】
離乳食を終え幼児食にも慣れてきたころ突如やってくる「うちの2歳児、ご飯を食べないんですけど!」問題。食事は毎日のことだけにママ・パパの心労も募りますね。2歳の子がご飯を食べてくれない時、ちょっとしたきっかけで食べてくれるようになることがあります。今回は多くの子どもたちの食育に携わってきた保育士さんにプロのコツを聞きます
- 2歳児の子がご飯を食べないのは、あるある?
- <保育園エピソード>あんなに食べていたAちゃんが……
- 2歳児がご飯を食べないよくある5つの理由
- 1. 自分なりの好きなもの・嫌いなものがはっきりとわかるようになった
- 2. 食事の形態があっていない(噛みにくさ、飲み込みやすさ)
- 3. 色々なことに興味があり、遊び食べになったり時間がかかったりする
- 4. とりあえずなんでも「いや」って言いたい(イヤイヤ期)
- ご飯をなかなか食べない2歳児への上手な対応 8つ
- 対応1|食べてくれない食べ物にアテレコしてみる
- 対応2|「お友だち人形」と一緒に食べる
- 対応3|小さく切る・とろみをつけるなど食べやすくする
- 対応4|お皿に載せる量を減らす
- 対応5|周りのテレビやおもちゃが見えない方向に座る
- 対応6|楽しい食事の雰囲気の中で大人が食べて見せる
- 対応7|空腹の状態でご飯の時間を迎えられるようにする
- 対応8|野菜やご飯の絵本を読む
- これはNG! 食べてくれない2歳児へのダメな対応
- まとめ
2歳児の子がご飯を食べないのは、あるある?
離乳食の頃からあまりご飯を食べない子もいれば、離乳食の時には食べていたのに2歳児ごろになって突然食べなくなってくる子もいます。
3・4歳になってくると「お友だちも食べているから」と、だんだん自分も食べようという気持ちが芽生えたり、食べられる食材や好きなメニューを自分からリクエストしてくれるようになったりして楽になってくることが多いです。
そのため、2歳児ごろが一番ご飯を食べない子に悩む保護者の方が多い印象があります。
<保育園エピソード>あんなに食べていたAちゃんが……
保育園に勤務していたころ、1歳児ごろはよく食べていたAちゃんが2歳のお誕生日を迎え、しばらくしてからご飯を残すようになりました。残すメニューを見ていくと、特定の食べ物というより「緑のものは食べない」と色で決めているように見えました。
保護者の方と話した内容から、「以前ピーマンを食べた時にすごい顔をしていたので、『苦い』『好きじゃない』と思い、緑のものすべて嫌がるようになってしまったのではないか」という原因が考えられました。2歳児になると、以前の経験から嫌だったものやそれと共通点のあるものを全て食べないということがあります。
その時は無理にAちゃんにご飯を勧めることはせず、保護者や、保育園ではお友だちや保育者が緑のものもおいしそうに食べているのを見せていくことにしました。
そのうちAちゃんの方から興味をもち、ある日少しだけ口に含むことができるようになりました。
Aちゃんの場合はその後、3歳児になるとピーマンは食べないけれど、他の緑の野菜は食べられるようになっていきました。
2歳児がご飯を食べないよくある5つの理由
2歳児にご飯を食べなくなる子が多いといっても、その理由はその子一人一人違っていて様々です。
まずは
・何を食べないのか
・どんなふうに食べないのか
・どんな時に食べないのか
などその子の様子をじっくり見て、原因や理由を探っていきましょう。
2歳児ごろだとまだ上手く気持ちを言葉にできない子や、お話しできていても大人が思うのとは違った意味でその言葉を使っていることも多いです。そのため、ご飯を食べない原因や理由は、身振りや手振り、表情、日常のパターンから読み取っていく必要があります
1. 自分なりの好きなもの・嫌いなものがはっきりとわかるようになった
2歳児になると1歳の頃よりも好きなもの、嫌いなものが決まってきます。食べ物に対しても「この食材が嫌いだから」や「この味付けが嫌だから」とご飯に対する好き嫌いから「この色が好きじゃないから」「一緒に座っている大人の服装がイヤだから」などそれご飯と関係あるの!?と言いたくなってしまう理由まで様々です。
2. 食事の形態があっていない(噛みにくさ、飲み込みやすさ)
お肉を食べない、葉物野菜を食べない、魚などぱさぱさした物を食べないという場合にはこの咀嚼力、嚥下能力が今の食事と合ってていないことが多いです。
大人は無意識に行っていますが、人はものを食べる時に歯と舌を動かして以下のような動きをしています。
1. 小さくかみ砕く ←肉や葉物野菜で難しい
2. 飲み込みやすいように丸める ←魚などで難しい
3. 飲み込む
また、少量ならできても、ご飯全部が咀嚼力の必要なものだと途中で食べるのに疲れてしまうということもあります。
*咀嚼力、嚥下能力:噛む力と飲み込む力
3. 色々なことに興味があり、遊び食べになったり時間がかかったりする
2歳児は色々な物事に興味・関心があり、食事に集中することが難しい時期でもあります。
料理を食べるのではなく形や感触を手で触って楽しんだり、目に入ってきたカレンダーやおもちゃ、テレビに気が散ってしまったりすることがあります。
4. とりあえずなんでも「いや」って言いたい(イヤイヤ期)
2歳児は自我が発達して、よく言われるイヤイヤ期真っ盛りの時期です。「〇〇して」と言われればとりあえず「いや!」と答える子も少なくありません。
また、見知らぬものなどに警戒心を抱く時期でもあります。見慣れない食材などは食べたことがなくてもとりあえず「イヤ!」と言うことが多いです。
ご飯をなかなか食べない2歳児への上手な対応 8つ
2歳児がご飯を食べようとしなくても、健康に育つためにはご飯を食べてもらわなければいけません。どうやったらご飯を食べてくれるのか、保育園でも実際にしていた対応を8つご紹介します!
