2歳児のご飯の量はどのくらい?食べないときはどうする?食事作りのポイントを伝授【管理栄養士監修】
2歳児の発達は個人差が非常に大きいです。食事においてもその子に見合った食事量というものがあります。今回は2歳の子どもに見合った食事量の決め方や食事作りのポイントをお教えします。また、2歳ごろの食事にまつわる悩みとアドバイスも紹介するので、参考にしてくださいね。
2歳児のご飯の量はどのくらい?
2歳児の食事量はどのくらいが適量なのか?と心配になりますよね。お子さん一人ひとりに合った量というものがあるので、一般的な数値や他の子の量と比較をしないことが大切です。では、子どもに見合った食事量はどうやって考えていけばいいでしょうか。
2歳の食事量の目安
1日に摂りたいエネルギー量は2歳の男児で950kcal、女児で900kcalとされており、これは30~49歳女性の約半分に相当します[*1]。したがって、2歳の子どもの食事量は大人の女性の半分程度だと覚えておくと、大まかな目安になるかもしれませんね。数字にこだわるのではなく、あくまでも身体が大きくなっているか、体重が増えているか、元気かどうかという点からは判断しましょう。母子手帳に載っている成長曲線(身体発育曲線)のグラフを活用するとよいですよ。
食事量の考え方
食事の量というのは、給食でよく食べる子とそうでない子がいるのと同様に、体格や運動量にとって個人差がよくあるものです。ご家庭でも、食べる日もあればそうでない日もある、と柔軟に考えられるといいですね。食べないことが続く場合には、お菓子や飲み物を摂りすぎていないかを確認してみるのもよいでしょう。
「何を」「どれだけ」食べたらよい?
全体量が大人の女性の半分とわかったところで、実際に何をどれだけ食べたらいいのかを考えるポイントをお伝えします。これも難しく考えることはありません。ご飯とおかずのバランスはだいたい1:1くらいがいいでしょう。また、おかずは肉、魚、卵などのメインのおかずと野菜のおかずが1:1~2くらいを目安にしてみてください。
2歳児のご飯の量
2歳児のご飯の量は、1食で子ども茶碗1杯分程度(80~100g)ぐらいです。ご飯などの主食は3回の食事でしっかり摂るようにしましょう。主食が1回分欠けることにより、1日に摂りたいエネルギー量も欠けてしまいます。なかなか思うように食事を摂ってくれない場合には、おやつ(補食)で小さなおにぎりなどをあげてもいいですね。
おやつはどのくらい?
幼児期のおやつは栄養素を補うためにあるため、食事の一部(補食)と位置づけましょう。胃がまだまだ小さい2歳児は1日3回の食事量だけでは1日に必要なカロリーを補うことがなかなかできません。1日2回程度のおやつがあるとよいでしょう。
おやつの内容については、食事の様子を見て、不足が気になる栄養素を把握して補えるものにできるとベストです。カロリーの摂れるおにぎりやパン、ビタミンの摂れる果物、カルシウムの摂れる牛乳やヨーグルトなどはおすすめでしょう。
どのくらいの量にすればよいか迷う場合は、2回のおやつの合計が1日の摂取カロリーの10~15%(90~140kcal程度)を1つの目安にしてください。
母乳・ミルクはどうすればいい?