子どもによってご飯を食べない理由も原因も様々な分、効果的な対応も様々です。ぜひ色々試してお子様に合った方法を探してみてください。
対応1|食べてくれない食べ物にアテレコしてみる
保育園でよく使い、即効性があるのが野菜など子どもの食べてくれないご飯にアテレコしてみることです。
「あ、ブロッコリーさんが〇〇ちゃんに食べてって言ってるよ!ほら!『〇〇ちゃ~ん!食べて~』」
また、乗り物好きな男の子にはご飯の載ったスプーンを乗り物に見立てて声をかけることもします。
「にんじん電車がはっしゃしま~す!次は~〇〇ちゃんのお口駅~〇〇ちゃんのお口駅です~」
大人側としてはテンションをあげなければいけないので少し疲れてしまう対応ではありますが、元気のある時にぜひ試してみてください。
対応2|「お友だち人形」と一緒に食べる
ご飯を食べる時に、隣に人形などを置いて一緒に食べるお友達をつくるのも効果的です。
「くまさんはい、あーん!おいしいねぇ」
と隣のお人形に食べさせるふりをしてから、
「〇〇ちゃんも、あーん」
と子どもに声をかけると、ついついつられてお口を開けてくれることがあります。
「あ、すごーい!くまさんもう全部ご飯食べたの?お皿ピカピカだねぇ」
「〇〇ちゃんのお皿も、これとこれ食べたらピカピカだねぇ」
など、声をかけることで、子どもの「私も・僕も食べよう!」という意欲を引き出すことができるのです。
保育園などに通っているお子さんだと、近くの友達に刺激を受けて食べることがよくあります。家ではなかなか同い年くらいの子どもとご飯を食べることが難しいのですが、そんな時にはぜひお人形などをお友だちとして活躍させてみてください。
対応3|小さく切る・とろみをつけるなど食べやすくする
お肉や葉物野菜などかみちぎりにくかったり、お魚などぱさぱさししていたりするものが苦手なお子さんの場合は、小さく切ってあげたり、あんかけなどとろみをつけてあげることで食べられるようになることがあります。
まだ試したことがない場合にはぜひ試してみてください。
対応4|お皿に載せる量を減らす
意外と子どもの食欲に関係してくるのが、お皿に載っているご飯の量です。ご飯をあまり食べるのが好きではない子は、お皿にたくさんご飯が載っているだけで食欲がなくなってしまうことがあります。
最初はお皿にご飯を少なく盛り、食べられたらお代わりをする方法の方が食べる量が増える子が多いです。お代わりをよそったり、別皿に分けておいたりするのは少し手間ですが、時間のある時などに試してみてください。
対応5|周りのテレビやおもちゃが見えない方向に座る
遊び食べや、食べるのに時間がかかる子、ご飯に集中するのが苦手な子に効果的なのが、ご飯を食べる時の位置を変えることです。
玩具の収納やテレビが背中の方にくるようにするなど、なるべくご飯以外が子どもの視界に入らないような位置を探してみてください。視界に入るものが減ることで、ご飯に集中しやすくなります。
対応6|楽しい食事の雰囲気の中で大人が食べて見せる
中・長期的な視点での対応となりますが、大人が食事中楽しい雰囲気で、おいしそうに色々なご飯を食べることが子どもの食べる意欲を促すことにつながります。
「ご飯の時間って楽しいんだ」
「パパやママがおいしそうに食べているから、私も、僕も食べてみようかな」
と子どもが自分から思えるようになることが理想的です。
特に見慣れない食材を嫌がった場合などは、無理に勧めたり、逆にもう食卓に出さないようにしたりするのではなく、食卓に並べて大人がそれをおいしそうに食べて見せることが子どもの警戒心を解くカギになります。
対応7|空腹の状態でご飯の時間を迎えられるようにする
ご飯やおやつの時間は決まっていますか? もし決まっていない場合には時間を決め、「この時間はご飯の時間」と子どもがわかり、かつおなかが減っている状態でその時間を迎えられるよう、おやつの量や日中の遊び内容などを調整してみてください。やはり子どもはおなかが減っていなければご飯を食べようとは思えません。嫌いな食材ならなおさらです。
もしお仕事などの都合上、ご飯の時間やおやつの時間の調整が難しい場合には、ご飯とおやつの内容を合わせて考えるのがおすすめです。
例えば、どうしてもこの時間におやつをたべないと我が家のスケジュール上もたない、けれどその時間におやつを食べてしまうと次のご飯まであまり時間が空かないというケースがあったとします。その場合には、おやつにおにぎりやパンなど主食(炭水化物)を出し、その分ご飯は主食少な目で、たんぱく質や野菜を中心としたメニューを出すことで、栄養バランスをうまくとることができます。
さらにそのご飯も、先に野菜スープやサラダなど子どもが苦手なものを出してから、時間差でよく食べるおかずを出すなどの工夫で、より苦手な食材も食べてくれることが多くなります。
対応8|野菜やご飯の絵本を読む
ご飯の時間以外にも野菜やご飯の絵本を読むことで、子どもの食への意欲を高めることができます。
絵本に出た食材や料理が出ると、
「これ絵本で見たね」
「〇〇ちゃんも食べてたね」
と子どもの方から興味をもつ姿も保育園でよく見られていました。
これはNG! 食べてくれない2歳児へのダメな対応
用意した食事を食べてくれない、食べるのに時間がかかる、そんな2歳児の姿は保護者にとって大きなストレスになります。子どものためを思ってしていることほど、子どもが受け入れてくれないと辛くなってしまうというのも当然の心理です。
ただ、食べさせようと必死になるあまり、子どもにとってあまりよくない対応をしてしまう事もあります。そんな2歳児への「してはだめな対応」もご紹介します。
\NG/ 「食べないと鬼が来るよ」など脅す
よくやってしまいがちなのが、「食べないと鬼が来るよ」など脅して子どもに食べさせる対応です。
この対応で実際に食べてくれる子は多いと思います。しかし、脅されながら食べる食事は、子どもにとって楽しくない時間になり、食事自体への嫌なイメージが育ってしまいます。
食育で一番大事なのは、食事を楽しく美味しく食べることです。是非子どもが食事の時間を嫌な時間だと感じないような対応をしていってほしいと思います。
\NG/お友達や兄弟と比べる
お友達や兄弟と比べることも、子どもにとってはよくありません。
「〇〇ちゃん食べたね。△△ちゃんも食べてみる?」と話題にするのはもちろん問題ありません。しかし
「△△ちゃんは食べられなくて、赤ちゃんだね」
「〇〇ちゃんは食べられたのに△△ちゃんは食べられないんだね」
など比べられてしまうと、子どもは自分自身を否定された気持ちになってしまいます。
\NG/無理やり口に入れる
無理やり口に入れることは、きつい言葉になってしまいますが、保育現場では虐待とみなされます。
全く食べてくれない子に対して、その子の健康を思うあまりに無理やり口に入れたくなってしまう事はあると思います。
しかし、無理やり口に入れられた子どもの気持ちは、ひどく傷つくことになるでしょう。体の健康を思うあまり、心に傷をつけてしまうことは保護者にとっても子どもにとっても悲しいことです。また、窒息の恐れもある危険な行為です。
下記にも詳しく載せますが、子どもの健康が心配な場合には、かかりつけ医に相談したり、偏食外来を受診したりするという方法があります。ぜひご自分の力だけでなんとかしなくちゃ! と気負うのではなく、相談できるところ・頼れるところを見つけてほしいと思います。
\NG/パパとママとで対応が大きく違う
時々あるのが、パパとママとで接し方が大きく違うというパターンです。
ママが一生懸命「一口食べてみようよ」「今日のは〇〇ちゃんの好きな味にしてみたんだよ」と声をかけているのに、パパが
「嫌いなんだから食べなくてもいいよ」
と言ってしまったり、
「早く食べなさい!」
と怒ってしまったりするご家庭の話を時々お聞きします。もちろん、ママとパパと逆のパターンもあります。
子どもがご飯を食べない時の対応が保護者で大きく違っていると、子どもはどうしたらいいのかよくわからなくなってしまいます。保護者同士しっかり話し合い、同じような対応ができるようしてあげると、子どもにとってわかりやすく楽しい食事の時間になります。
もし保護者間で対応が違うかなと感じる場合には、「うちはこうしていこう」「今はこの対応を試してみたいから、一緒にやってみてほしい」など、ぜひ一度ゆっくり話してみてください。
まとめ
2歳児がご飯を食べなくなることはよくあることです。自分の育て方が良くなかったのではないか、料理がおいしくないのではないかなど悩む必要はありません。
子どもが元気であれば、今の年齢だとよくある姿と気長に構えておくのがおすすめです。もし体調などで心配がある場合には、かかりつけ医や自治体の保険相談所、子育て支援の機関に相談をしてみるのもおすすめです。
また、どうしても心配という場合には、偏食外来を受診するという方法もあります。代表的な病院ですと、神奈川県立こども医療病院に偏食外来があります。神奈川県の小児保健協会のサイトで外来受診をするか悩んでいる方向けの動画も公開されておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
(文・こまつなのは)