1歳半を過ぎると離乳食から幼児食へ移っていくことが多いですが、離乳食の完了とはだいたいの栄養が食事から摂れるようになってることを指します。2歳になったら母乳やミルクはほとんど不要のことが多いでしょう。母乳やミルクをたくさん与えるとそれでお腹いっぱいになってしまい、肝心のごはんが食べられないという心配があります。
母乳やミルクで足りない栄養を補うという考えもいいかもしれませんが、その場合は、いつまで栄養を母乳やミルクで補うのかも考えておきましょう。飲み物で栄養摂取をカバーするのは2歳頃を最後にして、しっかり噛んで食べるものが中心となるようにシフトできるといいですね。
2歳児の食事のポイント
2歳児の食事ではどんなことをポイントとすればいいでしょうか。まだ大人とまったく同じものを食べるという時期ではないので、子どもに合わせた内容にしましょう。
1.味付け|薄味が基本
味付けはまだまだ薄味が基本です。目安としては大人の味付けより少し薄い程度にしてみましょう。
大人の食事を作る途中で子どもの分だけ取りだし、味付けの濃さを調整すると手間も少ないですよ。汁物は出来上がったあとで子どもの分をお湯などで薄めればよいでしょう。ただ薄めるだけでは食べてくれない場合もあるので、出汁で薄めるなどの工夫もしてみてください。
日本は子どもだけではなく大人もかなり塩分を摂りすぎていると言われているため、お子さんの食事を見直すことで家族全員で薄味に慣れていけるようにするといいでしょう。
2.硬さ・大きさ|噛み切りにくい食材は細かく切る
歯の生え方には個人差があり、咀嚼面でも個人差が大きい時期です。子どもの乳歯の生え具合に合わせて硬さを調整しましょう。2歳児が噛みにくい食材としては、薄切りの肉やきのこ類、エビなどがあります。これらはまだそのままだと食べにくいので、細かく切って調理することが必要です。なお、噛み切れないイカやタコはあげなくてもいいでしょう。
大きさについては、基本的にはある程度の大きさのものでも食べられる時期なので、大人が食べるのと同じ大きさで調理してかまいません。食べづらそうにしているなと気づいた時点で、はさみなどで細かく切ってあげるとよいでしょう。
3.食事のバランス|数日単位でチェック
2歳の時期は食べ方にバラつきが出やすいため、1日単位でバランスよく食べるということは難しいといえます。そのため、2、3日や1週間単位で確認しましょう。
献立の内容としては、一汁二菜や一汁三菜を基本に考えると自然にバランスがよくなります。主食、主菜、副菜、汁物を揃えることを意識しましょう。特に汁物は、足りないと思う栄養素の食材を具に選ぶだけで簡単にバランスを調整できるのでおすすめです。
旬の美味しい食材を使ったり、子どもが喜ぶような献立を取り入れたりすると、「食事は楽しい」という認識にもつながりやすいかもしれませんね。
食べてはいけないものはある?
では、2歳の子どもに食べさせないほうがいい食品なはあるのでしょうか? 確認していきましょう。
生ものや塩分の強いもの
まだ免疫機能が未熟という点から、食中毒のリスクを減らすために、刺身などの生で食べるものは控えた方がいいでしょう。また、刺激の強いものや塩分量の多いものは、胃腸や腎臓に負担をかける心配があるので、これらも避けるといいですね。
誤嚥や窒息リスクのあるもの
食べものによる誤嚥や窒息のリスクにも注意が必要です。
●硬い豆やナッツ
消費者庁では、窒息や肺炎を引き起こす可能性があるため、5歳以下には硬い豆やナッツを与えないように注意喚起を出しています。特に、奥歯が生えそろわず、かみ砕く力や飲み込む力が十分ではない子どもは注意が必要です[*2]。これはちょうど2歳ごろにも当てはまるため、くれぐれも気を付けましょう。
●ミニトマトやぶどうなど球状のつるつるした食品
これらはつるっと喉に入りやすく、窒息するリスクがあります。4等分したうえでよく噛んで食べるように教えたり、軟らかく調理したものにしましょう[*3]。
●飴やラムネのような丸くて硬いもの
●餅や白玉団子のようなもちもちとしたもの
もちもちとした食感の食べ物はうまく噛み切れないので、与えないようにしましょう[*4]。
2歳児の食事に多い悩みとアドバイス
2歳児は自己主張が強くなる時期でもあります。食事においても子どもがたくさんの意思表示を示してくるので、悩む方も多い時期です。2歳児の食事の悩みで主なものをまとめました。
1.食べムラがある
子どもは大人と比べると気分や体調の影響が食事にでやすく、食べる量が一定しないものです。食べる量だけを気にして無理に食べさせようとすると、食事が楽しくないと思ってしまいます。食事の量を気にし過ぎるのでなく、「少しでも食べている」と思うようにしましょう。
食べムラが激しく栄養面が気になるようであれば、おやつを工夫するのがおすすめです。牛乳や野菜蒸しパンといったような栄養価の高いものを用意してあげましょう。
また、同じものばかりを食べるということも子どもにはよく見られますが、そのうちに飽きて急に食べなくなり、次のお気に入りを見つけていきます。珍しいことではないので、長い目で見守ることが大切です。
2.遊び食べをする
大人から見ると遊んでいるように見えても、子どもにとっては食べることを学んでいるという面があります。見守ってあげられるとよいでしょう。
\遊び食べの対処のポイント/
①食事時間はどうか
遊び食べは食事への集中力がなくなってきたときに起こりやすいです。食事の時間がだらだらと長くなっていないかを確認してみましょう。完食してほしい気持ちが強いとなかなか食事を切り上げるタイミングを延ばしてしまいがちですが、いつまでもだらだらと食べているようならば、30分経ったら切りあげてみましょう。
②食具は適切か
また、食具は子どもに合っているかも再度、確認してみましょう。扱うのが難しすぎていないか、反対に簡単すぎないかを見直すことも大切です。難しい食具だと子どもは使うことに疲れて集中力が途切れ、遊ぶことに気持ちが向いてしまうこともあります。
まだまだ食事を自立して行うというのは難しい時期です。こぼすなどの失敗も「遊んでいたから」などと決めつけず、お子さんの食事の様子をしっかりと見守ってあげましょう。
3.ごはんを食べてくれない
食卓についてもごはんを食べようとしないときは、お腹が空いていないのかもしれません。補食の量や時間帯は適切か、運動量はどうかなどを考えてみましょう。1食だけで判断するのではなく、1日単位で考えたり、さらには1週間単位で考えて栄養のバランスを見ていくことも必要です。
\食欲を促す工夫/
①好きなものを1品用意する
食欲がでるような工夫として、好きなものを1品は用意してあげるといいですね。2歳ぐらいになると、まずは視覚から自分が食べられるものがあるかどうか判断します。好きなものがあるとわかると、スムーズに食事に手を付け始めるかもしれません。
②雰囲気を変える
ときには食事の雰囲気を変えてみることも大切です。ランチョンマットを敷く、お弁当箱に詰めるといったちょっとしたことでも、子どもはワクワクでき、食が進むこともあります。
4.好き嫌いが激しい
好き嫌いはあって当たり前です。「そのうち食べてくれるかな」といったおおらかな気持ちで接しつつ、どうしてその食材が食べられないかを冷静に考えてみましょう。
野菜であれば「繊維や味がいや」、肉や魚であれば「パサつきがいや」など、食べにくいことが原因のことも考えられます。離乳食が終わったからといっても、細かく刻んでみる、とろみをつけてあげるなど、調理法を工夫することもときには必要です。
また、食べなかったからといって「これは嫌いだから出しても意味がない」と決めつけないこともポイントとなります。大人が「美味しい」と食べていれば、その様子を見ているうちに食べる気になることがあります。食材の切り方や調理法、味付けを工夫して、食卓に料理を並べてみましょう。
まとめ
2歳児は歯の生え方や体格など、成長の度合いに個人差が大きい時期です。自分の子どもに見合った食事量や食材の硬さなどを調整できるといいですね。食事量について、いろいろなところで参考値を見かけるかもしれませんが、これといって決まりはありません。子どもの成長曲線を見て順調に成長していれば、お子さんに合った食事量であるということです。好き嫌いなども出てきますが、色々な食材を使うことを意識し、たくさんの食感や味を経験させてあげましょう。
(文:茅野陽 先生/監修:川口由美子 先生)
※画像はイメージです
[*1]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版
[*2] 消費者庁:食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!
[*3]消費者庁:ミニトマトや大粒のブドウは4等分しましょう!
[*4]日本小児科学会:〜食品による窒息 子どもを守るためにできること〜
本来は「エネルギー」と呼びますが、本記事では一般的になじみのある「カロリー」と表記しています。